この記事では怪我をした際に摂取すべき栄養素を簡単にまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。尚、掲載しているのはあくまで要点だけです。特にそれぞれの栄養素のより詳しい効果や「1日にどれだけ摂取すべきか」については省略しています。詳しくは過去の記事をご覧ください。
・炭水化物:細胞の活動エネルギーとして必須です。特に糖はインスリンの分泌を促す事ができ、それによって蛋白質(アミノ酸)の吸収率及び代謝を高める事ができます。蛋白質を摂取する場合、必ず糖を一緒に摂取すべきでしょう。摂取源は芋類、米、パン、麺、粉物、お菓子類、果物、乳製品などがあります。ただし一度に大量に摂取すると高血糖になり、血管を詰まらせる事があります。一度の摂取量はあまり増やしすぎず、次の食事までの間隔を上手く調整しながら、食事の回数を増やすと良いでしょう。
・蛋白質:筋肉、腱、骨、軟骨、皮膚、血管、血液、ホルモンなどを作る材料として重要です。特に9種類の必須アミノ酸(トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン、リジン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、スレオニン)はバランス良く摂取しなければなりません。摂取源は肉、魚、卵、乳製品、大豆などがあります。プロテインもオススメです。その他アルギニン、シトルリン、オルニチン、グリシン、グルタミン、チロシンなど、必須アミノ酸以外の特定のアミノ酸(サプリメントとして)も意識的に摂取しても損はありません。
・脂肪:特に6種類の必須脂肪酸(ω-6脂肪酸のリノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸、ω-3脂肪酸のα-リノレン酸、DHA、EPA)はバランス良く摂取しなければなりません。摂取源はω-6はナッツ類や大豆など、ω-3は青魚、アマニ油、エゴマ油などです。サプリメントでも摂取はできます。一方、脂肪は糖と比べて倍以上のエネルギーがあるため、いくら必須脂肪酸と言っても過剰摂取は注意すべきです。特に怪我をすると運動量が減るため、自分の代謝に合わせた量を見極める必要があるでしょう。ちなみに必須脂肪酸以外ではオレイン酸や中鎖脂肪酸も候補になります。食事が細い場合、それを利用して摂取エネルギーを確保する事も重要になる事があります。脂肪=悪ではありません。
ビタミンA:新陳代謝に必須です。特に抗酸化作用があり、活性酸素の増殖を抑えてくれます。また脂溶性なので、油脂と一緒に摂取する事で吸収率が高まります。摂取源はニンジン、ほうれん草、鶏の卵、ウナギ、各種レバーなどです。尚、ビタミンAは動物性の食品に含まれるレチノールと、植物性の食品に含まれるβ-カロテンに分けられます。特にレチノールは効力は強いのですが、過剰摂取のリスクがあります。一方、β-カロテンは過剰摂取のリスクが低い代わりに、レチノールよりも効力が弱いです。そのため怪我をして必要量が増えている場合、β-カロテンだけの摂取では不足する事があります。運動量が落ちれば必要量は減りますが、怪我をしていない状態よりは必要量が増えているはずなので、あくまでレチノールを基本とし、必要に応じてβ-カロテンを摂取しましょう。ただしサプリメントの利用は不要と思われます。
ビタミンB群:ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの総称です。新陳代謝に必要で、特に糖・蛋白質・脂肪の代謝を補助してくれます。一部は腸内細菌によって補給されますが、水溶性な上、大きな怪我では必要量が増えます。摂取源は豚肉、ウナギ、各種レバー、大豆、ナッツ類、魚類、魚類の卵、緑色野菜などです。人によってはサプリメントの利用も必要です。
ビタミンC:同じく新陳代謝に必要で、コラーゲンの合成に使われます。また強い抗酸化作用を持ち、活性酸素の増殖を抑えます。一方、水溶性で、熱に弱く、一度にまとめて摂取しても無駄が大きいため、数時間おきに摂取が必要と言われています。大きな怪我では更に必要量が増えるため、サプリメントの利用を強くオススメします。摂取源としては赤ピーマン・黄ピーマン、芽キャベツ、キウイ、柿、イチゴなどがあります。
ビタミンD:カルシウムの吸収を促す作用があります。また細胞の分裂に関与しているとされ、性ホルモンの分泌や免疫細胞にも影響を与えていると言われています。紫外線を浴びる事で体内で合成する事も可能ですが、大きな怪我、特に骨に関する怪我では必要量が増えます。脂溶性ですが、レチノールやビタミンEと比べれば過剰摂取のリスクは低いと言われており、摂取する場合は油脂と一緒に摂取しましょう。食品ではキクラゲなどのキノコ類や魚類などに多く含まれます。サプリメントの利用も良いでしょう。
ビタミンE:これも新陳代謝に必要です。また強い抗酸化作用があり、他の抗酸化物質の代わりに酸化する事で、抗酸化機能を安定化させる作用があると言われています。その他、毛細血管を拡張する作用があるとも言われています。尚、摂取源は主にナッツ類と魚類の卵になります。脂溶性なので油脂と一緒に摂取すべきですが、過剰摂取には十分な注意が必要です。サプリメントは基本的には不要と思われます。
ビタミンK:カルシウムの吸収を促す他、特に血液を固める時に必要になります。そのため大きな怪我では必要量が増えます。一部を腸内細菌により補給できますが、ビタミンB群と比べると供給量は少ない上、栄養素が吸収される場所から遠いため、食品からの摂取が基本となります。摂取源は大豆、緑色野菜、海藻類などです。脂溶性ですが、過剰摂取のリスクは少ないと言われていますが、食品からでも十分なため、サプリメントの利用は必要ないと思われます。
カルシウム:言わずもがな骨の材料として重要です。特に骨に関する怪我では必要量が増えます。摂取源は小魚類や乳製品です。サプリメントの利用も良いでしょう。尚、摂取の際にはビタミンDやビタミンKと一緒に摂取すべきです。
マグネシウム:これも骨の材料として重要です。また糖・蛋白質・脂肪の代謝の補助にも必要になります。摂取源は大豆、ナッツ類、海藻類などです。一方、元々の吸収率が悪く、一度に大量摂取すると下痢をしやすいと言われています。サプリメントの利用も良いですが、過剰摂取には注意しましょう。
カリウム:細胞内外の水分量を調節する役割があります。特に余分な水分及びナトリウムを排出するために重要で、怪我をした際には実は必要量が増えます。摂取源は緑黄色野菜、芋類、ナッツ類、大豆、海藻類などです。
リン:細胞の活動エネルギーを運搬するために必要です。多くの食品に含まれており、通常は不足しませんが、怪我をした際には必要量が増えます。
ナトリウム:細胞内外の水分量を調節する役割があります。多くの食品に含まれており、過剰摂取では高血圧や浮腫を招きますが、元々の必要量は多く、過度な制限は良くありません。重要なのはカリウムとのバランスです。
鉄:細胞へ酸素を運搬するために必要です。怪我をすれば当然必要量は増えます。摂取源はナッツ類、海藻類、大豆、各種レバーなどです。尚、植物性の食品に含まれる鉄はビタミンCによって吸収率が高まります。緑黄色野菜や果物を一緒に食べましょう。人によってはサプリメントの利用も良いでしょう。
亜鉛:新陳代謝に関わる成長ホルモンの分泌や蛋白質の合成に必要です。怪我をすれば当然必要量は増えます。摂取源はナッツ類、牛肉、牡蠣、各種レバーなどです。サプリメントの利用も良いでしょう。
銅:これも鉄と同じく細胞へ酸素を運搬するために必要です。元々の必要量は少ないですが、怪我をすれば必要量が増えます。摂取源はナッツ類、海藻類、大豆、各種レバーなどです。
ヨウ素:新陳代謝に関わる甲状腺ホルモンの材料として重要です。元々の必要量は少ないですが、怪我をすれば必要量が増えます。摂取源は主に海藻類です。サプリメントもありますが、基本的には不要と思われます。
クロム:細胞へ糖を取り込むために必要なインスリンの分泌に必要です。多くの食品に含まれており、必要量も少ないため、意識的な摂取は基本的には不要です。一応サプリメントもありますが不要です。
カロテノイド類(ビタミンAとしての効力を持つβ-カロテン以外):リコピン(トマト)、アスタキサンチン(シャケ)、β-クリプトキサンチン(柑橘系の果物等)、フコキサンチン(海藻類)、ルテイン・ゼアキサンチン(緑黄色野菜)など。いずれも抗酸化作用があります。必須栄養素ではありませんが、摂取しても損はありません。
ポリフェノール類:アントシアニン(ベリー類等。色の濃いもの)、大豆イソフラボン(大豆などのマメ科)、ケルセチン(タマネギ)、ルチン(ダッタンソバ)、カテキン(紅富貴や凍頂烏龍茶)、レスベラトロール(ブドウや赤ワイン。ただし赤ワインでも濃度は足りない)など。いずれも抗酸化作用があります。必須栄養素ではありませんが、摂取しても損はありません。ただしサプリメントを利用する場合、含有量には注意しましょう。何故かというと少ないか多すぎるかという両極端な事が多いからです。
その他:コラーゲン、コンドロイチン、グルコサミン、ヒアルロン酸など。材料を補給する事ができます。摂取して直ちに害のあるものではない上、怪我をした時に必要量が増えるので、可能なら摂取しておくと良いかもしれません。尚、いずれも基本的にサプリメントを利用する必要がありますが、特にコラーゲンに関しては豚軟骨、手羽先、鶏皮、魚の皮、牛スジ、牛テール、フカヒレなどの他、粉末状のコラーゲンパウダー(糖が添加されていないもの)が利用できます。