この記事では運動前に必要なウォーミングアップについて私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。
※当記事作成日時:2013-06-13、最終更新日時:2019-12-05
●そもそもウォーミングアップとは?
運動を行う際には準備運動を行って体温を上げ、筋肉や関節などへの血流を促し、それらの組織・細胞が活動できるような状態にしておく必要があります。特に血流を促す事によっては筋肉への栄養補給がスムーズになるため、運動中のパフォーマンスの向上に繋がる上、疲労物質などをできるだけ滞らせずに流す事ができ、疲労の蓄積が原因で起こる様々な怪我を最低限予防する事ができます。また後述のように日によって調子及び体調は異なるため、本格的な運動を行う前にそれを確認する事もできます。それが「ウォーミングアップ(ウォームアップ)」の主な目的です。
特に気温の低い日が続く冬やそのような環境(緯度の高い場所)では体温が下がりやすく、血管が収縮し、血流が悪くなりやすいです。その状態では筋肉がその機能を活かせず、自分が持つ本来の能力を発揮する事ができないばかりか、その状態のまま激しい運動を行うと、やはり突発的な怪我だったり、疲労の蓄積による慢性的な怪我に繋がるリスクも高まります。しっかりとしたウォーミングアップを行い、体を温めてから運動を行うようにしましょう。
尚、これはウォーミングアップ後に行う運動強度には関係がありません。どんなに慣れている運動であっても、しっかりとした「心の準備」は必要であり、その意味でもウォーミングアップは必ず行わなければなりません。決して準備だからといって軽視すべきではないものです。
ただし環境によっては十分にウォーミングアップの時間が取れなかったり、そういったスペースが確保できない場合もあります。ダンベルを使うような筋トレでは稀ですが、部活動かつ屋外で練習あるいは試合する場合には結構そういった事も多いです。特に気温が低い時期では、ウォーミングアップを行って体を動かしている時は温かくても、動かないままいるとすぐに体温が下がってしまい、再びウォーミングアップを行う必要が・・・という場合も出てきます。休憩時間なんかは特にそれが起こり得ます。
そういう場合を想定し、ウォーミングアップでは「どのような環境であっても、短時間で効率的に体を温める事ができるような内容」にしておく必要があります。部活動では先輩から引き継いだ方法をそのまま実践する事が多いのですが、常に改良していくべきです。またどこかに座っている間や休んでいる間も、体を温める事ができるように工夫すべきです。指先だけならホッカイロ、肩なら温熱シップ、全身ならストーブなども用意できると良いですね。コストはかかりますが怪我をするよりはマシです。
●ウォーミングアップは単なる準備運動ではない
ウォーミングアップでは最終的に「運動をするために適した状態に体を持っていく」訳です。準備運動だからと言って、いきなり激しく体を動かした場合、繰り返しになりますが、それが原因で予期せぬ怪我に繋がる事があります。ウォーミングアップでは「少しずつ体を動かしていく(ただし長時間だと実際の運動を行う前に疲れてしまうので、効率的に体を温める必要がある)」ようにしましょう。
これはあくまで一例で、決まった方法はありませんが、最初に軽めのジョギングから始めたとすれば、軽いジョギング(筋肉を振動させる)→準備体操(ごく簡単なもの)→静的なストレッチ(筋肉を伸ばした状態で反動をつけずに数秒キープする)→動的なストレッチ(リズミカルに体を動かし、筋肉を振動させながら解す。サッカーなどでよく見るステップ踏みながら足を回して前へ移動するようなもの)→少し休憩後、一旦やや強度の高い運動を行う(筋肉や神経に強い刺激を与える。全力での短距離ダッシュ数本、切り返しのあるダッシュ、全力に近い連続ジャンプなど。ただし短時間のみに留める)→一旦動作確認をするための体慣らし運動(ボールを使ったキャッチボールなど。トレーニングなら一度軽めの負荷で1セット行ってみる)→実際の本格的なトレーニング、あるいはボールなどを使った技術練習に入る・・・というような流れです。ウォーミングアップでは毎回このように段階的に体を温めていく事が重要です。
尚、ウォーミングアップはそのようにあくまで「準備」なのですが、その日における「最初の練習メニュー」とも言える訳で、決して一つ一つの過程が雑になってはいけません。特に体のキレや足の運びなどの「調子」は日によって異なるため、ウォーミングアップには「その日の体の状態の確認」という重要な役割があります。それを意識して毎回ウォーミングアップを行う事では、結果として技術や筋力の習得の効率性にも大きく関係してきます。
例えばジョギングやストレッチでは、体を揺すったり上に飛んで走ったりなど、敢えて意識的に体を大きく動かしながら行う事で、「本格的な運動を行う前に筋肉の張りを調べる」事ができます。前もって自分の体の状態が分かれば、直前でもそれに合わせたトレーニングや練習メニューに変更する事ができますよね。毎回毎回それを運動前に行うのは面倒臭いように感じますが、今の自分の状態を知るためにも集中して行うべきでしょう(ただしリラックスはする)。
尚、そのような確認を行うためには「どのような動作を行うと、どこの筋肉が、どのように使われるか」という事をある程度知っておく必要があります。一方、毎回集中してウォーミングアップを続けていくと、例えばストレッチであれば「今の自分の柔軟性を考え、この程度の力加減で筋肉を伸ばした方が効果的」という事が少しずつ分かってきます。つまり「自分の体から得られた情報を元にして、運動前後のケアの方法を改善したり、あるいは実際の体の動かし方を工夫する(人から教わった方法をそのまま行うのではなく、まず自分の体を使い、それを元に頭で考えるという事。感性を大切に!)」という事ができるようになります。それによってトレーニングは更に効率化されます。その意味でもウォーミングアップの継続は重要です。