走力を高めるために必要な練習法・トレーニング法・考え方(要点のみ)

この記事では走塁や守備の際、ボールに素早く追いつくための「足の速さ」を高める練習法やトレーニング法について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。尚、内容は要点のみです。
(記事作成日時:2019-06-18)

★当記事の目次

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★走力を高めるためのフォームを習得する

●膝を深く曲げずにフラットで着地する

着地時に膝を深く曲げる事では、重心が低くなり、安定化します。しかし膝を伸ばし切るまでの時間が長くなるため、足の裏が地面に接している時間も長くなり、着地→地面を蹴る→次の一歩という全体の流れが遅くなってしまいます。つまり足を前へ踏み出すスピード(足の回転・ピッチ)が遅くなる訳です。それでは例え歩幅が大きくても、スムーズに前へ進む事はできません。

特に着地時には地面からの衝撃をロスなく受け止め、その衝撃を跳ね返し、それを前方への勢いに変換する必要があります。あまりに深く膝を曲げると、着地の際、地面からの衝撃を膝で吸収してしまいます。高い所から落下した時や、上へ高くジャンプした後の着地時には、そのように衝撃を吸収した方が怪我のリスクを抑える事ができますが、走る際にそれを行うと、力のロスが大きくなります。よって着地時には、膝をあまり曲げずに着地し、また上に跳ぶのではなく、前に跳ぶようにして走る事が重要になるでしょう(太ももを高く上げる事ばかり意識するのではなく、前へ膝蹴りをするようにして上げる)。

尚、そこでよく言われるのが「頭を上下動させないように着地する」事です。つまり足の裏が着地する際、体の前ではなく、後ろでもなく、真ん中、すなわちちょうど片足立ちで状態で着地するようにします。こうする事で、地面からの衝撃が分散せず、前方への推進力にスムーズに変換されます。



●腕の振りと足の運び(ピッチ)を速くする

足の運びを速くする事で、前方への推進力が大きくなります。よって素早く足を動かす事、そしてその足の動きと連動している腕を素早く振る事も重要になります。

尚、腕は力強く振るように指導される事が多いです。しかし重要なのは「最小限の動作」で、かつ素早く振る事です。腕を力強く振る事だけを考えると、無駄な動きが入ったり、力みに繋がり、腕を引いてから前に上げるまでの時間、及び前に上げてから後ろに引くまでの時間が長くなってしまいます。それも足の運びを遅くする原因になります。腕は高く上げ過ぎず、後ろに引き過ぎず、また横に開いたりせずに、そのまま真っ直ぐに、できるだけコンパクトに動かしましょう。

ちなみに手の形ですが、これはお好みで構いません。小学校の運動会などでは「グー」の形にし、握るように指導される事が多いですが、力いっぱいに握るのではなく、パーに開いた状態、あるいは指先を軽く曲げた状態の方が、変な力が入らずリラックスできます。



●歩幅(ストライド)を広くすれば確かに前へ進むが・・・

いくら足の運びが速くても、一歩一歩の歩幅(ストライド)が狭ければ、スムーズに前に進む事はできません。よって歩幅を広げる事も当然重要です。ただし前述のように膝を深く曲げたり、あるいは太ももを高く上げたり、後ろに引き過ぎると、一歩一歩(ピッチ)は逆に遅くなってしまいます。そもそも前述のようにフラットに着地し、足の裏が地面と接する時間をなるべく短くする必要がある訳で、いかにしてピッチを維持しながら、ストライドを広げるかという事は大きな問題です。

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この画像はあくまでイメージなのですが、このようにフラットに着地した後、その足は後方へ引かれ、すぐに地面から離れています。つまりその一瞬だけで、地面を後ろへスライドさせ、体を前へ進ませる必要がある訳です。一見すると、推進力を生み出すにはかなり不十分な状態のようにも見えます。

実はこれを行うには「筋肉が勢い良く伸ばされた後、反射的に縮む性質」を利用する必要があります。つまり着地時、実際には膝は少しだけ曲がり、その際に太ももの表側にある大腿四頭筋が勢い良く伸ばされ、その伸ばされた勢いを、反射によって跳ね返し、それによってその後の素早い収縮に繋げます。これが重要なのです。それもフラットに着地する理由の一つです。ただし完全に膝を曲げずに真っ直ぐ着地してしまうと逆にそれは起こりません。よって着地時の膝は「勢い良く曲げ」ますが、軽く曲げるという事が重要になります。その上で、前の地面を掴むイメージで、足を前へ動かすのです。



●肩や腰を必要以上に前後に動かさない

腕と足以外「直立不動にしろ」という訳ではありませんが、腕を振る際、肩を前後に動かさないように注意しましょう。これも腕の動きを最小限にするためです。肩を前へ動かすと、確かに前へ進んでいるような感じがしますが、その動作自体が無駄です。必要最低限に留め、腕の振りに合わせ、自然に肩が動くようにしましょう。当然不必要に上下に揺れるような事も避けるべきです。また頭も左右に大きく振らないように、なるべく正面を見ます。野球の場合だと相手選手・味方選手・ボールの動きを見ながらになるので、中々難しいでしょうが、素早く状況判断をし、できるだけ走りに集中できるように努めましょう。

尚、太ももを持ち上げる際、背中を丸め、腰骨を前へ出さないように注意しましょう。足を高く上げたり、歩幅を広くする事は確かに重要ですが、無理をして足を高く上げようとすると、背中が丸まってしまいます。特に太ももを後ろに引く際、骨盤の傾きが変わる(そのように太ももを上げて腰骨が前へ出た後、太ももを後ろに引く時、腰骨が後ろに移動する)と、太ももの裏側にあるハムストリングスにストレスがかかり、痛める事があります。腰を前後させない事はそれを予防する目的もあります。ちなみにベースを踏んだ時や、誰かと衝突した際にもそれは起こります。



●ボールを動かし、それに向かって全力で走る練習をする(守備時)

守備を行う際にはグローブをつけた状態で走る必要があります。またゴロ、ライナー、フライのボールを捕球する場合、ボールがどの方向に跳ぶかを予想しながら、そこに向かって最短距離で走り、到達地点に先回りする必要があります。捕球動作では体を前傾させますし、後ろに向かって走れば壁が、横や前に向かって走れば味方選手がいるかもしれません。またランナーがいれば、捕球後にはランナーの向かう塁に送球する必要もあります。周りを見ながら、また実際に見ずとも、自分の視野に入れ、頭の中にその位置をイメージしながら、全力で走る必要がある訳です。

練習では前述したようなフォームで、安定して最高速で走る事ができても、そのように実際にボールが動いている中だと、同じように走れない事があります。単に走るための技術を習得する練習はもちろんの事、ボールの軌道を予測し、それに向かって最短距離で、かつ全力で走るような練習(前後左右様々な方向へ)が必要になるでしょう。もちろんそのように捕球後には送球する必要もあるので、ランナーがいる場合、更に考える事は増えます。様々な状況を想定した練習を行いましょう。



★走力を高めるために必要な事

・筋肉の収縮スピードを高めるようなトレーニングを行う
(通常のトレーニング法において、敢えて低負荷・高反復で筋肉を素早く収縮させて行う。尚、瞬間的に収縮する事を高速で繰り返す方法、収縮した直後には脱力する方法、勢い良く伸ばした後に収縮する方法などがある。基本的なトレーニング法さえ知っていれば、筋肉の収縮の仕方を変えれば良いので、それほど難しくはない)
・最大筋力を高めるようなトレーニングを行う
(基本的な筋肥大を目指すようなトレーニングを行う。筋力の向上に伴い、前述のような低負荷・高反復で行うトレーニングで扱う事のできる重量が上がる。ウェイトトレーニングに対してネガティブな印象を持つのはもう古い考え方。また回数を増やせば増やすほど良いという訳ではない)
・特にお腹の筋肉、背中の筋肉、肩の筋肉、股関節の筋肉、太ももの筋肉、ふくらはぎの筋肉、スネの筋肉、足の指や足の裏の筋肉が重要
・筋肉の連動性を高めるような練習・トレーニングを行う
・神経伝達のスピードを高めるような練習、スピードトレーニングを行う
(音など何らかの合図で体を素早く動かしたり、ラダー・ミニハードル・ラインタッチのように素早く足先を動かすなど、脳からの神経伝達をスムーズにするような様々なトレーニングを行う。尚、実際にボールを使った練習も良いが、野球とは直接関係ないようなスポーツなどを行い、様々な体の動かし方に慣れておくという事も重要になる場合がある)

・単純な知能や知識を高める
(頭の回転を速め、咄嗟の時の判断力や集中力を養う。単純な勉強、本を読む事、調べ物をするなどの他、いわゆる脳トレ、ナンプレ、クイズなどのスピード性のあるものが良い。またソリティアのようなゲームなども良いかもしれない)
・動体視力や周辺視野を高める
(視覚から得られる情報を元に体を動かしている。これも咄嗟の時の判断力に大きく関係する)
・様々な状況を想定した練習、特にベースを踏む練習(ベースランニング)、走塁・盗塁を想定した練習を行う
(走る際、できるだけ走る事に集中するため、あらかじめ様々な状況を経験しておき、想定外の事をなるべく減らす。それにより精神面も安定化する。特に野球ではただ真っ直ぐ前に走る訳ではないので、野球に合った走り方をする必要がある。例えば一塁へ到達する場合、少し外側から円を描くようにして走る事で、次の塁にスムーズに向かう事ができる。また自分のヒット後・味方選手のヒット後・相手選手の投球後にはボールや味方・相手選手の動きを見て、状況判断しながら走る必要があり、そういった練習も必要になる。何アウトでランナーがどの塁にいる場合に、どの方向に打球が飛び、次の塁まで走るか、次の次の塁を狙うか、それとも走るべきではないか、というような事。素早くボールに追いつく守備でもそれは同じ)

・基本的なフォームを修正し、走るための技術を身につける
(前述の通り。これは過去の記事でも扱っているが、単なる「走り込み」では習得できない。上へ跳ぶのではなく前へ跳び、歩幅を広げる練習、膝をあまり曲げずフラットで着地する練習、着地後に足の裏が地面と接する時間を短くする練習など)

尚、各種トレーニング法については過去の記事で扱っています。詳しくは全記事一覧の「トレーニング法に関する項目」をご覧下さい。



★走塁を行う際に必要な事

●最初の一歩目をできるだけ素早く出す

例えば左バッターとして打った後、一塁まで到達する場合を考えてみます。まず重要になるのは、バットを振った後、できるだけ素早く「最初の一歩目」を出す事です。バットを振る際には、一旦後ろの左足に体重を乗せた後、前の右足を踏み出しながらバットを振ると思います。この時、一瞬だけですが、右足に体重が乗ります。ノーステップで行う人もいますが、その場合でも、スイング時には右足に移動します。そうしてスイング後、今度は後ろの左足に体重が乗り、その左足で地面を蹴った後、最初の一歩目を出します。

しかしこの時、重心が後ろに移動したまま、後ろ足に体重が乗ると、最初の一歩目を出すのがワンテンポ遅れてしまいます。これは何故かというと、後ろ足で地面を蹴ってから足を前へ出す必要があるので、地面を蹴っているその時間だけ、足を前へ出すのに時間がかかってしまうからです。そこでスイング後に左足に体重が移動したら、その後できるだけ素早く、前の右足に移動させるようにします。すなわちスイング前の後ろ足→スイング中の前足→スイング後の後ろ足→バッティング後の前足・・・というように、体重移動をできるだけ素早く行う訳です。そうして前の足に体重を乗せた状態で、最初の一歩を出そうとすると、地面を蹴らずにそのまま足を前へ出す事ができ、最初の一歩目が早く出るようになります。そうすればスムーズな加速にも繋がります。

尚、これは盗塁を行う際も同じです。盗塁では正面を向いた後、90度反転して次の塁に進みます。この時も、地面を蹴るよりも先に、進む塁の方向へ素早く体重を移動させる事で、最初の一歩目が素早く出るようになります。具体的に言えば、左足で地面を蹴ってから一歩目を出すのではなく、その前に重心を移動させ、地面を蹴らずにそのまま足を出す訳です。もちろんその後は加速を行う必要があるので、地面を蹴り、ストライドとピッチを稼いで推進力を作らなければなりません(ただし足の裏が地面と接している時間を短くする)。また自分のいた塁に戻る場合、その逆の動作を行わなければならず、その練習も必要になります。



●スムーズな加速とトップスピードへの到達

例えば陸上短距離の100m走のように、ある程度の距離がある場合、加速を行う時間を十分に設ける事ができます。実際100m走でトップスピードに到達するのは40〜50m辺りと言われているので、それまでは加速を行う期間です。スタート後、重心を前に置き、体を前傾させたまま地面を蹴り、少しずつストライドを大きくしながら、ピッチも速めていきます。そうして加速を行いながら、少しずつ体を起こしていき、十分に加速ができたら、重心を完全に縦に立てて安定化させます。トップレベルでは100mを9秒台で走るので、実際の加速は非常に短時間で行われますが、加速からトップスピードに至るまでに行う重心移動には、ある程度余裕があります。

一方、本塁から一塁までは27.4mしかないので、加速を行う事ができる期間は当然100m走よりも短くなります。つまりできるだけ早くにトップスピードに到達する必要がある訳です。そのためには100m走で加速を行う際の重心移動よりも、更に素早い重心移動が必要になってきます。具体的に言えば、最初の一歩目から加速を行うまでの「重心を前へ移動させる期間」と、加速を行っている間からトップスピードに到達するまでの「重心を戻して縦に立てる期間」を、短時間の内に効率的に行わなければなりません。

例えば立った状態で、背中を伸ばしたまま、体を前に傾けてみます。すると、ある一定の角度まで前に傾けた時、バランスを取る事ができなくなり、体がこれ以上前に倒れないようにするため、左右どちらかの足が自然と前へ出ると思います。この時、重心は当然前へ移動していますが、足がしっかりと前へ出ています。つまりバッティングを行った後の加速ではこの「重心を前に倒す事で自然と足が前へ出る事」を利用します。すなわち体を一旦前傾させ、その状態で地面を蹴り、ストライドとピッチを少しずつ大きくしていくのです。ただし「少しずつ」と言っても、前述のように実際はかなり短時間で行う必要があります。一歩一歩の加速の要素(ストライドとピッチ)を大きくし、短時間で一気に加速する訳です。これを効率良く行うためにはトレーニングが必要です。

またそうして重心を前へ移動させ、加速すなわちストライドとピッチを稼ぎながら、その途中から重心を少しずつ元に戻していきます。つまり加速後にいきなり体を起こすのではなく、加速をしながら、前へ傾けていた体を少しずつ起こしていき、重心を縦に立てていく訳です。尚、これに関しても「少しずつ」と言っても、実際にはかなり短時間です。特に一歩一歩の加速の効率性により、体を起こす際のタイミングは大きく変わるので、日頃の練習やトレーニングで「自分の現在の走力はどのぐらいなのか」という感覚を掴む事が重要です。それにより最高速に到達する少し前に、体を起こし始めましょう。



●できるだけ減速せずにスライディングする

バッターボックスから一塁へ到達する際や、余裕を持って塁へ到達する事ができる場合、そのまま駆け抜けてベースを踏むだけで良いです。しかし二塁・三塁・本塁に走る際、送球やタッチのタイミングがギリギリになる場合、スライディングが必要になる事があります。その場合、できるだけ減速をせず、そのままスライディング動作に移行する必要があります。これはヘッドスライディングでも同じです。スライディング動作に移行する際、減速してしまっては意味がありません。

特に次の塁に向かってスライディング(通常のスライディング)をする際には、前に踏み出した左足を着地した後、その左の膝を曲げ、腰を低く落とし、右の足先を前に向かって突き出してベースに到達させた後、曲げていた膝を伸ばしてスムーズに立ち上がります。この左の膝を曲げて腰を低く落とす動作は、その前の左足の着地後、できるだけ素早く行われなければなりません。その「ダッシュとスライディング動作の間のラグがない事」が重要になります。尚、自分のいた塁に戻る時にはこの逆のスライディングが必要になる事があります。必要となる場面は多くないですが、逆足でのスライディングも習得しておきましょう。

またそのように減速せずにスライディングするためには、どの位置からスライディングをするかという事も重要になります。塁に近い位置からのスライディングだとそのまま通り過ぎてしまったり、タッチの対象が大きくなるのでアウトになるリスクが高くなりますし、逆に遠すぎると途中でストライドやピッチが変わってしまうので、大きく減速し、やはりアウトのリスクが高くなります。これに関しても、自分の現在の走力によって、どのタイミングで、どの距離からスライディングすれば良いかは大きく変わります。やはり自分で感覚を掴むしかありません。



●味方選手の打球や相手選手の動きを見て走塁する

繰り返しになりますが、これも様々な状況を想定した練習が必要です。「何アウトの時、どの塁にランナーがいて、味方選手がどのようなバッターで、どのようなバッティングをして、守備の位置がどのような状態で、相手選手がどのようにボールに追いついて」という状況を作り、それぞれで走塁を行う訳です。

例えば自分がバッターなら、どのような打球が飛び、どのような守備の状態なら、次の次の塁を狙えるのか、それを見極める練習をします。また塁上にいるなら、味方が打球を飛ばした時、どのような打球なら、どのような守備の状態なら次の次の塁を狙えるのか、それを見極める練習します。その他、盗塁時なら、ピッチャーがどのようなタイミングで、どのような仕草をした時、バッターに投げる可能性があるのか、牽制球を投げる可能性があるのか、それを見極める練習をします。






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