ストレート系の球種における変化・握り・投げ方について

この記事ではジャイロボール以外の球種、特にストレート系の球種(フォーシーム、ツーシーム、カットボール等)における変化・握り・投げ方について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。
(記事作成日時:2014-05-15、更新日時:2019-03-27)

★当記事の目次

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ストレートが何故ストレートなのか

この記事で言う「ストレート」とは真っ直ぐな軌道を描く球種の総称です。日本語では直球と言います。

では、そもそもストレートが何故真っ直ぐな軌道になるかというと、ストレートでは一般的にバックスピンという回転がかかります。この回転は縦方向の逆回転で、ピッチャー側からみると上から下へ、キャッチャー側から見ると下から上へ、一塁側方向から見ると時計回り、三塁側方向から見ると反時計回りに回転しています。

このボールを進行方向が左になるような形で横から見た時、進行方向から受ける空気の流れを実際に見てみると、ボールの上側では空気はスムーズに後方へ流れるのに対し、ボールの下側では回転方向と縫い目によって空気がせき止められ、後方へ流れづらくなります。これによりボールの下側では空気の密度が高くなり、ボールの上側では逆に空気の密度が低くなるため、ボールの上下で圧力に差が生まれます。そうして圧力に差ができると、ボールに対して「圧力の低い方法へと移動する力」が生まれ、これによってボールには上方向への力が働きます。これによりストレートは重力に逆らい、より直線的な軌道になるのです。

特にバックスピンではスピン量が多くなるほど上向きの力が強くなり、またそのバックスピンがより綺麗な縦回転であるほど、その上向きの力は更に強くなります。これによってより直線的な軌道になります。通常、バッターはボールの軌道を予測して打ちに行きます。しかし上向きの力が強いバックスピンストレートは、ボールが殆ど落ちずに来るため、バッターの予測との間で大きな誤差が生まれます。これによりバッターは予測通りバットを出してもバットの上を通過させてしまいます。しかもストレートは最も球速が出るボールなので、ボールが投げられた後で自分の中の予測を変える事は難しいです。このためストライクゾーンのど真ん中でも空振りをしてしまうのです。

尚、バックスピンストレートは全く落ちないという訳ではなく、浮き上がる事はできません。確かにスピン量が多いほど重力に逆らう上向きの力は強くなりますが、単に落ちにくくなっているというだけで、実際には空気抵抗を受けて減速しますし、重力の影響を受けて落下します。また純粋な縦回転のバックスピンを投げているピッチャーはプロでも殆どおらず、大抵は僅かにシュート回転しています。そもそも投球動作自体、人間の体にとっては不自然な動作であり、いくら真っ直ぐ腕を振ろうとしても実際は斜めに振るしかないため、純粋なバックスピンは更に不自然な回転なのです。もちろん投げる事ができれば大きな武器になりますが故障と紙一重になります。個人的にはそこを目指す必要はなく、そこを目指さなくても良いよう、ストレート以外の部分も極めていくべくだと思います。


フォーシームとツーシームの違い

ストレート系で有名な球種に「ツーシーム」があります。この「シーム」については過去の記事でも説明した通り、1回転中に見える縫い目の数の事を言います。すなわち縫い目の数がフォーシームが4本、ツーシームは2本です。本数が少なくなるほど空気抵抗が増え、縦に沈むようになります。尚、例外としてワンシームやゼロシームがありますが、この2つは1回転中の縫い目の数ではなく、単に握る時の縫い目の特徴を表したものです。

よくツーシームはシンカーやシュート方向に変化すると思われていますが、本来はただ単に「沈むストレート」です。何故ツーシームがシンカーやシュート方向へ変化するかというと、握りとリリースの関係で元々シュート回転しやすいからです。しかしいわゆる「マッスラ」のように、回転軸がずれると例えツーシームでもカットボールのように変化してしまいます。

これはあらゆるストレート系のボールに言えます。つまりツーシーム=シンカーではなく、回転により変化する方向が決まっているのです。特に投げる人によって変化する方向や変化量は大きく異なります。「この球種はこの変化」「この球種はこの握り」というように決めつけてしまうと、自分に適した球種を見落とし、自分に適さない球種ばかり練習してしまう事があります。個人的には球種は「回転させる方向や回転軸の傾きを考える→変化する方向や変化量をイメージする→握りを調節する」という形で習得していく事をオススメします。


ストレート系の球種の簡単な分類

★ストレートの分類
●回転や変化による違い
・ストレート:その名の通り横の変化量が小さいストレート。横回転の要素が出るほど横への変化が大きくなり、同時に上向きの力が弱くなるので、縦にも沈むようになる。逆に完全な縦回転ほど上向きの力が強くなるので、より直線的な軌道になり、回転量が多いほど落ちづらくなる。フォーシームの場合、球速(それでも最低140km/h以上)よりもスピン量が重要になる。ツーシームの場合、フォーシームに軌道を似せ、バッターの手元で変化させる事が重要になる。

・カットボール系:利き腕とは逆方向に少し滑るストレート。横回転の要素が大きくなるほど横への変化が大きくなるが、それによって上向きの力も弱くなるので、縦にも多少沈むようになる。また場合によってはジャイロ回転が含まれる事もあり、やはり縦にも沈む事がある。

・シュートボール系:利き腕の方向へ少し滑るストレート。横回転の要素が大きくなるほど横への変化が大きくなるが、それによって上向きの力も弱くなるので、縦にも多少沈むようになる。ジャイロ回転は含まれない事が多い。

・スプリット系:基本的にはバックスピンがかかるが、回転量が減るほど上向きの力が弱くなり、縦の変化が大きくなる。フォークボール、スプリット、チェンジアップ、パームボール、ナックルボールも同じ仕組みで落ちる。すなわちストレートの回転量を落とせば良いので、この記事では便宜上ストレートの一種として扱っている。

●握りや縫い目による違い
・フォーシーム
握り方:横に走る一本の長い縫い目に、人差指と中指を揃えてかけて握る。また両指の位置を左右にずらす事で、横方向への変化を加える事ができる。綺麗なスピンにするためには左右の指を近づけ、ボールの中央を握ると良いが、コントロールは難しくなる。スピン量を増やすには縫い目にかかった指先の皮膚が、リリースの最後の瞬間までボールに残るようにして押し出す。指や手首を過度に曲げ伸ばししてはならない。

ストレート1.png

尚、これは握り方とは別の話だが、リリースポイントの高さやバックスピンの綺麗さに関わらず、回転量が多い場合、球速が150km/hに満たなくても空振りを奪う事ができる。回転量が多ければ140km/h台でも空振りを奪う事も可能(上原浩治など)。一方、メジャーリーグでは150km/h前後のストレートを投げるピッチャーはそれほど珍しくないが、スリークォーターのようにやや横から投げる投法も多く(ランディ・ジョンソン、クリス・セール、マックス・シャーザー、ペドロ・マルティネスなど)、回転量が多ければ、必ずしも「綺麗なバックスピン」である必要はない。

・ツーシーム
握り方:ニ本の短い縫い目を縦にし、その部分に上から人差指と中指を被せるようにして握る。普通に投げてもフォーシームより回転量が落ち、バッターの手元で沈む。また力を入れる指、指と指の間隔によって縦または横の変化を調節する事ができる。横回転の要素を増やせば横への変化量を大きくする事も可能。手の甲の向きをスライダーのようにすればカットボールのような変化も起こす事ができるため、ツーシーム=シンカーとは必ずしもならない。尚、指のかける位置は様々で、短いニ本の縫い目を横にし、そこに指をかける場合もある。

ツーシーム.png

尚、ツーシームは綺麗な縦回転をしているほど下や横への変化は小さくなるが、回転量が少ない場合、綺麗な縦回転でも下に大きく沈むようになる。また横回転の要素が大きければ当然横への変化は大きくなるが、上向きの力が働かなくなるため、実は同時に下への変化も大きくなる。一方、横回転の要素が大きくても回転量が少ない場合、横への変化は小さくなるが、その代わり下に大きく沈むようになる。ツーシームではフォーシームに軌道を似せ、かつバッターの手元で変化させる事が重要だが、それと合わせ、投げる度に変化を調節する事も重要になると思われる。ちなみにメジャーリーグでは150km/hを超すようなツーシームを投げるピッチャーもいる。

・ワンシーム
握り方:人差し指と中指を揃え、縦に走る一本の長い縫い目を挟むようにして握る。すなわち人差し指の外側と中指の内側(人差し指と中指の間)に一本の長い縫い目がちょうど来るような形になる。指先が縫い目にかかっていないため、より回転量が落ち、縦の変化が大きくなる。横回転の要素を増やせば横への変化量も増やす事ができる。ただしコントロールは難しい。

・ゼロシーム
握り方:人差指と中指で、縫い目が全くない所だけを握る、もしくは指先を浮かせて握る。縫い目に指がかかっていないため、より回転量が落ち、縦の変化が大きくなる。横回転の要素を増やせば横への変化量も増やす事ができる。ただしコントロールは難しい。

・カットボール
握り方:フォーシームと同じような握り方だが、人差し指と中指を利き腕側(右投手なら右側に、左投手なら左側に)へ少しだけずらして握る。ただしボールを支える親指の位置はあまり変わらず、中指と人差し指だけをずらす。握りは簡単だが、中心からずらしているため、通常のフォーシームよりはコントロールが難しくなる。ジャイロ回転や横回転の要素を増やせば変化量も増やす事ができるが、回転軸がずれるとシュート方向へと変化する場合がある。意図せずそれが起こった場合、回転量の少ない棒球になりやすいため、回転させる方向についてはある程度制御する必要がある。

カットボール.png

・シュートボール
握り方:フォーシームまたはツーシームと同じような握り方で、リリースの際、中指の指先の外側に力を入れて投げる。横回転の要素を増やせば横への変化量を増やす事ができるが、バックスピンの上向きの力は弱くなるので、同時に縦にも沈むようになる。また横回転の要素を増やそうとして、無理に前腕を捻ると手首・肘・肩の故障の原因になる。尚、意図せずバックスピンストレートがシュート回転する場合もあるが、意図的に投げるシュートボールと異なり、回転量の少ない棒球になりやすい。

・スプリッター
握り方:人差指と中指の間を少しだけ開き、横に走る一本の長い縫い目にかけるようにして握る。バックスピンの回転量が増えるほど縦の変化量は少なくなるが、よりストレートに近い軌道になり、見極めづらくなる。またその方が前腕や肘への負担も抑えられるとされている。一方、指の間を大きく開いて握る事では逆に回転量が減り、縦の変化を大きくする事もできる。ただしコントロールは難しくなり、前腕や肘への負担が大きくなる。尚、指を開いて握る握り方で球速を出すには指の力や握力が必要。

・チェンジアップ
握り方:複数の指でボールを覆うようにして投げる。握り方は人によって異なるが、中指と薬指を横の長い縫い目にかけて握るのが一般的。人によっては人差し指と薬指、あるいは人差し指・中指・薬指、あるいはフォークボールのように指の間を開く、あるいは親指と人差指で輪っかを作る(サークルチェンジ)ような握り方もある。握りの位置をずらせば横への変化をつける事も可能。一方、できるだけストレートに近い握りで投げる事で、軌道もよりストレートに近くなり、見極められにくくなる。ただしスピン量が増えると縦の変化量も小さくなる。また指先を柔らかく使う必要があり、力の入りにくい投げ方で力まずに投げるのは意外と難しい。

※尚、各種握り方の画像は準備中です。



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