シンカー・シュート系の球種における変化・握り・投げ方について

この記事ではジャイロボール以外の球種、特にシンカーやシュート系の球種における変化・握り・投げ方について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。
(記事作成日時:2014-05-10、更新日時:2019-03-29)

★当記事の目次

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シンカーやシュートは何故曲がるのか

シンカーとは、簡単に言うと利き腕と同じ方向へ曲がりながら落ちていく変化球の事です。一方、シュートも利き腕と同じ方向へ曲がる変化球ですが、こちらはシンカーのようには落ちないとされています。これをピッチャー側から見た場合、右投手のシンカーやシュートは右へ、左投手の場合は左へと曲がります。バッター側から見た場合にはそれは逆になり、右投手のシンカーやシュートは左へ、左投手のシンカーやシュートは右へと変化します。そのような球種がシンカーやシュートです。

まず何故シンカーやシュートが利き腕と同じ方向へ曲がるのかというと、これはボールに横回転(シュート回転)がかかっているからです。例えば右投手の投げた横回転(シュート回転)しているボールを、ピッチャー側や一塁側方向から見ると右から左へ、キャッチャー側や三塁側方向から見た場合には左から右へと回転しています。これを進行方向が上に来るような形でボールを上から見た場合に、進行方向(上)から受ける空気の流れを見てみると、ボールの右側では空気がスムーズに後方へ流れるのに対し、ボールの左側では回転方向と縫い目によって空気がせき止められ、後方へと流れづらくなっています。これによりボールの左側では空気の密度が高くなり、ボールの右側では逆に空気の密度が低くなるため、左右で圧力に差が生まれます。そうして圧力に差ができると、ボールに対して「圧力の低い方向へと移動する力」が生まれ、これによってボールには右方向への力が働きます。右投手の投げるシンカーやシュートはこうして右へ、左投手の場合は左へと流れていく訳です。

一方、シンカーとシュートで何故落ち幅が異なるのかというと、これは横回転に含まれる縦回転の要素によって変わります。つまりシュートが落ちないのは横回転よりも縦回転の要素が大きいからで、シンカーが落ちるのは縦回転の要素が小さく、横回転の要素が大きいからです。ここで言う「縦回転」とはすなわちバックスピンの事で、これが含まれるとボールに対して上方向の力が生まれ、重力に逆らうようになります。この重力に逆らう力もボールの上下で圧力に差ができる事によるもので、圧力の低い上方向へ流れている訳です。尚、シンカーではジャイロ回転がかかる場合もあり、その場合も上向きの力が働かず、重力によって縦に落ちます。ただしジャイロ回転の要素が大きくなれば横回転の要素は小さくなるので、横方向への変化も小さくなります。

ちなみにボールはリリースされたその瞬間から空気の影響を受けます。このため投げられたその時点からボールは横に曲がり始めており、横の曲がり幅が大きいほど「この球種はカーブだ」という事が簡単に分かってしまいます。また球速が出なければ山なりの軌道になり、他の球種との差がでやすく、見極められやすくなります。すなわちシンカーやシュートは単に変化量が大きければ良いという訳ではないのです。投げる際には他の球種と上手く組み合わせる必要があるでしょう。


シンカーとシュートは厳密には区別されない

前述のようにシンカーもシュートも、基本的には横回転の要素が含まれていますが、縦回転(バックスピン)の要素が大きくなるほど横の変化は小さくなるので、日本ではこちらをシュートボールと呼んでいます。一方、横回転の要素が大きくなるほど上向きの力は弱くなり、重力による影響を受けやすくなります。これによって縦にも落ちやすくなり、日本ではこちらをシンカーと呼んでいます。

ただし例え縦回転の要素があっても、回転量が少なければ空気抵抗によって縦に沈みます。またストレートは大抵シュート回転が含まれており、実際には完全な真っ直ぐではなく、僅かですが横にも変化しています。実はそれを利用したのがいわゆるツーシームです。ツーシームの変化は特にその握り方と指の長さに関係しており、通常のフォーシームよりも握りづらい事で回転量が少なくなり、それによって縦に沈む上、リリースの際、中指が最後まで残る事でシュート回転がかかりやすいと言われています。このためツーシームでは投げる人によって変化が変わり、シュートのようにもシンカーのようにもなります。すなわち厳密には区別できない場合が多いのです。

特にこのツーシームはメジャーリーグで非常にポピュラーな球種ですが、そのように区別はされず、利き腕と同じ方向へ変化するボールは全て「シンカー」に含まれます。このためメジャーリーグではシュートボールやスクリューボールという球種は存在しません。またメジャーリーグでは投げる度に変化量を調節して投げている人が多いです。何故なら同じ変化よりも、違う変化の方が打たれる可能性が低なるからです。つまり同じシンカーであっても、投げる度に変化は異なるので、その意味でも区別ができず、まとめて「シンカー」として扱うしかないのです。

何が言いたいのかというと、日本の野球では「この球種はこの変化」「この球種はこの握り」というように考え方を固定してしまう人が多いのですが、それだと同じ球種を続けて投げた時、簡単にバッターに見極められてしまいます。それを防ぐには、投げる度に変化を自分で調節する必要があり、そのためには「変化から握り・リリース・回転を考える」という事が重要になります。


シンカー・シュート系の球種の簡単な分類

●変化や回転による分類

・シュートスピン:横回転が主なシンカーまたはシュート。横回転の要素が大きくなるほど横に大きく曲がる。ただし横回転の要素が増える事で縦回転(バックスピン)の要素は減るので、上向きの力が働かず、実際には下にも多少落ちる事になる。このため自分がシンカーとして投げているか、シュートとして投げているかによって呼び方は変わる。尚、上投げでは横回転の要素を増やすのは難しく、大抵は縦回転の要素の方が大きくなる。一方、サイドスローではナチュラルに投げる事ができ、最も横の変化が大きくなる。アンダースローでも投げる事は可能。

・トップスピン(縦回転、ドライブ):バックスピンとは逆の回転をするトップスピン(ピッチャー側から見て下から上に回転)が主なシンカー。縦回転の要素が増えるほど横の変化は小さくなるが、その代わりに縦に大きく落ちる。ただしリリースポイントの低い投法でしか、この回転をかける事はできない。

・ジャイロスピン:シュート回転とジャイロ回転の間の回転。上投げの場合、ピッチャー側から見た回転軸は下向きになる。ジャイロ回転の要素が増えるほど横の変化が小さくなるが、その代わりに縦に大きく落ちる。下投げでは難しいが、上投げでは投げる事自体は可能。ただし意図的に回転をかけるにはややコツが必要で、慣れていなければ肘や肩に負担がかかりやすい。ちなみに下投げの場合、ピッチャー側から見た回転軸は上向きになる。

・バックスピン:バックスピン(ピッチャー側から見て上から下に回転)が主なシュートまたはシンカー。横回転よりも縦回転の要素が大きいため、重力に逆らいながら横に少しだけ曲がる。尚、縫い目によっても変わり、フォーシーム<ツーシーム<ワンシーム<ゼロシームの順に変化量は大きくなる。


●球速による分類

・高速シンカー:球速のあるシンカーの事。山なりにはならず、より直線的な軌道を描くため、バッターに見極められにくい。尚、メジャーリーグでは利き腕方向へ曲がるボールをシンカーと総称しており、その中にはストレート系の球種であるツーシームも含まれる。そのため場合によってはストレートの球速に近いような球速を持つ場合もある。

・シンカー:それなりに球速があるとされるシンカーの事。少し山なりになり、ストレートほど直線的ではないが、他の同じ球速の変化球とは軌道を似せる事はできるため、使い方によっては見極められにくい。

・スクリューボール:球速が遅く、山なりの軌道になるとされている。すなわちカーブとちょうど真逆のような軌道になる。最近ではこの球種を使っている選手は減っている。また日本では左投手の投げるシンカーをスクリューと呼ぶ事が多いが、メジャーリーグでは殆ど使われず、シンカーとして扱われる。

・シュートボール:球速が出ており、軌道はストレートと同じくほぼ真っ直ぐだが、バッターの手元で横に曲がるとされている。尚、シュートボールという言葉はメジャーリーグでは殆ど使われない。


●握りによる分類

・通常のシンカー

シンカーは人差し指と中指を短い縫い目の部分にかけ、中指と薬指の間で挟むようにして握ります。親指はボールを下から支える形です。画像にするとこのような感じになります(右ピッチャーが投げる場合)。

シンカー握り例.png

リリースの際にはボールの内側からリリースされ、中指の外側全体で回転がかかります。これによりシュート回転がかかり、右投手ではボールが右へと変化します。ただしボールの横を擦るようにすると球速が出ないので、斜め下に向かって押し出すように投げます。また回転をかけようとして無理に捻る必要はありません。できるだけストレートに似せる事が重要です。

尚、上にある画像の握り方はあくまで一例です。人によっては中指と薬指の間をフォークボールのようにして開き、挟むようにして握ったり、チェンジアップのようにして握り、同じようにボールの内側から回転をかけるようにしてリリースする方法があります。その他、そのままツーシームの投げ方で、それをシンカーとして使う場合もあります。その場合、指先の力加減や回転をかける方向などによって変化量が調節できます。


・スクリューボール

前述したようにスクリューボールとは山なりの軌道を描くシンカーとされている(日本では左投手のシンカーをそう呼んでいるが)ので、理論的にはシンカーの球速を落とすだけで投げる事は可能です。球速を落とすためには指で挟んだり、指の本数を増やせば良いので、基本的にはチェンジアップのような握りになります。チェンジアップではバックスピンをかけ、ストレートに軌道を近づけますが、スクリューではその状態で、リリースする際に意図的にシュート回転をかけるようにして投げます。

尚、動画を見た方が分かりやすいと思います。名の知られているプロのピッチャーでは潮崎哲也選手や高橋一三選手がその使い手でした。参考→スクリューボールの動画潮崎哲也投手の動画


・シュートボール

フォーシームまたはツーシームと同じように握り、リリースの際、中指の指先の外側に力を入れる事で、ボールにシュート回転がかかります。投げる人は少なくなっていますが、そのような投げ方が主流で、大きく変化させる事を目的とはしていません。一方、前述と同じように中指の外側全体に力を入れる事では、シュート回転の要素が大きくなり、横への変化が大きくなります。過去には切れ味鋭いシュートをカミソリシュートなんて呼んだ事もありました。ただしリリースの仕方や軌道ができるだけストレートに近くなるのがポイントな上、無理に捻ると手首・肘・肩に大きな負担がかかるため、そのように意図的にシュート回転を多くする必要はないかもしれません。

※尚、各種握り方の画像は準備中です。




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