カーブ系の球種における変化・握り・投げ方について

この記事ではジャイロボール以外の球種、特にカーブ系の球種(スローカーブ、カーブ、ナックルカーブ等)における変化・握り・投げ方について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。
(記事作成日時:2014-05-10、更新日時:2019-03-28)

★当記事の目次

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カーブは何故曲がるのか

カーブとは、簡単に言うと利き腕とは逆方向へ、落ちながら曲がっていく変化球の事です。投げている側から見て右投手のカーブは左下へ、左投手のカーブは右下へと曲がります。また右打者から見れば右投手のカーブは外へ逃げながら落ちていき、左投手のカーブは内に向かいながら落ちていきます。左打者から見れば右投手のカーブは内に向かいながら落ちていき、左投手のカーブは外へ逃げながら落ちていきます。そのような球種の総称が「カーブ」です。

まず何故カーブが利き腕とは逆方向へ曲がるのかというと、これはボールに強い横回転(スライダー回転)がかかっているからです。横回転しているボールを、例えば右投手や一塁側方向から見た場合には左から右へ、キャッチャー側や三塁側方向から見た場合には右から左へと回転しています。これを進行方向が上に来るような形でボールを上から見た場合に、進行方向(上)から受ける空気の流れを見てみると、ボールの左側では空気がスムーズに後方へ流れるのに対し、ボールの右側では回転方向と縫い目によって空気がせき止められ、後方へと流れづらくなっています。これによりボールの右側では空気の密度が高くなり、ボールの左側では逆に空気の密度が低くなり、左右で圧力に差が生まれます。そうして圧力に差ができると、ボールに対して「圧力の低い方向へと移動する力」が生まれ、これによってボールには左方向への力が働きます。右投手の投げるカーブはこうして左へ、左投手のカーブはこうして右へと流れていく訳です。

一方、カーブでは横回転よりも縦回転の要素が大きいという特徴があります。ここで言う「縦回転」とはバックスピンとは逆の「トップスピン(ドライブ回転)」の事であり、これによってボールに対して下方向への強い力が生まれ、大きく下へと変化します。トップスピンをしているボールを進行方向が左になるようにして横から見ると、ボールの下側では空気がスムーズに後方へ流れるのに対し、ボールの上側では回転方向と縫い目によって空気がせき止められ、後方へと流れづらくなっています。これによりボールの上下でも圧力に差が生まれ、圧力の低い下方向へ流れていくのです。前述のようにカーブには横回転が含まれていますが、下方向の力が生まれるトップスピンの要素が強いので、これによって斜め方向へと変化する訳です。尚、リリースの関係上、カーブでは球速が出にくいため、基本的には山なりの軌道になります。これこそがカーブの最大の特徴で、これほど山なりの軌道を描く球種は他にありません。

ただしボールはリリースされたその瞬間から空気の影響を受けます。このため投げられたその時点からボールは横及び下方向に曲がり始めており、曲がり幅や落ち幅が大きいほど「この球種はカーブだ」という事が簡単に分かってしまいます。特にカーブはそのように球速が出にくいため、単に投げるだけでは簡単に見逃されたり、バットを合わせられて打たれてしまいます。すなわちカーブは単に変化量が大きければ良いという訳ではありません。投げる際には他の球種と上手く組み合わせる必要があります。


カーブにもフォーシームとツーシームがある

ストレート系で有名な球種に「ツーシーム」があります。この「シーム」については過去の記事でも説明した通り、1回転中に見える縫い目の本数の事を意味しています。すなわち同じストレートでも1回転中に見える縫い目の数が4本だとフォーシーム、2本だとツーシームです。何が言いたいのかというと、おそらくこれは殆ど知られていない事ですが、カーブのような縦回転や横回転でも、実は同じようにフォーシームとツーシームがあります。

フォーシームとツーシームの違いとしては、まずフォーシームでは4本の縫い目によって1回転中に4回空気を掻く事ができます。このためフォーシームの方が横や縦の変化は大きくなります。一方、ツーシームでは2本の縫い目だけで空気を掻く事になる上、その2本の縫い目は一部分に偏っています。このためフォーシームよりも変化は小さくなりますが、空気抵抗は大きくなるため減速しやすく、縦へ大きく変化するようになります。ただし握り方の問題で、ツーシームで回転をかける場合、フォーシームよりも球速が出にくいです。このため球速を出すようなカーブの場合にはフォーシームで投げた方が良い場合もあります。

更にカーブでは、横回転の程度や縦回転の程度によっても横や縦の変化は異なります。最近では球速のあるカーブを投げる人も増えてきており、握りや投げ方によってはより直線的な軌道を描くスライダーのような軌道になる場合もあります。そのためその球種を「スライダー」とするか「カーブ」とするかは、結局投げている本人の意思により、厳密には区別する事ができない場合もあります。

尚、これは別の言い方をすると、握りや投げ方によって自分で変化を調節する事ができるという事です。投げる度に変化を調節すれば、続けて投げても、打たれる可能性を抑える事ができます。特に「カーブはこの変化」「カーブはこの握り」「カーブはこの回転」と最初から決めつけてしまうと、自分に適したカーブとは違うカーブばかり極めてしまい、どうしても効率の悪い練習になってしまいます。球種は「回転させる方向や回転軸の傾きを考える→変化する方向や変化量をイメージする→握りを調節する」という形で習得していく事をオススメします。


カーブ系の球種の簡単な分類

●変化による分類

・縦のカーブ(ドロップカーブ):横回転が少なく縦回転(トップスピン)が主となっており、これによって横の変化が小さく、縦の変化が大きくなる。また横回転の要素が少なく、縦回転の要素が大きくなるほど、より縦に大きく落ちるようになる。ただし球速は出にくい。球速が遅いほど山なりの軌道になり、バッターには分かりやすくなる。尚、メジャーリーグでは「12to6(トゥウェルブ・トゥ・シックス)カーブ:時計の12時の方向から6時の方向へ変化する事から」と呼ばれる事もあります。

・横のカーブ:横回転が主で縦回転の要素が少ない。このため横への変化が大きくなる。ただし重力による影響は受けるので、縦にも落ちる。球速を出せばスライダーのような軌道になるが、横への変化が大きくなるとバッターには見極められやすくなる。

・スラーブ:カーブでは縦回転または横回転が主となるのが正常だが、そこにジャイロ回転が加わる場合がある。その場合、スライダーとカーブの間のような独特の軌道を描く。ただし球速が出ない場合、やはり山なりの軌道になりやすく、見極められやすい。

・パワーカーブ(ナックルカーブ):単純に球速の出るカーブの事で、特にその中でも軌道がより直線的なカーブの事を言う。握り方にも特徴があり、より力が入りやすくなるよう、人差し指と中指で押すようにして回転をかける事が多い。また指を立てて握る「ナックルカーブ」もここに含まれる場合がある。


●球速による分類

・パワーカーブ:単純に球速のあるカーブの事。カーブにも関わらず山なりにはならず、より直線的な軌道を描く。そのためバッターに見極められにくい。軌道的にはスライダーに近くなる場合もあるが、こちらは基本的に斜め下方向へと変化する。
・スローカーブ:単純に球速の遅いカーブの事。球速が遅くなるほど軌道は山なりになり、まさに「カーブ」というような軌道になる。ただしスピン量が少ないとただの遅いボールになる。また軌道が特徴的で分かりやすい。


●握りによる分類

・通常のカーブ

カーブの基本的な握りは、ボールを正面から見た時、上側に長い縫い目が来るようにします。そしてその長い縫い目に人差し指と中指をかけ、親指はその反対側に置きます。画像にするとこのような感じです。
カーブ握り例.png

実際にボールを握って正面から見ると、このように指が「⊃」のような形になります。この状態で投げると、人差し指の内側を使って回転がかけられ、縦と横の間の回転、すなわち斜めの回転がかかります。これによりカーブは斜め方向へと変化します。尚、指の位置によっては横回転の要素を増やしたり、縦回転の要素を増やしたりする事もできます。縦に変化する場合、ドロップカーブと呼ばれる事もあります。

尚、日本では「人差指と親指の間からボールを抜くようにして投げる」と教わる事が多いのですが、そのようなリリースの仕方だと球速が出ず、軌道が山なりになって見極められやすくなり、かつ回転量も減るため、変化量も小さくなってしまいます。逆に回転量を増やそうとして無理に手首や前腕を捻ったりすると、フォームの違いからバッターに見極められてしまう上に、関節への不要な負担によって怪我の原因にもなります。そのようなカーブは例え変化量が大きくても、個人的にはあまり使い物にならないと思います。変化量を大きくする事だけを目指すべきではありません。


・パワーカーブ

パワーカーブとは単純に球速のあるカーブの事です。別名ハードカーブとも呼ばれます。

握り方は前述した通常のカーブとほぼ同じですが、手の甲の向きと握る指の位置が変わります。前の画像ではボールを正面から見た時の指の形が「⊃」となっていますが、これを「ボールを横から見た時に指の形が「⊃」となる」ようにして握ります。つまりこれによって手の甲がピッチャー側を向くようになります。また握る場所はボールの中央よりもやや端にある、長い縫い目に対して斜めになるように指をかけますが、短い縫い目の所にちょうど中指の指先が当たるようにします。そしてリリースの際、その中指の先を使い、短い縫い目の部分を斜め下方向(地面の方向)へ押し出すようにして回転をかけます。

カーブ握り例2.png

リリースの仕方は縦のスライダーと似ていますが、そのように前に向かって回転をかけるため、このカーブではジャイロ回転ではなく主に縦回転が加わります。これにより通常のカーブよりも球速が出る上、縦方向に大きく変化します。ちなみに縦に変化する場合、ドロップカーブと呼ばれる場合もあります。


・ナックルカーブ

ナックルカーブとは人差し指の指先をボールに立てて握ったり、人差し指の第一関節を折り畳んだ状態で握るようなカーブの事です。上にある画像の場合、手前の人差し指を立て、縫い目の前に、縫い目の手前を指で押すような形にします。尚、回転のかけ方は様々で、通常のカーブと同じようにリリースしたり、立てた指で縫い目を押し出すようにしてリリースしたり、折り畳んだ指でボールを弾くようにしてリリースするものがあります。リリースの関係上、いずれも縦回転がかかりやすいため、縦に大きく変化するという特徴があります。

特にメジャーリーグでは速球派のピッチャーに好まれており、球速が出やすいと言われています。このためナックルカーブはパワーカーブやハードカーブに含まれる事が多く、また縦の変化量が多ければドロップカーブにも含まれるため、厳密に区別されている訳ではありません。特徴的な握り方により便宜上ナックルカーブと呼んでいるだけです。尚、ナックルカーブは手の大きさが小さい人には投げるのが難しく、また手の大きい人でもコントロールが難しいというデメリットがあります。

※尚、各種握り方の画像は準備中です。