回転・変化量・変化させる方向から握りを考えよう

この記事では特にジャイロボール以外の既知の球種(ストレート系、スライダー系、カーブ系、フォーク系、シンカー系、シュート系)の「握り方に対する考え方」について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。
(記事作成日時:2014-05-02、更新日時:2019-03-27)

★当記事の目次

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ジャイロボール以外の球種を覚えるメリットもある

当ブログで言っている「ジャイロボール」とは、フォーシームジャイロとツーシームジャイロの事を指しています。純粋な回転のジャイロボールは回転軸が進行方向と一致しており、上向きの力も、横向きの力も、下向きの力も働きません。しかし重力の影響は受けるので縦に変化する、そういうボールです。尚、縫い目が関係なしにジャイロ回転したボール、あるいは意図せずにジャイロ回転したボールはジャイロボールとは扱いません。

一方、純粋なジャイロ回転から回転軸を下方向に45度傾けると、横回転とジャイロ回転のちょうど中間の回転になります。特にジャイロ回転は右投手の場合は時計回りに、左投手の場合は反時計回りに回転しているので、右投手で下に回転軸を傾けると、時計回りのジャイロ回転と左から右に回転する横回転のちょうど中間の回転になります。また左投手で同じように下に回転軸を傾けると、反時計回りのジャイロ回転と右から左に回転する横回転のちょうど中間の回転になります。

ボールが純粋な横回転をしている場合、左から右に回転していれば左向きの力が働き、ボールは左へ流れていきます。また右から左に回転していれば右向きの力が働き、ボールは右へと流れていきます。このため横回転が純粋であるほど、横への変化は大きくなります。しかしそこにジャイロ回転が加わると、横回転の要素は半分失われます。つまり純粋な横回転と、ジャイロ回転と横回転の中間の回転では、当然前者の方が横方向への変化量は大きいのです。

何が言いたいのかというと、例えばバッターの中には横方向の大きな変化に弱いという人もいます。もしそのような横方向の変化に弱いバッターと対戦する場合、ジャイロボールを投げるよりも、単純に横回転の要素が大きいボールを投げた方が効果的な訳です。既知の球種ではスライダー、カーブ、シンカー、シュートなどが該当します。つまりジャイロボール以外の球種を投げた方が楽に抑える事ができる場合もあるため、ジャイロボール以外の球種を覚えておいて損はないでしょう。もちろん球種が多いほど良いという訳ではありませんが。


球種を回転・変化の方向ごとに分類してみよう

★ジャイロボールの「回転」による分類(右投手が投げる側から見た場合。通常は時計回りの回転)
●フォーシームジャイロ、ツーシームジャイロ、ワンシームジャイロ
・ジャイロバックスピン(ジャイロ回転+バックスピン)
・ジャイロスライダー(ジャイロ回転+スライダースピン):下投げではやや難しい
・ジャイロトップスピン(ジャイロ回転+トップスピン):実際は投げる事すら難しい
・ジャイロシュート(ジャイロ回転+シュートスピン):上投げではかなり難しい
●純粋なジャイロ回転のボール
・フォーシームジャイロ、ツーシームジャイロ、ワンシームジャイロ
●逆回転のジャイロボール(反時計回りの回転)
・ジャイロシンカー(ジャイロ回転+シュートスピン):これ以外はかなり難しい

★ジャイロ回転以外の「回転」と「変化」による分類(右投手が投げる側から見た場合)
●バックスピン(下回転、縦回転):重力に逆らう
●バックスピン+スライダースピン(右回転、左斜め回転):重力に逆らいながら左へ少し曲がる
●スライダースピン(右回転、横回転):左へ大きく曲がる
●スライダースピン+ドライブスピン(右回転、右斜め回転):左へ曲がりながら落ちる
●ドライブスピン(順回転、縦回転):下へ大きく落ちる
●ドライブスピン+シュートスピン(左回転、左斜め回転):右へ曲がりながら落ちる
●シュートスピン(左回転、横回転):右に大きく曲がる
●シュートスピン+バックスピン(左回転、右斜め回転):重力に逆らいながら右へ少し曲がる
●ナックススピン(ほぼ無回転):ランダムに変化しながら落ちる

★ジャイロボール以外の既知の球種の分類(日本の場合)
●直球系
・フォーシーム(バックスピンストレート)
・ツーシーム(バックスピンストレート)
・ワンシーム(バックスピンストレート)
●スライダー系
・スライダー
・カッター(カットボール)
●カーブ系
・カーブ(ナックルカーブ他)
・スローカーブ(低速のカーブ)
●落下系 ・スプリッター(スプリット、フォークボール)
・チェンジアップ(サークルチェンジなど) ・パームボール
・ナックルボール
●シンカー系
・シンカー
・スクリュー(低速のシンカー)
●シュート系
・シュート

尚、メジャーリーグではシンカーやシュートのように、利き腕の方向へ曲がるボールをシンカーと言います。このため直球系のツーシームやワンシームなどもシンカーに含まれる場合があります。


回転させる方向から握りを考える

今までジャイロボールだけを投げるという事を考えてきた人が、いきなりジャイロボール以外のボールを投げようとすると、「どうやって投げれば?」とイメージしにくい人が多いと思いますが、実際には簡単で、ただ単に純粋なジャイロ回転のボールの「回転軸をずらしていく」だけです。

例えば右ピッチャーが投げる純粋なジャイロ回転のフォーシームジャイロ。手前に見える回転軸を下へ45度傾けると、前述したように横回転とジャイロ回転が半分半分の回転になります。そこから更に45度傾けると回転軸が地面と垂直になり、ジャイロ回転が全くなくなり、純粋な横回転のみの回転となります。これこそがスライダーであり、横へ大きく曲がる変化球です。右投手の場合、利き腕とは逆の左へ曲がる事になります。横への変化量を抑えたいなら、ジャイロ回転の要素を増やすか、縦回転の要素を増やせば良いだけです。

同じように右ピッチャーが投げる純粋なジャイロ回転のフォーシームジャイロ。同じように、今度は手前に見える回転軸を上へ45度+45度=90度傾けると、純粋な横回転のみのシュート回転になります。右投手の場合は利き腕と同じ右へ曲がる事になります。やはり横への変化量を抑えたいなら、ジャイロ回転の要素を増やすか、縦回転の要素を増やせば良いだけです。

同じように右ピッチャーが投げる純粋なジャイロ回転のフォーシームジャイロから、手前に見える回転軸を右へ45度+45度=90度傾けると、純粋な縦回転のみのトップスピン(ドライブ回転)になります。下への変化量を抑えたいなら、ジャイロ回転の要素を増やすか、横回転の要素を増やせば良いだけです。

同じように右ピッチャーが投げる純粋なジャイロ回転のフォーシームジャイロから、手前に見える回転軸を左へ45度+45度=90度傾けると、純粋な縦回転のみのバックスピンになります。これは一般的なピッチャーの投げるバックスピンのストレートと同じです。尚、バックスピンのストレートは1回転中に見える縫い目によって、フォーシーム、ツーシーム、ワンシームと分類されます。ですので握る際の縫い目の位置を変えればそれらも投げ分ける事は容易でしょう。シンカー方向への変化量を増やしたければ横回転を増やせば良いだけです。

そのようにして変化量や変化させたい方向をイメージしたら、後はその通りに回転をかけるように投げれば、各種球種は簡単に投げる事ができます。「スライダーはこの握りやこの投げ方(ボールの横を切るなどとよく言われる)」「カーブはこの握りやこの投げ方(⊃の形など。人差し指と親指の間から抜くなどとよく言われる)」という考え方をする人は多いのですが、「どのような回転をかければどのように変化するか」が分かっていれば、握りや投げ方を固定化する必要はありません。フォークボールのような特殊な球種は別として、握りは「その回転をかけるために投げやすい握り」にすれば良いでしょう。尚、そうして握りを自分の中で固定化しない事では、投げる度に自分で変化量を調節する事もでき、同じ球種を続けて投げても打たれる可能性が低くなります。その意味でも「この球種はこの握り」と固定化するのではなく、回転→変化→握りと考えましょう。

ちなみに純粋な横回転とは言いましたが、実際にはプロでも、純粋な横回転のスライダーや純粋な縦回転のバックスピンストレートを投げている選手はいません。球速の出るバックスピンストレートは別として、横や下方向への変化量が大きくなると、他の球種との見極めがしやすくなるため、ただ単に変化量を増やせば良いという訳ではないのです。ここでは「純粋な横回転に近づけるほど横の変化が大きくなる」「ジャイロ回転の要素を減らす事で横方向の変化が大きくなる」「時にはジャイロ回転の要素を減らす方が効果的な場合もある」という事が理解できれば良いでしょう。




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