ジャイロボール以外の変化球

「ジャイロボール以外の変化球」について。 
 
 
当ブログで言う「ジャイロボール」とは、
主にフォーシームジャイロとツーシームジャイロ、
そしてそれぞれの回転軸をずらしたジャイロズレの事を指しています。
(ただ単にジャイロ回転したボールはジャイロボールとは言わないという事)

ジャイロズレは回転軸の傾きによって変化が異なるため、
理論的には「無限」と言って良いほど球種の数がありますが、
ジャイロズレには、
「回転軸を傾けてジャイロ回転を増やしていくと横の変化が小さくなる」
という共通の欠点があります。

横の変化に弱いバッターがいた場合、
横の変化が小さいジャイロズレでは不十分です。
変化が小さい分、打たれる可能性も高くなるでしょう。

すなわち横の大きな変化を利用してバッターを打ち取るためには、
ジャイロ要素が入っていない変化球を使う必要があるという事です。
「ジャイロ要素が入っていない」とは、
ジャイロ回転しておらず、回転軸が進行方向へ向いていないボールの事です。
簡単に言うとスライダーのような横回転のボールの事ですね。

例えばスライダーには縦に変化するいわゆる「縦のスライダー」がありますが、
縦に落ちるスライダーを投げているピッチャーは、
回転軸がズレてジャイロ回転が加わったスライダーを投げています。

スライダーは上から投げるほどジャイロ回転しやすくなります。
これは腕が上から下へ振り下ろされ、それに応じて回転軸がずれる事によります。
横回転の効力が弱くなって横の変化が小さくなる代わりに、
ジャイロ要素が増え、落ちる変化が増えているのです。

一方、横に曲がるスライダーを投げるピッチャーは、
横回転が主な回転のスライダーを投げています。
腕を横から横へ振り抜くサイドスローでは、
純粋な横回転に近いスライダーを投げる事ができ、
上から投げるよりも横へ大きく曲がるスライダーを投げる事ができます。

ジャイロボールには横に大きく変化するボールがありませんので、
いずれジャイロボール以外の球種が必要になってくる機会が来ると思います。
ジャイロボールだけを投げるのがジャイロボーラーではないという事です。

相手を抑える率をより高めるためには相手のバッターに応じて、
相手が苦手とする球種を使う必要があります。
そのためにジャイロボール以外の球種を覚えておいて損はないと思います。
まぁもちろんジャイロボール以外の球種をたくさん覚えたからといって、
それぞれのキレやコントロールが悪かったら話しになりませんが(笑)



では球種について簡単に分類してみます。

★ジャイロボールの「回転」による分類(右投手が投げる側から見た場合、時計回りの回転)
●フォーシームジャイロ、ツーシームジャイロ、ワンシームジャイロ
・ジャイロバックスピン(ジャイロ回転+バックスピン)
・ジャイロスライダー(ジャイロ回転+スライダースピン)
・ジャイロトップスピン(ジャイロ回転+トップスピン)
・ジャイロシュート(ジャイロ回転+シュートスピン)
●純粋なジャイロ回転のボール
・フォーシームジャイロ、ツーシームジャイロ、ワンシームジャイロ
●逆回転のジャイロボール(反時計回りの回転)

★ジャイロ回転以外の「回転」による分類(右投手が投げる側から見た場合)
●バックスピン(下回転、縦回転):重力に逆らう
●バックスピン+スライダースピン(右回転、左斜め回転):重力に逆らいながら左へ少し曲がる
●スライダースピン(右回転、横回転):左へ大きく曲がる
●スライダースピン+ドライブスピン(右回転、右斜め回転):左へ曲がりながら落ちる
●ドライブスピン(上回転、縦回転):下へ大きく落ちる
●ドライブスピン+シュートスピン(左回転、左斜め回転):右へ曲がりながら落ちる
●シュートスピン(左回転、横回転):右に大きく曲がる
●シュートスピン+バックスピン(左回転、右斜め回転):重力に逆らいながら右へ少し曲がる
●ナックススピン(ほぼ無回転):ランダムに変化しながら落ちる

★球種の分類
●直球系
・フォーシーム(バックスピンストレート)
・ツーシーム(バックスピンストレート)
・ワンシーム(バックスピンストレート)
●スライダー系
・スライダー
・カッター(カットボール)
●カーブ系
・カーブ
・スローカーブ(低速のカーブ)
●落下系
・スプリッター(スプリット、フォークボール)
・チェンジアップ
・ナックルボール
●シンカー系
・シンカー
・スクリュー
●シュート系
・シュート

分類は以上です。
尚、メジャーリーグではシンカーやシュートのように、
利き腕の方向へ曲がるボールをシンカーと言います。
(直球系のツーシームやワンシームもシンカーに含まれる場合がある)

今までジャイロボールだけを投げるという事を考えてきた人が、
いきなりジャイロボール以外のボールを投げようとすると、
「どうやって投げれば?」と結構イメージしにくい人が多いと思いますが、実は結構簡単です。

ただ単に純粋なジャイロ回転のボールの「回転軸をずらしていく」だけで良いのです。

例えば右ピッチャーが投げる純粋なジャイロ回転のフォーシームジャイロ。
手前に見える回転軸を下へ45度傾けると、
横回転とジャイロ回転が半分半分のジャイロスライダーになります。
(ジャイロスライダーについては過去記事へ)

ここから更に45度傾けると回転軸が地面と垂直になって、
ジャイロ回転がなくなり、横回転のみとなります。
これが純粋な横回転のみのスライダーであり、最も横へ曲がる変化球です。
(右投手の場合は利き腕とは逆の左へ曲がる)

同じように右ピッチャーが投げる純粋なジャイロ回転のフォーシームジャイロ。
これを今度は手前に見える回転軸を上へ45度+45度=90度傾けると、
純粋な横回転のみのシュートになります。
(右投手の場合は利き腕と同じ右へ曲がる)

同じように右ピッチャーが投げる純粋なジャイロ回転のフォーシームジャイロから、
手前に見える回転軸を右へ45度+45度=90度傾けると、
純粋な縦回転のみのドライブ(トップスピン)になります。

同じように右ピッチャーが投げる純粋なジャイロ回転のフォーシームジャイロから、
手前に見える回転軸を左へ45度+45度=90度傾けると、
純粋な縦回転のみのバックスピンになります。
これは一般のピッチャーが投げるバックスピンのストレートですね。

ちなみにバックスピンのストレートは1回転中に見える縫い目によって、
フォーシーム、ツーシーム、ワンシームと分類されます。
ので、握る際の縫い目を変えれば投げ分ける事はできるでしょう。

このように回転軸を45度+45度=90度傾けるだけで、
ジャイロボール以外の球種を投げる事ができます。
まぁ実際には90度ピッタリで傾ける必要はないんですけどね。

プロでも純粋な横回転のスライダーや、
縦回転のバックスピンストレートを投げている選手はほとんどいません。
ので、角度はそこまで厳密にする必要はありません。
「純粋な横回転に近づけるほど横の変化が大きくなる」という事が理解できればおkです。

またそれは回転軸の傾きによって、
「横の変化を調節できる」という事も意味しています。
この「回転軸の傾きの調節」はジャイロズレを投げる際と同じ考え方です。

これまでジャイロズレの練習をして習得した人は、
常に回転軸や縫い目を気にしてきたはずです。
ので「回転軸を傾ける」という事自体はそれほど難しくないのではないでしょうか。
(ただ、それと「狙った場所へコントロールする」とは別問題)
そこまで難しく考えなくて良いという事ですね。



そして肝心の握りについてです。
普通の人はカーブを投げるためにはこの握り、
フォークボールを投げるためにはこの握りというように、
「球種」を握りから考えていると思います。

しかし重要なのは握りよりも「回転」なのです。
プロのピッチャーの握りを真似しどれだけ完璧な握り方をしても、
正しい回転のかけ方、リリースの仕方がなければ、
ボールは自分の思ったような変化をしてくれません。

指の長さ・太さ・厚さ、手の大きさ、皮膚の柔らかさ、
指の関節の柔軟性などが人によって違うからです。
すなわち自分の手に合った「握り」でなければならないという事です。

どのように回転をかけたらどのように変化するかが重要なのです。
その回転のボールを投げるためにはどのような握り方をすれば投げられるか、
と「回転のかけ方から握りを決める」ようにしましょう。

すると人から教えてもらったりプロの選手の真似をしないでも、
自分で自由に球種を習得していけるようになります。
それによっては自分に合ったオリジナルの握りになっていきますし、
次第にコントロールも良くなっていくと思います。
(もちろんむやみやたら球種を増やせば良いってものでもない)

考え方の例を挙げます。
上記の「回転」による分類をご覧下さい。
ここにはどのような回転をかけるとどのような変化をするかを書いています。

この内の「スライダースピン」を例にします。
このスライダースピンは純粋な横回転のみの「右回転」です。
右回転というのは右投手側から見て、
ボールが左から右へ回転しているという事です。
この回転をかけると利き腕とは逆の方向、左方向へ曲がります。

要は右回転のボールを投げるためには、
どのような握りで投げればその回転でボールを投げる事ができるか?
という事を考えるという事です。

この回転においては、
まずボールを正面から見て右側に縫い目が来るようにします。
その縫い目の「手前」に中指を置き、
その中指に揃えるように人差し指を置くようにします。
(人差し指は縫い目にかかっていてもいなくてもおk)
そしてその中指と人差し指の反対側に親指を持ってきます。

手の形は「∪」の形になっています。
この状態でボールの右側を中指の外側で前へ擦るように曲げれば、
右回転のボールを投げる事ができます。

ただし上投げで無理に純粋な横回転をかけようとすると関節に大きな負担がかかります。
何故なら腕は前ではなく上から下へ振り下ろされるからです。
怪我と切れ味鋭い必殺球は紙一重なのです(伊藤智仁選手のスライダーの例)。
ロマンはありますが純粋な横回転を目指すのはやめておいた方が良いです。

上記にも書きましたがこの回転をかけようとすると、
回転軸がズレてジャイロ回転が入ってしまいますが仕方ありません。
純粋な横回転を目指すよりも打者の手元でいかに変化させるかという事を目指しましょう。
バッターにとって手元で急に横に大きく曲がるように見えれば良いという事です。
それによっては握りも変えていく必要があるでしょうね。

ちなみに物理的にボールがバッターの手元で急に曲がったりする事はありえません。
実際にはボールが空中に放たれてから既に曲がっており、
バッターの手元で大きく曲がったように見えるのは、
バッターの目線で見ると曲がっているように見える「錯覚」です。

特にボールが落ちて行く時にその錯覚も大きくなるようです。
ボールが落下していくに応じて、
横の変化も縦の変化もバッターには誇張されて見えてしまうのです。
プロのピッチャーはこれを意識的・無意識に、
上手く利用する事でバッターを打ち取っています。

横や縦に変化するボールは、
バッターの手元で落下するようボールの最終的な到達点を調節し、
そのような軌道になるよう自分に合った握りを追求しましょう。

※ジャイロボール以外のそれぞれの球種についてはまた別途紹介します。
posted by SaruyaMichael at 23:00 | TrackBack(0) | ジャイロボール以外の球種 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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