野球で起こりうる肩・肩甲骨の怪我

この記事では野球をしていて起こり得る怪我、特に肩や肩甲骨周りの怪我について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。尚、この記事はあくまで「こういう怪我がある」という事を羅列しているだけです。それぞれの治療法に関してはお医者さんの指示に従いましょう。
(記事作成日時:2013-08-22、更新日時:2019-04-25)

★当記事の目次

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●肩・肩甲骨に関する怪我

ルーズショルダー(肩関節不安定症、動揺肩)

ルーズショルダーとは、何らかの理由で肩の関節が固定されず、腕の骨あるいは肩甲骨の位置が定まらない状態になる事を言います。主な原因は肩甲骨と上腕骨を繋いでいる靭帯あるいは腱が何らかの理由で緩くなってしまう事によるもので、それによって腕の骨がズレ、骨と周囲の組織が擦れ合う事で高頻度に炎症を引き起こします。人によっては靭帯を損傷したり、腕を振るだけで脱臼をしてしまったり、骨同士が当たる事で軟骨がすり減ったり、骨自体が変形してしまう事もあります。尚、それら全ての症状を総称してルーズショルダーと呼ぶ事もあります。

一方、靭帯や腱が伸びてしまう元々の原因は様々で、投球フォームは効率良くても肩を酷使したり、無駄の大きいフォームから疲労が積み重なる事によって起こったり、あるいは猫背や腰痛など生活習慣の積み重ねをきっかけに起こる場合もあれば、人によっては生まれつき周囲の靭帯や腱が柔らかかったり、生まれつき骨の構造に問題がある場合もあります。

有名な選手でもルーズショルダーの選手は多く、斉藤和巳選手、伊藤智仁選手など、ルーズショルダーによって選手生命を絶たれる場合もあります。特にルーズショルダーはピッチャーとしての能力の高さと紙一重で、ルーズショルダーがあると関節の可動域が広くなり、それによって高いスピン量と球速を出す事ができます。しかしそのように関節がズレやすく、周囲の組織と頻繁に擦れ合うので、炎症を起こしやすいのです。生活習慣の改善、トレーニング、投球フォーム、運動前後のケアなどによって多少はマシになりますが、生まれつきの場合、完全に治す事はできません。そのため野球を職業とする場合、上手く付き合っていく必要があります。


インピンジメント症候群

何らかの原因でどこかの筋肉が機能しなくなった時、その筋肉の機能を別の筋肉でカバーしようとします。しかしその筋肉は元々別の役割を持っていた筋肉であり、普段とは異なる使われ方をする事で疲れ、使用頻度が高くなる事でその疲労が取り除かれずどんどん蓄積していきます。するとその筋肉は本来の役割を果たす事ができなくなり、更にそれとは別の筋肉でその機能を代用するようになります。そうして疲労が周囲の筋肉へと連鎖的に広がっていく訳です。特に骨は周囲の筋肉によってその位置をコントロールしています。筋肉が機能しなくなる事で骨の位置がずれ、それに伴って骨の周囲にある組織(腱、靭帯、筋膜、腱膜など)もずれます。インピンジメント症候群はそうして起こります。

起こる症状としてはそうして配置がずれ、組織がお互いに擦れ合ったり、骨が上手く固定できずに隙間が空き、その関節内に靭帯や腱などの組織が挟まったりする事などが挙げられ、これらによって高頻度に炎症を起こしたり、それによる持続的な痛みを伴います。炎症の頻度はかなり高く、当然全力投球ができなくなります。その他、しゃもじでご飯をすくう動作や、テーブルや壁を布巾で拭く動作、あるいはズボンを上げる動作などが億劫になったり、寝て起きたら何故か痛いというように、特に動かしてもいないのに関節が痛くなる事もあります(寝相の他、机に肘をついたまま長時間いるだけでも痛くなる)。

尚、炎症自体は患部の治癒に必要な反応ですが、必要以上に広がってしまうと健康だった組織にまで悪影響を及ぼします。そのため初期段階では筋力低下や可動域制限などだけですが、インピンジメント症候群は長期に渡るため、次第に損傷の範囲が広がっていく上、例えば脱臼を繰り返す事では、靭帯や軟骨など修復の難しい組織にも物理的な損傷が及びます。特に靭帯や軟骨の損傷は自然に治すのは難しいと言われているので、損傷を繰り返したり、その損傷の度合い次第では手術が必要になる事もあります。

ちなみに「インピンジメント症候群」という言葉を知っている人では「肩」というイメージが強いのですが、これは関節ならどこでも起こり得るものです。例えば片足立ちの状態で太ももを大きく回してみて、ゴリゴリと音が鳴るような場合です。初期段階ではそのように単に凝り固まっているだけですが、筋肉の凝りが長期に渡ると、次第に周囲の組織の位置がずれてしまう事があり、それに伴って関節が緩くなれば、肩と同じように骨がずれたり、外れるような症状が出る事があります(足を振り回した時に抜けるような感覚など)。また股関節付近にある筋肉が凝り固まると、上半身を前へ倒す際に背中が丸くなりやすくなるため、それが腰痛の原因になったり、あるいは股関節をスムーズに曲げ伸ばしできなくなる事で膝の負担が増え、それが膝痛の原因になる事もあります。股関節は日常的に使われる関節の一つであり、常にその機能を維持する事が重要でしょう。




腱板損傷、腱板断裂

腱板(ローテーターカフ)とは、肩甲骨と腕の骨を繋いでいる筋肉の事で、特に棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋肉の事を指す事が多いです。これらの筋肉は腕の骨における「回旋動作」に関わる筋肉で、腕を外あるいは内側に捻る時に働きます。いずれも大きな筋力は発揮できず、主にそのような捻る動作の時に関節を安定化させる役割があると言われています。そのためこれらの筋肉が何らかの理由で損傷したり、あるいは損傷するまで行かなくても疲労が蓄積してその機能が低下すれば、当然腕の骨は不安定になってルーズショルダー、靭帯損傷、脱臼などに移行する事になります。

損傷の原因はやはり疲労の蓄積です。特に様々な理由によるルーズショルダーで既に肩関節が緩くなっている場合、腱板が擦れてダメージを受ける事があります。その他、転倒や衝突など、突発的な事故で損傷する事もあります。損傷の程度が軽い場合には保存治療を行いますが、完全な断裂、あるいは重度の損傷の場合には自然に治すのは難しいため、手術が必要です。ちなみに一般の人ではそのまま放置される事が多く、気づいた時には既に腱板が損傷していたなんて事が結構あります。四十肩や五十肩の中にはこの腱板損傷が含まれる事があります。


靭帯損傷、靭帯断裂

靭帯は肩関節を構成している骨同士を繋ぎ、関節を安定化させています。しかし前述のように腱板が損傷したりなど、何らかの理由で肩の関節が緩くなっていると、靭帯も周囲の組織の擦れ合い、ダメージを受ける事があります。一方、疲労が蓄積する事によって靭帯がジワジワダメージを受ける場合と、疲労が蓄積している状態で1回の外力によって靭帯が切れてしまう場合、更にはフェンスに肩から激突するなど、突発的な事故で損傷する場合もあります。

一般の人では気づかずそのまま放置される事も多く、放置すると腕の骨と肩甲骨がぶつかり合い、軟骨のすり減りや骨の変形などにも繋がっていきます。四十肩や五十肩の中にはこの腱板損傷が含まれる事があり、特に靭帯や軟骨は自然には元に戻りません。そのため部分的な損傷でも、完全に治すためには手術が必要になります。



SLAP損傷(スラップ病変)、関節唇損傷、肩甲上腕関節脱臼

肩甲骨にはお皿のような形をしている部分があり、ここで腕の骨を受け止めて関節を形作っています。特に唇のように見える事から「関節唇」と呼ばれています。そのように関節唇には腕の骨をパズルのように当てはめて安定化させる他、軟骨組織があり、衝撃を和らげる役割があります。

何らかの理由で肩の関節が緩くなっていると、腕の骨がずれ、肩甲骨と直接ぶつかるようになります。これにより関節唇やそこにある軟骨を損傷してしまう事があります。一方、そのようにジワジワとダメージを受ける場合もあれば、疲労が蓄積している状態で、1回の外力によってダメージを受ける場合、更にはフェンスに肩から激突するなど、突発的な事故で損傷する場合もあります。特に関節唇や軟骨を損傷すると、腕を動かす際に突っかかりが出るなどスムーズに腕を動かす事ができなくなる上、単純に腕の骨が外れやすくなり、脱臼が癖になる事があります。場合によっては手術が必要です。

ちなみに関節唇のすぐ上には上腕二頭筋の腱が結合しており、その結合部分が剥がれ、関節唇にまで損傷が及んでしまう事があります。それが「SLAP損傷」と呼ばれるものです。ピッチャーの場合、胸を張らず、また肩甲骨が背骨に寄らずに腕を後ろに引き、そのまま無理に腕を上へ上げようとした時、不要に腱が引っ張られて損傷すると言われています。野球以外ではバレーボールなど腕を上から振り下ろすようなスポーツでは起こる事があります。その他、単純に上腕二頭筋の収縮を繰り返す事でも起こる事があります。


ベネット損傷

ベネット損傷とは、腕の裏側にある上腕三頭筋が結合している肩甲骨の後ろ側(脇の下付近)に骨のトゲができ、それによって炎症が起きてしまう事を言います。これは主に上腕三頭筋の酷使によって起こります。特にボールをリリースする際には上腕三頭筋が収縮し、その度に上腕三頭筋の腱が肩甲骨を引っ張ります。その繰り返しによって、腱が結合している部分では骨が増殖し、それによって起こると言われています。場合によっては結合部分が剥がれてしまう事もあり、酷い場合には手術が必要になります。


骨折、打撲、肩鎖関節脱臼

肩鎖関節脱臼とは、肩甲上腕関節(肩甲骨と腕の骨)の脱臼ではなく、肩甲骨と鎖骨の関節を脱臼してしまう事です。これは主に選手同士の衝突、フェンス衝突、転倒などの突発的な事故によって起こります。またその際には鎖骨を骨折してしまう場合が多いです。一方、肩の骨は基本的に出っ張っているので骨折や打撲が起きやすく、そのように突発的な事故では部位に関わらず起こる事があります。





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