日常生活で起こり得る様々な心の病気まとめ

この記事では野球を続けていく上ではもちろんの事、野球に関わらず、日常生活をする上で懸念されるような「心の病気」について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。

尚、この記事で扱っているのは、例えばイップスとかスランプとか睡眠障害とか鬱病とか、そういう「野球をしているか否かには関係ないが、結果としてパフォーマンスに影響する可能性がある心の病気」です。そのため野球やそれ以外のスポーツはもちろん、スポーツをしていない一般の人でも起こり得るものが含まれています。また当記事はあくまで「こういう怪我や病気がある」という事を羅列しているだけです。それぞれの治療法に関してはお医者さんの指示に従って下さい。
(記事作成日時:2013-08-20、更新日時:2019-04-30)

★当記事の目次

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イップス

イップスとは、特定の状況における、特定の動作の、特定のタイミングにおいて神経伝達が上手くできず、それによって特定の動作全体が上手くできなくなってしまう事を言います。そのため同じ状況で同じ失敗を何度も繰り返すという事が長期的に起こります。

尚、この「特定の状況」とは、例えば3ボール1ストライクとなった時、3塁ランナーがいる時、左バッターの時、同点の時などです。「特定の動作」とは、例えば投球動作、バッティング動作、守備の動作、捕球の動作、走塁の動作などです。特定のタイミングとは、例えば投球動作であれば、ボールを離す瞬間やその直前、肘を伸ばす瞬間、足を前へ踏み出した時、振り上げた時などです。言い出したらキリがないのでこのぐらいにしますが、このように神経伝達が上手くできなくなる状況、動作、タイミングは人によって大きく異なります。

原因は過去の体験によるものが多いです。そのため特定の動作をいくら反復練習をしても、同じような状況に遭遇すれば、また同じ症状が表れます。改善するためには「過去の成功と失敗に対する考え方を変える」「特定の状況を振り返り再現する」「特定の状況以外のあらゆる状況を想定し、自信を身につける」「成功体験をする」「現在の成功と失敗に対する考え方を変える」などの事が重要になります。その上で特定の動作を練習したり、神経伝達をスムーズにするような練習あるいはトレーニングをします。特定の動作がおかしいからと言って、その動作をひたすら繰り返すだけでは、むしろ泥沼に嵌まるだけです。

またスポーツ以外の事が原因になる場合もあります。何か大きなストレスがあって、心に余裕がない場合、どこかのタイミングで筋肉に力が入り、動作がスムーズに行えなくなる事があります。生活習慣全体を見直すのはもちろんの事、ストレスコントロールをすべきでしょう。何かスポーツ以外に楽しい事があるのがベストです。漫画を読むでも、ギターを引くでも、絵を描くでも、それが楽しいと感じれば何でも良いです。


スランプ

スランプとは、ある程度の期間に渡ってパフォーマンスが低下し、自分のイメージしているパフォーマンスとは異なる状態が続く事を言います。ポイントとなるのは「ある程度の期間」「自分のイメージとの不一致」「成功と失敗に対する考え方」です。

つまりスランプは一生続く訳ではありません。いずれはスランプから抜け出せる時が必ず来ます。その事が分かっているだけでも、気持ち的にかなり楽になると思います。今、何をすべきか、それを考えると、悪循環から抜け出せなくなります。単に何か楽しい事をしたり、考えたりして、まずは感情やストレス状態を落ち着けましょう。

また好調な状態が長く続いた時、もっとホームランを打てる、もっと三振を取れるなど、気持ちがどんどん上ずり、自分の気づかぬ内に理想が高くなっていきます。その状態で不意に失敗をした時、自分のイメージとの差が大きくなり、その不一致が続く事で自分を見失い、それが不調の原因に繋がる事もあります。現在を修正しようとするのではなく、原点に立ち返り、一旦過去に戻してみて、その上で修正すると何か良い発見があるかもしれません。そうして何か発見する度に修正、修正する度に実践し、新たな経験を積んでいきます。もちろんその際には失敗と成功の繰り返しになりますが、この機会に成功も失敗も共に受け止め方を変え、精神的な上下動を上手くコントロールできるようにしておきましょう。

その他、時には柔軟に、今までした事がないような新しい事を取り入れるのも良いかもしれません。野球とは全く関係のない練習やトレーニングが良い刺激になったり、あるいは読んだ事のないような本・サイト・動画、あるいは食べ物や音楽などが、何か良いきっかけになるかもしれません。ただし注意が散漫にならないように少しずつ取り入れるようにします。そのコントロール及びペース配分も重要です。もちろん環境そのものを変えたり、あるいは人との出会いによって良い方向に働く事もあります。

スランプが長く続くと精神的に落ち込み、視野が狭まり、そのような事を考える余裕もなくなるかもしれませんが、スランプは1回だけではありません。また同じようなスランプがこの先訪れるかもしれません。しかし1回スランプを乗り越えれば、また同じようなスランプがきた時、冷静に対処できます。野球人生を長期的に考えましょう。



睡眠障害

睡眠障害とは、睡眠習慣において、長期間に渡って何らかの問題がある状態の事を言います。よく知られているのが「不眠症」で、布団に入っても中々寝られず、睡眠に入ったとしても何度も目が覚め、十分な睡眠が取れません。その結果、逆に昼間は眠いため、活動量が大きく低下してしまいます。

一方、睡眠障害にはそのような不眠症だけでなく、例えば逆に眠くてたまらない過眠症、昼間に寝て夜に活動するような昼夜逆転生活、睡眠中に行動する夢遊病、昼夜問わず脳が睡眠を制御できなくなるナルコレプシー、睡眠時に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群なども含まれます。その他、睡眠障害は鬱病やパニック障害など他の心の病気とも関連がある場合もあります。

睡眠は肉体を休めるために必要なのと同時に、脳を休めるためにも必要です。そのため睡眠習慣に何らかの問題が出れば、野球はもちろん、日常生活にも大きな支障を及ぼします。睡眠障害の中には原因が分かっていないものも多いですが、一般的に言われる「不眠症」の多くはストレスがきっかけになると言われています。鬱病などと同じように予防が重要です。成功と失敗の受け止め方を変えたり、野球以外で何か楽しい事をしたり、活動と休息のバランスを考えたりなど、自身の心を「間接的に」コントロールしましょう。尚、睡眠に限って言えば、枕、布団、室温・湿度、耳栓、鼻炎治療、呼吸筋のトレーニング、アイマスクなど、睡眠を取りやすい状態・環境に整える事も重要です。


摂食障害

摂食障害には、食事はもちろん水も殆ど取らなくなってしまう、あるいは口に入れてもすぐに吐き戻してしまう「拒食症」と、逆に極端に食事の量や頻度が増え、自分の胃の容量を超えるほど食べてしまう「過食症」に分けられます。

拒食症では食事からエネルギーが摂取できないため、骨が浮き出るほど脂肪や筋肉が落ち、少し体重をかけるだけで骨が折れてしまったり、少し動くだけで疲れてしまうので、場合によっては自力では歩く事が困難なレベルにもなります。また免疫力も大きく低下し、ウイルスや細菌性の感染症にもかかりやすくなります。更にビタミンやミネラルなど人体に必須とされる栄養素も摂取できないので、皮膚、血管、筋肉、靭帯、神経、血管、骨などに関する様々な病気の引き金にもなります。

一方、過食症では逆に皮下脂肪や内臓脂肪がつきます。エネルギーは摂取できるので、動ける間は筋肉はそれほど落ちません。しかし体重が増加すれば当然動く事すらままならなくなるので、筋肉もどんどん落ちていき、いずれは拒食症と同じように自力では歩く事ができなくなります。また糖を過剰に摂取する事では糖尿病、塩分を過剰に摂取する事では高血圧、脂肪を過剰摂取する事では動脈硬化、更にはそれらによって心筋梗塞や脳梗塞など致死率の高い病気のリスクも高まります。尚、自分の体重によって全身が圧迫されるため、臓器の機能はもちろん低下しますし、自力で呼吸ができなくなる場合もあります。

拒食症や過食症が起こるメカニズムは完全には分かっていません。しかし過食症に関しては、少なくとも大きなストレスをきっかけにして起こる事が多いという事は分かっており、特に失恋やダイエットのリバウンドで起こるという事はよく知られています。過食症ではそのような例がたくさんあります。一方、拒食症ではきっかけとなる大きなストレスがなくても、例えばテレビ、雑誌、ネット、友人など周囲からの情報を見て、その影響を受ける事でなる場合もあります。また元々持っている体質(食物アレルギーがあったり、臓器の能力が低かったりなど、元々食べる事ができる量が少ないのに、無理をして食べてしまう)や性格(周囲の視線を気にしたり、新しい事や流行に目がなかったり、お人好しだったり)からなる場合も当然あります。

野球選手に限らずスポーツ選手の場合、拒食症も過食症もパフォーマンスに非常に大きな影響を与えます。特にスポーツ選手の場合、筋肉をつけるためには食事量を確保しなければなりません。しかし栄養があるからと嫌いな食べ物を無理して食べたり、あるいは元々の胃の容量が小さかったりなど、そのように精神的な苦痛を伴うような食事を続けていると、摂食障害になるリスクはゼロではありません。1回の食事量を減らして食事の回数を増やすとか、食べやすいものに置き換えるとか、サプリメントを利用するとか、そういった工夫が必要です。



うつ病、躁うつ病(双極性障害)

何らかの原因で脳の神経伝達が上手く行かなくなると、何か行動をしても自分のイメージ通りにできなくなります。すると次に何か行動に移そうとした時、物事に対して否定的になり、行動を移す前に止めてしまいます。それが長期に渡って繰り返される事で、ネガティブな思考が悪循環となり、自分以外からストレスが与えられなくても、行動を移そうとする度に、自分自身でストレスを作り出してしまいます。うつ病とはそれによって長期に渡って起こる脳の機能障害の事です。尚、鬱病に至る前の段階では長期的なストレス、あるいは一度の大きなストレスがきっかけになると言われていますが、ストレスがなくても起こる場合もあり、一概には言えません。

一方、躁うつ病とは、躁状態と鬱状態を繰り返す事を言います。ただし単に気分の上下動があるだけではなく、それが非常に両極端に、長期的に起こるという特徴があります。例えば躁状態の時には非常にテンションが高く、周囲の事を考えずに突拍子もない行動を取りたがります。しかし鬱状態の時にはその躁状態の時の行動を振り返り、何であんな事をしてしまったのだろうと酷く絶望します。それが長期に渡って繰り返されるのが躁うつ病です。最近では「うつ病」と区別されて「双極性障害」と呼ばれています。

例えばハイテンションになっている時、脳では興奮作用を持つホルモンが大量に分泌されます。しかしそのバランスを取るため、今度は鎮静作用を持つホルモンも大量に分泌されます。それにより落差が非常に大きくなり、その上下動を高頻度に繰り返す事で、鬱病あるいは双極性障害を発症するという事もあるようです。つまり何か外部からストレスが与えられていなくても、自分の受け止め方や環境によって、その激しい上下動を繰り返せば、長期的な鬱病あるいは双極性障害は誰でも起こり得ます。

両者とも起こるメカニズムは完全には解明されていません。一説にはセロトニンの分泌が関係していると言われる事もありますが、セロトニンだけが関係している訳ではありません。ただし最低限の予防は可能であり、特に「成功体験をする事」と「成功・失敗問わず、体験した事の受け止め方を変える事」が重要と思われます(もちろんそれで治る訳ではないし、完全な予防ができる訳でもない)。例えば野球のバッターでは3割を超える打率で一流と言われます。つまり3割は成功していますが、残り7割は失敗している訳です。3割の成功をどのようにして受け止めるか、また7割の失敗をどのようにして受け止めるかによって、気分の大きな上下動は抑える事ができます。それが何十年という野球人生では大きな積み重ねになります。


強迫性障害

もし何か大きな恐怖や不安があった時、それを解消できるような行動があれば、真っ先にその行動を取りたがるものです。しかし冷静であれば理性が働き、その行動をする事で後に大きなデメリットがあるかどうかを判断してから、その行動するかどうかを決める事ができます。強迫性障害ではその理性が上手く働かなくなっており、恐怖や不安があった時、それから逃れたい一心ですぐに行動に移します。またその行動が成功したとしても「その行動は本当に成功したのか?」と直前にした行動(自分だけでなく周囲の人間の行動も)を疑い、何度も同じ行動を繰り返してしまいます。それは依存症にも繋がる事があります。

よく知られているものとしては「手を何度も洗う」「戸締まりを何度も確認する」「鞄の中を何度も確認する」「リモコンを順番に並べる」などが挙げられます。例えば「鞄の中を何度も確認する」で説明すると、「忘れ物をする」という恐怖や不安がある場合、鞄の中を確認する事でその恐怖や不安を解消できます。しかし鞄の中を確認したとしても、本当に忘れ物がないか?見落としがないか?家に置いてきてないか?などと疑い、疑う度に恐怖や不安が大きくなるので、その恐怖や不安を解消するために再び鞄の中を確認します。そうして同じ行動を何度も繰り返してしまうのです。

これは野球選手で言えば「ルーティン」がそうです。例えば右足から靴を履くというルーティンがある場合、それを行わないと酷く不安になるので、当然いつものように右足から靴を履きます。それが家から出る時やスパイクに履き替える時だけなら問題ありません。しかし強迫性障害では、本当に右足から靴を履いたかどうかを疑い、わざわざ靴を脱ぎ、再び右足から靴を履き直し、それを何度も繰り返す事になります。その結果、その行動に時間を使うため、他の行動ができなくなります。そのように日常生活にも支障を及ぼすのです。その他、特定の数字や絵などに固執し、その数字を野球以外でも身につけ(財布や靴の中に入れる、帽子に貼る、背番号にする、その時間に行動する等)、それをしないと気が済まず、それが自分の行動範囲を制限するレベルにまでなってしまう事があります。

起こるメカニズムは完全には分かっていません。一説にはノルアドレナリンの分泌が関係しているなどと言われますが、ノルアドレナリンだけが原因ではありません。また起こるきっかけは人によって異なり、元々几帳面な性格だったり、大きなストレスとなるような事があったり、あるいは逆に何か大きな成功体験をした時、特定の行動に縛られる事でも起こる事があります。重要なのは予防であり、「自分自身及び自分のした行動に自信を持つ事」と「ルーティンを作るのも良いが、程々にしておく事(自分の調子を整える方法を分散させる)」が重要になると思われます(治る訳ではない)。



適応障害

適応障害では、ある特定の状況に対し、その場にいられなくなるほどの強い恐怖や不安が感じられます。また特定の状況に遭遇した時、そこから逃れようとして退避行動を取ろうとしますが、退避行動を取れない時、その場にいられなくなるほどの大きな苦痛を伴います。時には攻撃的な行動に出る事もあります。また遭遇する前でも退避をしようとするため、行動範囲が制限されてしまいます。尚、これは自分自身がそういう特定の状況や出来事に遭遇する場合に起こる事もあれば、例えば自分の子どもが自分と同じ状況に遭遇したと感じてしまい、子どもを退避させるための行動を取ろうとする事もあります。

起こるメカニズムは完全には分かっていません。起こるきっかけは過去の体験が大きく関係しているようです。例えば周囲から注目を浴びている時に失敗し、笑われ、恥ずかしい思いをした経験がある場合、再び同じような状況に遭遇した時、その場から逃げようとします。しかし逃げる事ができない場合、その場でうずくまり、何もできなくなってしまいます。重要なのは予防であり、特に「過去の失敗の経験を忘れさせるような、大きな成功体験」と「段階を踏んだ経験」が必要になると思われます(治る訳ではない)。成功体験があれば同じ状況に遭遇したとしても、その成功体験をした時と同じ行動を取れば良いので、不安や恐怖は軽減されます。まぁ実際は口で言うほど簡単な事ではありませんが・・・。


PTSD(心的外傷後ストレス障害)

PTSDとは、恐怖や不安など非常に大きなストレスを感じるような出来事があった時、時間が経過してもそのストレスが癒えず、またその出来事が何度もフラッシュバックし、フラッシュバックする度に同じような強いストレスを感じます。日本語では「心的外傷後ストレス障害」と言います。特に短期的な大きなストレスがきっかけになる事が多く、地震や津波などの自然災害、家の火事、交通事故、第三者からの暴力・性犯罪、親族からの虐待、同級生からのイジメなどが関係していると言われています。もちろん1回1回は小さなストレスでも、それが積み重なった結果として起こる事もあります。

治療は「思い出す事を繰り返す」事によって行うと言われています。つまりストレスとなった出来事に対する受け止め方を変えていく訳です。例えば自分の家族が亡くなった時、時間が経過すれば自然と悲しみは薄れていきます。これは家族に対する考え方や、亡くなった原因となる出来事を振り返る事によって、少しずつ現実を受け止める事ができるからです。一般の人であれば実はそれを自然に行っています。もちろんお墓参りをする度に思い出したりはすると思いますが、当時のストレスと比べるとその大きさは小さくなっているはずです。一方、PTSDの場合、それが自力ではできない状態になっているので、誰かに手伝ってもらいながら、それを行う事になります。



パニック障害

パニック障害とは、突然理由もなく不安や恐怖に襲われ、動悸、息切れ、目眩、発汗、吐き気、手の震え、頭に血が上る、頭が真っ白になるなどの発作が起こります。適応障害と似ていますが、こちらは状況に関係なく起こる事があります。もちろん特定の状況に対して起こる事もあります。一方、それをコントロールできない事を自覚しており、コントロールできない事自体に不安を感じ、それによって高頻度に発作が起こります。また発作の起こりやすい状況をできるだけ避けるようになり、行動範囲が制限されてしまいます。

正直、野球に関するブログなのに、何故このような記事を書いたのかと感じる方もいると思いますが、実は私の母はパニック障害を持っています。しかしパニック障害はもちろん程度にもよりますが、薬によって治療ができますし、また家族で協力していけば、発作が起きても対処できます。最初は家族もどうしたら良いか分からないと思います。私も最初は何も分かりませんでした。しかし病気の事をある程度理解すればいずれは慣れます(笑)

パニック障害ではまず原因の分からない「死ぬ」という恐怖、あるいはそれに近いような強い恐怖に襲われます。手が震えたり、顔が真っ赤になったり、血圧が180まで上がったりします。高血圧がきっかけとなって脳内出血や心筋梗塞など、別の病気に繋がる可能性はゼロではありませんが、パニック障害そのもので命を落とす事はありません。しかし恐怖や不安から時には救急車を呼べとか、家族に当たり散らすとか、発作が起こる度にそれが起こります。重要なのは恐怖や不安を和らげる事であり、それと対峙するためには誰か近くに信頼のできる人間を置いておきましょう。それだけでも症状が抑えられる場合があります。

起こるメカニズムは完全には分かっていません。少なくともアドレナリンやセロトニンが関係しているという事は分かっていますが、それだけで起こる訳ではありません。尚、起こるきっかけは人によって様々です。私の母の場合、最初は母の弟の死(心臓発作)がきっかけでした。今考えてみれば相当大きなストレスだったと思います。そこから自律神経のバランスを崩し、よく眠れないなど睡眠習慣が崩れ、まず夜中に発作が起こるようになりました。その頻度は2〜3日に1回という高頻度でした。治療はセロトニンの分泌を整えるような薬を使いましたが、たった1年だけで発作の頻度はかなり減りました。薬を止めた今では1ヶ月に1回は起きますが、対処はできるレベルになっています。



統合失調症

統合失調症では、脳の神経伝達が上手くできず、考えが上手くまとまらなくなります。特に統合失調症では、健康だった時にはないものが表れる陽性症状と、健康だった時にはあったものが失われる陰性症状があり、それが繰り返されるという特徴があります。

陽性症状で表れる症状としてよく知られているのが幻覚症状です。実際にはそこにはないものをあると錯覚(幻視)したり、何も音が鳴っていないのに音を感じたり(幻聴)します。その幻覚症状は大抵その人の過去の出来事に関係する「ネガティブなもの」が多く、本人にとっては耐え難い苦痛で、感情の起伏が非常に激しくなります。しかも「それが現実ではない事」と自覚するのが難しく、周囲から見れば一人で怒っていたり、誰かに叫んでいたり、乱暴な人に見えます。一方、陰性症状では逆に極端な無感情になり、1日中何もせずに寝てしまう事もあります。

実は私の弟は統合失調症です。2017年の初め頃に発症し、現在まで治療を続けています。ネットではネタにされる事が多い(私自身は弟がそうなる以前もそのような書き込みが不快だったので、弟が病気になったからと言って特に心の病気に対する考え方が変わった訳ではないです)ですが、初期の頃は本当に盗聴されてるとか(母とメモ帳で会話するぐらいでしたから・・・)、誰か有名人と知り合いだとか、警察を呼んで俺を捕まえようとしているんだろとか言っていて、これが現実に、しかも自分の弟に起こるなんて思いもしませんでした。同じ年の夏頃には家で暴れたりもしましたし、母親に暴力を振るったり(弟が起きたら、外出してすれ違わないようにしていた)、母親を家から追い出そうとしたり、突然壁を殴ったり、深夜ずっと叫びまくってたなんて事もあります。家の場合は初期の頃に病院に連れて行く事ができたので、それは良かったのですが、薬が合わず、1年中症状が治まりませんでした。2018年からは別の病院に通院し、そこで薬を変え、デイケアに通い始めた後はそこまで激烈な症状はありません。しかし治る事もないようです。今でも一人になれば誰かと大きな声で喋っています。水の音が刺激になるらしく、お風呂に入ると症状が悪化します。昼間は半分以上寝ていて、起きている時には、部屋の中で独り言を言いながら同じ場所をひたすら歩いて往復しています・・・それが日常になってしまった事が今でも私にとっては大きなショックです。でも私たち家族だからこそ、今があると思っており、母、父、自分自身を私は誇りにも思っています。

起こるメカニズムは完全には分かっていません。一説にはドーパミンが関係していると言われますが、「統合」という名の通り色んな症状が介在しているので、それだけでは説明できません。起こるきっかけはやはりストレスが多いようです。しかし弟の場合は不明です。今考えれば寝言が多かったり、昼寝が長かったり、元々周囲の事をあまり考えなかったり、寝るのが遅かったりなどありましたが、なってしまった今では結果論です。尚、薬によってほぼ完全に近い形で症状を抑える事ができ、また薬をやめた後も症状が全く出ない場合もあるそうです。しかし完治は非常に稀と思われ、弟のように薬を使っても症状が治まらない場合もあります。人によっては更に強力な薬を使い、その副作用を抑えるための薬を大量に飲むなど、薬漬けのような生活になります。私の弟が使っている薬は副作用の強くないものですが、それでもアセチルコリンが分泌されて手の震えが起こります。たぶん同じ場所を行ったり来たりするのもそのせいです。

統合失調症は100人に1人とも言われ、それほど珍しい病気ではありません。私の弟のように誰でも起こり得ます。例えば電車の中でも壁際でブツブツと喋っている人を見た事があるかもしれません。私も大学に通っていた頃はたまに見かけました。彼らは自分が否定されるような事に対して非常に敏感です。何故なら統合失調症による幻覚は自分の脳では実際に起きている事であり、それが現実ではない事を自覚できないからです。そのため否定されると人格を強く否定された気持ちになり、感情の起伏が激しくなります。最も良い方法は「視線を合わせない」事です。時には向こうから何か激しい言葉をかけてくるかもしれませんが、決して否定してはいけません。自分が敵ではない事を示す、あるいは他に注意を向けさせるのが正しい接し方です。それが難しいなら何も言わずにその場から去りましょう。刺激してはいけません。





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