いわゆるインナーマッスルとアウターマッスルについて考える

この記事ではいわゆる「インナーマッスル」について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。

※当記事作成日時:2013-08-21、最終更新日時:2019-12-03

★当記事の目次

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そもそもどこからどこまでがインナーマッスル?

体の表面から触れて確認する事ができる筋肉の事を「アウターマッスル(表層筋)」、そのアウターマッスルの内側にあって、体の表面からは確認する事が難しい深部の筋肉の事を「インナーマッスル(深層筋)」と称する事があります。

特にインナーマッスルを鍛える事による効果でよく言われるのが、「体を深部から温め、冷え性の改善ができる」「ボールを速く投げる事ができる」「柔軟性が上がり、怪我をしにくくなる」などです。そのようにインナーマッスルはとりわけ「特殊な機能を持った筋肉」のように扱われる事が多く、そんなインナーマッスルを鍛える事は、アウターマッスルを鍛える事よりもメリットが大きいと多くの人が考えています。

しかし「インナーマッスルはアウターマッスルよりも優秀」「インナーマッスルを鍛える事は、アウターマッスルを鍛えるよりもメリットが大きい」「インナーマッスルだけを鍛えれば良い」なんて事はありません。そもそもこのアウターマッスル・インナーマッスルという分類自体、我々が勝手にそう呼んでいるだけで、医学的・科学的にそういう正式な名前がある訳ではありません。

またどこからどこまでがアウターマッスルで、どこからどこまでがインナーマッスルかという明確な基準も存在しません。結局、誰かが最初に言い出したものを、商売をする上で便利な言葉だからと多くの商売人が利用し、それを一般の人が受け入れる事で認知されただけで、実際には何の根拠もない曖昧な言葉なのです。



筋肉の機能から考えるインナーマッスルの特性

筋肉は収縮する事によって熱を作り、その熱で周囲にある血液を温め、その血液を全身に循環させる事で、体を温める事ができます。これは特に気温の低い時期・環境では重要な機能です。しかしいわゆるインナーマッスルと呼ばれるような筋肉は基本的に細く、小さな筋肉ばかりで、全身を温めるほどの大きな熱を作る事はできません。しかも鍛えたとしてもアウターマッスルのように太く大きくする事もできません(血流は良くなるが大きくはならない)。すなわちアウターマッスルの方が熱を作り出す能力は高いため、体を温めたいのであればアウターマッスルを鍛えて大きくした方が効果的だと思われます。

また筋肉は「グリコーゲン」という物質をエネルギーにして動きます。このグリコーゲンはブドウ糖から作られる糖の一種で、筋肉内に一定量蓄える事ができ、筋肉が大きくなるとそのグリコーゲンの貯蔵量も上がります。つまり筋肉を鍛えて大きくすれば、筋肉が「糖の逃げ道」になり、血液中に糖が漂う事が少なくなるため、血糖値の抑制に繋がる可能性があります。

特に糖は時間が経過すると脂肪として蓄えられてしまいます。脂肪は糖と比べ倍以上のエネルギーがあり、長期的な運動習慣でしか効率良く燃やす事はできません。その意味でも血糖値の抑制は重要です。また過剰な糖は「糖化反応」の原因にもなります。糖化とは蛋白質や脂肪に糖が結合し、分子の機能を低下させる事を言い、血糖値の抑制はその予防にも繋がる可能性があります。

しかしインナーマッスルはそのように細く小さい筋肉が多いため、元々のグリコーゲンの貯蔵量が少なく、また鍛えたとしてもアウターマッスルのように太く大きくする事はできないので、グリコーゲンの貯蔵量を増やす事も難しいはずです。よってこれに関しても、アウターマッスルのような大きな筋肉を鍛えた方がその効果は高いと思われます。



インナーマッスルの持つ「骨の位置を調節する機能」

例えば腕や足を大きく振り回した時には「遠心力」が生まれます。つまり手や足が外へ引っ張られる訳です。しかしそのまま引っ張られてしまうと骨と骨の間、すなわち関節に隙間が空き、関節の動きが悪くなります。またその遠心力がなくなった時、その隙間が一気に閉じて、関節内の組織にダメージを与えてしまう事があります。いわゆるインナーマッスルと呼ばれている多くの筋肉は、そうしてアウターマッスルが大きな筋力を発揮した際、骨の位置を調節し、関節を安定化させ、その動きをスムーズにする役割があると言われています。その機能の向上を目的にして、インナーマッスルを鍛える意味はあると思われます。

一方、それは別の言い方をすると、「インナーマッスルが単独で働くような動作は存在しない」という事です。そもそも「体の使い方」がなっている人では、アウターマッスルを使う際、普段から自然とインナーマッスルも一緒に使っているはずです。よってインナーマッスルを意識的に鍛える必要がある人というのは、そもそも効率の良い体の使い方ができていない人や、食事量や意識的な運動習慣が少なく、全身の筋肉量が少ない人、あるいは怪我などからの復帰を目指す人の他、これから激しい運動をするために血流を促しておきたい人だけだと私は思います。

特に普段から運動習慣があるのに、インナーマッスルを意識的に鍛える必要がある場合、大抵はそのように「体の使い方」に問題がある事が多いです。インナーマッスルを鍛える前にまずはそちらを学ぶ事の方が先だと思います。それを学ばずにインナーマッスルだけをピンポイントで鍛えるなら、アウターマッスルの方を鍛え、その際、ついでにインナーマッスルを使う方が効率が良いと思います。



肩のインナーマッスルと腰のインナーマッスル

いわゆる「インナーマッスル」と言う場合、肩甲骨周りにある筋肉を指す事が多いです。特に肩甲骨周りにある筋肉の中でも、腕の骨と肩甲骨を繋いでいる棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋という4つの筋肉を指す事が多いです。ただし肩甲骨の周りには菱形筋・肩甲挙筋・前鋸筋・小胸筋などの筋肉もあり、これらの筋肉も深部に位置している事から、インナーマッスルに数えられる事があります。このようにやはり「インナーマッスル」と呼ばれるための基準はかなり曖昧なのです。

一方、背骨と骨盤、及び背骨と太ももの骨を繋いでいる「腸腰筋(主に腸骨筋と大腰筋)」という筋肉も骨の近くにあり、体の表面からは触れて確認する事が難しい事から、インナーマッスルの一つに数えられる事があります。ただしこの腸腰筋という筋肉、太ももの骨の引き上げる時に使われるので、実はかなり太く、大きな筋力を発揮する事ができる筋肉です。前述のようにインナーマッスルと言うと、細くて小さな筋肉というイメージが強いのですが、腸腰筋はそれとは大きく矛盾しています。

その意味でも「インナーマッスル」と一括りにするのではなく、その筋肉にどのような役割があり、どのような動作の時に働き、どのように体を動かせば、その筋肉を効率良く働かせる事ができるか・・・という事を考えるべきだと思います。インナーマッスルという言葉に過信すべきではありません。





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