球数制限について

「球数制限」について書きます。 
 
 
球数制限とは1試合で投げる事のできる球数を制限する事です。

メジャーリーグでは1試合の球数制限が100球前後とされています。
100球を超えた時、自分に打席が回る場合には代打を出され、
次の回からは別のピッチャーに代えられます。

もちろんノーヒットノーランや完全試合の可能性がある場合など、
ピッチング内容によっては100球を超えても代えない事もありますが、
大抵の場合は100球が一つの目安になっています。

これはメジャーリーグでは「肩は消耗品」という考え方があり、
たくさん球数を投げる事によって起こる肩や肘の怪我を、
最低限予防するという重要な役割があります。

また、若い頃にたくさんの試合に登板し、たくさん球数を投げた事によって、
年齢を重ねていくと球速が落ちたり、
自分の持っている本来のピッチングができなくなる選手が数多くいました。
野球人生を長くし、長く活躍してもらうという目的もあるようです。

この球数制限によってメジャーリーグのピッチャーには、
バッターの手元でボールを動かし、打たせて捕る事が主流になりました。
三振を奪うには最低3球必要ですが、ゴロなら1球で1アウト取れますからね。

そうやってできるだけ球数を少なくする投球術が進化してきた訳です。
まぁメジャーリーグのボールは変化しやすいというのもありますが・・・。

日本からメジャーへ渡ったピッチャーの多くが、
この100球という球数制限による選手の起用法に最初は戸惑うようです。
後述しますが、日本ではこのような制限はありませんからね。

私の個人的な意見としては、
そのような球数制限を課していても怪我をする人もいますし、
何よりメジャーリーグは試合数が多く、中4日なので、
結果的にはあまり変わらないような気もしないでもないです。

この100球という球数制限については、
かの大投手であるノーラン・ライアン氏も異議を唱えているそうです。

元々は1シーズン通して調子を維持するためのものですが、
松坂投手のように自分のピッチングができなくなってしまう人も必ず出てきます。
私としては100球と一律で決めてしまうのではなく、
選手ごとに決める必要があると思います。



一方、日本ではこのような100球という目安はほとんど存在しません。
日本のプロ野球では「先発は完投・完封をする」のが常識とされており、
何点か取られていても、チームが勝つ可能性が残っていれば投げ続けます。

過去にはたくさんの球数を投げた事による酷使で、
選手生命を絶たれてしまった人が何人もいます。

有名選手では伊藤智仁選手や斉藤和巳選手がその被害者でしょう。
彼らはルーズショルダー(肩関節不安定症)にも関わらず、
何試合もたくさんの球数を投げてしまった結果、
選手生命を絶たれてしまった人たちです。

最近では抑えや中継ぎに任せるのが一般的ですが、
チーム状況によっては「点を取られても代えられない」という事で、
たくさん球数を投げてしまうピッチャーは未だにいます。

しかし逆に中継ぎや抑えにシワ寄せが来ているのもまた事実です。
例えば山口鉄也投手、浅尾拓也投手、藤川球児投手。
(実際に浅尾投手は肩の怪我、藤川投手は球威の減衰)
シーズン70試合も登板し、それを続けている彼らが心配でなりません。
何というか起用が極端ですよね・・・。

ですが、そのプロよりも大学野球や高校野球の方が顕著に現れています。
特に高校野球の甲子園では、
「エース」と呼ばれるピッチャーが何試合も1人で投げます。

最近の例では済美高校の安楽智大投手。
彼は最速157km/hを記録する超高校級のピッチャーですが、
2013年春の甲子園では延長13回232球完投という試合を投げ抜きました。
ちなみにその大会での甲子園全試合の球数は772球だったそうです。
(その結果、優勝を逃したとの事)

これに関して国内外から議論が続出しました。
特に海外は「日本の野球界は何故あれほどの逸材を大事にしないのか」と。
私もさすがにあれは投げ過ぎだと思います。

ですが、安楽選手だけが酷使させられている訳ではなく、
これは甲子園では決して特別な事ではありません。

過去には例えば、かの松坂大輔投手も高校時代には、
甲子園決勝にて延長17回250球完投という試合がありました。
(翌々日の決勝でノーヒットノーランですがw)
更に記憶に新しい、田中将大投手と斎藤佑樹投手の投げ合い。
これも延長15回を完投してからの再試合で9回完投。

その他にもたくさんの優勝投手(被害者)が、
このように優勝までの試合を一人で投げ抜いています。
その中にはその酷使によって潰れてしまった人もいれば、
田中将大投手のようにプロでも活躍している選手もいます。

日本の野球界の問題はそこにあって、
つまり、酷使によってたくさんの選手が潰されてきたとしても、
実際に田中将大投手のようにプロで活躍している人はいるという理由から、
「あれぐらいで潰れるような選手は所詮その程度の実力」と、
酷使を正当化するような考え方があるという事です。

酷使して潰れてしまった選手の中にもちゃんとケアすれば、
凄いピッチャーになったかもしれない選手もおそらくいるはずです。
というか、高校生の時点で完成された選手など存在しない訳で、
それだけの球数を高校生に強いる事は、
野球界のピラミッドの底辺を狭くしている要因の一つになっていると思います。

また、上記のような感動的な試合を生んでいるのもまた事実であり、
「甲子園では伝統みたいなもの=この過酷に耐えてこそプロになれる」
みたいな所があり、簡単には変わらない状況になっています。
日本の野球界全体で違う方向へスイッチしなければ変える事はできないでしょう。

例えば、仮に安楽選手が潰れても、
おそらくあの監督は責任を取らないでしょうね。
それによって監督の采配や選手の育て方は下の世代へも続き、
また安楽投手のようなピッチャーが出てきても同じ事を繰り返すだけでしょう。

この監督は「決勝は精神力で投げろ」とか言っちゃう人なので、
正直、まだ壊れていない事が奇跡みたいなものだと思います(苦笑)
一部では安楽死とか言われている



私は個人的な意見ですが、
高校野球には球数制限を設けるべきだと思っています。
それによって視聴率が減ろうが、試合がつまらなくなろうが、
大事なのは野球界のより一層の発展と選手の育成だと思います。

そもそも完投や何試合も投げ続ける事=当たり前という考えが間違っています。
エースピッチャーに頼りきっているから酷使してしまうのです。

今の高校野球はただ「個」が出てくるのを待っているだけであり、
それこそチーム内でエースピッチャーに実力が偏っていたりと、
全体的なチームの強さを持っているチームが少ないように思います。

エースピッチャーだけに頼りきっているという事は、
その他のピッチャーの育成はどうなっているのでしょうか。
指導者の選手の能力を見る「目」は節穴ですか?
あらゆる選手をエース級に育てる事が、指導者の腕だと思うのですが。

控えピッチャーもリリーフも抑えも全て揃ってチーム力だと思います。
そういう全体的なチーム力の底上げが酷使を防ぐ事に繋がるのではないでしょうか。

特殊な例だとは思いますが、
現在メジャーリーグで活躍している黒田博樹投手のように、
高校時代3年間補欠だったような選手も確実にいます。
彼は大学時代にようやく球速が150km/hを超えた苦労人です。

彼が年齢を重ねた現在でも活躍できるのは、
例え高校時代に目が出なくても必死に努力をし続け、
活躍してからも向上心を忘れなかったからです。

が、活躍のもう一つの理由として、
彼が高校時代に酷使をしなかった事が、
良い方向に行っているのではないかと思います。

そういう意味では、
長い目を持って選手を見れば球数制限を設ける事が、
その後の野球人生を良い方向へ繋げるという事もあると思います。



ここまではプロや高校野球の話を中心にしてきましたが、
それ以前の中学生や小学生ではどうでしょうか?

中学生や小学生はまだ体、特に関節が未発達で、
酷使すると高校生やプロの選手以上に怪我をしやすいのです。
特に野球肘、野球肩は常に付き纏ってくる問題になります。
(野球肘は11歳や12歳が最も起こりやすい)

もし高校生に上がる前に肘や肩を怪我してしまうと本当に悲惨です。
まだ自分のフォームが確立していないので、
一旦怪我をすると自分の気付かぬ内に怪我した所をかばうようなフォームとなり、
次第に全力投球ができなくなり、球速も伸びなくなり、
余計に肘や肩へ負担をかけてしまう原因になります。

その原因のほとんどが指導者による知識不足によるものです。
選手がそうならないよう、指導者はしっかりと管理する必要があると思います。

例えば小学生は、
投げ込みの練習や試合などで全力投球を行う場合、
1日に50球程度までが望ましいとされています。
中学生も1日70球程度までですね。

もちろん連投をさせない事や、
ウォーミングアップ、クールダウンをしっかり行う事、
練習時間、練習内容、フォームチェックなど、
休みを上手く取り入れながら行う必要があります。

その他、食事や睡眠などの生活習慣も関わってきますので、
その辺は親が協力して子どもの体を守ってやる必要もあります。
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