いわゆる「使える筋肉」と「使えない筋肉」について考える

この記事では「使える筋肉」と「使えない筋肉」について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。

※当記事作成日時:2013-08-01、最終更新日時:2019-12-02

★当記事の目次

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「力に頼る」事による問題が大きい

バーベルやダンベルを利用する「ウェイトトレーニングで鍛えた筋肉」は、スポーツや実生活では役に立たない「使えない筋肉」とされ、「怪我をしやすくなる」「不自然な筋肉の付き方になる」「体が固くなる」「可動域が狭くなる」「感覚が鈍る」など、ネガティブな印象を持っている人が多いです。一方、ウェイトトレーニングをせずに、スポーツの動きの中で鍛えられた筋肉は「使える筋肉」「自然な筋肉」「柔らかい筋肉」「怪我をしにくい」などとされ、ポジティブな印象を持っている人が多いです。

しかしそう言われる原因は「筋トレをする事によって体の使い方が大きく変わってしまう」事による問題が大きいと思われます。例えばボールを投げる時、顎を強く噛み締めたり、腕・首・肩などに目一杯力を入れた状態で腕を回そうとすると、体が上手く連動せず、球速のあるボールを投げる事ができません。筋トレをして筋肉が大きくなり、それに伴って筋力が大きくなると、途端にそういう効率の悪い体の使い方になってしまう人はプロの選手でも多いです。特にこれには精神的な要素も大きく関係しています。筋肉が大きくなって筋力が上がると自信がつき、力に頼った体の使い方になってしまうのです。

それでは短期的にはパフォーマンスを発揮する事ができても長く続きません。特に球技スポーツでは複数の筋肉を複雑に使い、時には予想していない事に対しても、瞬時に体を動かさなければなりません。そのため単に一つの筋肉の持つ筋力が上がったというだけでは、体を上手く使いこなせず、パフォーマンスの向上には直結してくれません。また結果として大きな自信がついたとしても、精神と肉体を上手くコントロールできなければ気持ちが空回りしてしまいます。それではせっかく体を鍛えても無駄が大きいです。



「各筋肉の連動性」による問題が大きい

ここではボールを使うような球技スポーツと、バーベルなどを使った筋力トレーニング(いわゆる筋トレ)の「体の使い方」を比べてみましょう。

スポーツでは多種多様な状況の中で、瞬時に、かつ複雑に体を動かさなければなりません。特に球技スポーツでは対戦相手の人間あるいはボールという「必ずしも予測できるとは限らないもの」があり、それに対して瞬時に体を動かさなければなりません。そのためには助走や反動などの勢いを上手く利用し、それを効率良く意識的な筋肉の収縮に繋げる事が重要になります。

またそのような体の使い方をした方が、余分な体力を消費せず、温存でき、試合終盤まで高いパフォーマンスを発揮する事ができます。更にそれは数ヶ月や数年という単位では、調子の波を安定化させたり、怪我の予防にも繋がっていきます。これは競技レベルが高くなるほど要求される能力であり、その意味でも「力を発揮するきっかけを上手く利用する」事が重要になるでしょう。

一方、通常の筋トレでは「特定の筋肉に効かせるようなフォーム」で、できるだけ反動や勢いを使わず、その筋肉の持つ筋力だけを使って行う必要があります。つまり筋トレでは敢えて筋力を余計に消耗させるように力を入れ、目的の筋肉に大きなストレスを与えるようにして体を動かす訳です。特に筋トレは無酸素運動なので、そうして短時間で効率的に筋肉を疲れさせる事が重要になります。

しかし球技スポーツにおいて、毎度毎度そのような体の使い方をしていたら疲れてしまいます。当然試合終盤まで、あるいは数ヶ月や数年という長いスパンにおいてもパフォーマンスが持ちません。またそれは日常生活でも同じです。例えば何か重たい物を持ち上げる際、勢いを利用した方が楽に持ち上げる事ができますが、ゆっくりと重さに耐えるようにして持ち上げると余分に筋力を使います。筋トレを行って筋力が上がっても、そのような疲れる体の使い方をしていたら意味がありません。



「間違った筋トレ」による問題も大きい

一旦筋トレを始めると「継続する事」に強い使命感を感じ、精神的・肉体的に疲労があったり、体調及び調子が優れないにも関わらず、無理に筋トレを続けようとするなど、その時々のコンディションを考えずに「肉体を消耗させる事」に固執してしまいがちです。筋トレをし、肉体を酷使すれば、それだけ心身を効率良く働かせるための「ケアの重要性」が増します。それを怠って筋トレをしても、効率良く筋力を発揮できないばかりか、怪我をするだけでしょう。

また筋トレにおいては「回数を重ねれば良い」という間違った考え方を持っている人も多いです。特に中高生に多いように思います。そのような考えを持っている人ほど、やはり肉体を消耗させる事ばかりを考えるため、活動と休息のバランスが大きく崩れてしまいます。当然それは怪我に繋がったり、柔軟性を低下させたり、あるいは調子の波を大きくする「ムラっ気」の原因にもなると思います。せっかく筋肉を鍛えてもそれでは意味がありません。



可動域を狭める可能性について

ボディビルダーのように筋肉を大きくする事を何より優先させる場合、筋肉の盛り上がりによって関節の可動域が狭まる可能性はあります。例えば太ももの内側の筋肉が大きくなった場合、歩いたり走ったりする時、足を真っ直ぐ前へ出す事ができなくなります。それによって膝の関節や股関節に不要なストレスがかかり、怪我のリスクが高まるという事は十分に考えられる事です。

ただしそれは、例えばボディビルダー、相撲の力士、ウェイトリフティング、競輪、スピードスケートの選手などのような、非常に大きな太ももを持っている場合に限った話です。大抵の野球選手の場合、それは当てはまりません。ましてや体の大きなメジャーリーグの選手であっても、力士ほどにまで大きな太ももをしている人はまずいません。体の大きな選手が怪我をするとそれが目立つため、「体を鍛える=怪我をしやすい」という印象を持ってしまいますが、実際には体の小さな選手もたくさんの怪我をしています。

やはり前述したように「体の使い方」自体に問題があったり、精神及び肉体のケアが疎かになっている事による問題の方が大きいでしょう。特に血流の悪化は筋肉の機能を低下させ、関節の動きを悪くさせます。それには例えば同じ姿勢で長時間いるなど日常生活にも原因はあります。決して筋肉の大きさだけの問題ではありません。



結局「体の使い方を知らない事」が一番の原因

例えば階段を上り下りする時に使われる筋肉やその際の体の使い方は、森の中で原始的な生活をしていれば必要のないものですよね。「不自然な筋肉」という言い方をするとすれば、現代人の殆どは不自然な筋肉と言えるのではないでしょうか。

そう考えると、どのようなスポーツ選手で、どのようなトレーニングをしていたとしても、その競技をするために筋肉を鍛えている時点で「不自然」と言えると思います。特にボディビルダーは一般の人から見ると「不自然な筋肉」に見えますが、ボディビルの中で生きている人からすれば、我々のような一般人の方こそ「何で筋肉を鍛えないんだ」と不自然に感じると思います。つまり価値観は人それぞれであり、その人にとってその筋肉が必要ならば、それを求めれば良いのです。「筋肉を鍛える=悪い事」という固定概念を持つべきではありません。

その他、例えば重たいバーベルを持ち上げるウェイトリフティングの選手。彼らは普段から「瞬間的に力を入れるようなトレーニング」を行っているため、ジャンプ力を重点的に鍛えた訳ではないのに、軽量級の選手では垂直跳びを1m近くも跳ぶ事ができます。それだけ高いジャンプ力があれば、バレーやバスケでも有利に働きそうですよね。しかしボールの扱いには慣れていないので、それだけジャンプ力が高くても、空中では上手くボールをキャッチできません。

やはり「使えない筋肉」というのは結局「体の使い方」による問題が大きいと思います。ウェイトトレーニングだけをずっとしていれば、当然ウェイトトレーニング以外の動作が不得意になるでしょう。ただ、それならば、実際のスポーツの動作を取り入れたトレーニングを一緒に行い、体の使い方を覚えれば良いだけの話です。特に動作スピードを高めるために行うスピードトレーニングは、ウェイトトレーニングによる基本的な筋力の向上により、その効率が向上すると言われています。その意味でもウェイトトレーニングを避ける理由はありません。もちろんボディビルダーの人が球技スポーツにあるようなトレーニングを行って、それが実際ボディビルにどう役に立つのかはまた別の問題ですけどね(笑)



トレーニングにも様々種類がある

「ウェイトトレーニング=悪いもの」と考えている人は、「ダンベルやバーベルなどを上げ下げするウェイトトレーニング」しか知らない事が多いです。しかし単に「トレーニング」と言っても様々な種類があり、工夫次第でどうにでもなります。繰り返しになりますが、同じ動作だけをずっと行っていれば、それ以外の動作で上手く体が動かなくなってしまうのは当然の事です。

であるならば、やはりその筋力を効率良く使う事ができるようなトレーニング、あるいはそれぞれの筋肉の連動性を高めるようなトレーニングを行えば良いだけの話です。近年トレーニング法は進化しています。「筋トレ=悪いもの」という考え方は、選手としての自分の幅を狭めるだけです。

ただしトレーニングに関する知識がついても、前述したように精神的・肉体的なケアの方法を知らなければ、効率の良いトレーニングはできませんし、続きません。それらも合わせて学んでいく必要があります。更に、効率の良いトレーニングには食事や睡眠など様々な要素も関係してきます。トレーニングの方法だけを知るのではなく、視野を広げ、多角的に情報を探しましょう。





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