主働筋と拮抗筋の役割について考える

この記事では主働筋と拮抗筋について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。

※当記事作成日時:2013-08-01、最終更新日時:2019-12-04

★当記事の目次

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主働筋と拮抗筋の役割について簡単に

例えば仰向けに寝た状態から上体を起こすクランチやシットアップなどのトレーニング(いわゆる腹筋動作)では、腹直筋が収縮している間、その裏側(背中)にある広背筋や僧帽筋が同時に伸ばされています。この時、関節を動かすために働いている筋肉、すなわちここではお腹にある腹直筋の事を「主働筋」、そして主動筋の収縮によって逆に伸ばされている筋肉、すなわちここでは背中にある広背筋や僧帽筋などの筋肉の事を「拮抗筋」と呼びます。つまり関節を動かすような運動を行う場合、収縮している筋肉(主働筋)があれば、必ず同時に伸ばされている筋肉(拮抗筋)があるという事です。

特にそうして筋力を発揮している主動筋がスムーズに収縮するためには、拮抗筋がスムーズに伸ばされなければなりません。つまりそうして腹直筋で大きな筋力を発揮するためには、広背筋や僧帽筋など背中にある筋肉の柔軟性が重要になるという事です。また逆も同じで、例えばうつ伏せに寝た状態から上体を反らすバックエクステンションというトレーニング(いわゆる背筋動作)では、広背筋が収縮して体を反らせる際、その反対側、すなわちお腹にある腹直筋が伸ばされる事になります。この場合、広背筋や僧帽筋が主働筋、腹直筋が拮抗筋となり、広背筋がその筋力を最大限に発揮するためには、腹直筋の柔軟性が必要不可欠です。



主動筋と拮抗筋をバランス良く鍛えるためには?

例えば投球動作においてボールをリリースする際には、腕の裏側にある上腕三頭筋が主動筋として収縮し、それによって肘が伸ばされ、指先からボールがリリースされます。一方、その際には同時に腕の表側にある上腕二頭筋が拮抗筋として伸ばされています。つまり上腕三頭筋が素早く収縮し、肘を素早く伸ばすためには、上腕二頭筋が素早く伸ばされなければならないという事です。

よって球速を上げるためには、上腕三頭筋の収縮スピードを高めるようなトレーニングを行うと同時に、上腕二頭筋の柔軟性を高めるようなストレッチあるいはトレーニングが必要になるでしょう。また強化した上腕三頭筋の筋力、及び上腕二頭筋の柔軟性を活かすために、それぞれの筋肉(腕以外も)の連動性を高めるような練習やトレーニングも重要になります。いくら筋肉を鍛えても、その力に頼った体の使い方をしていては意味がありません。

尚、特定の筋肉だけをピンポイントで鍛えるようなトレーニングを続けていると、人によっては得意な種目と苦手な種目とで、トレーニング効果に差が出てしまう事があります。例えば上腕二頭筋のトレーニングは得意でも、上腕三頭筋のトレーニングは苦手という場合、自分では主働筋と拮抗筋をバランス良く使っているつもりでも、筋力や柔軟性のバランスが崩れているという事があり得るのです。しかし焦ってトレーニングの量を無理に増やしたりすれば、オーバートレーニングになり、活動と休息のバランスが崩れ、肉体・精神にダメージが及ぶ事もあります。

例えば上腕三頭筋を鍛えるトレーニングには、ベンチプレス(バーベル・ダンベル)、チェストプレス(マシン)、プッシュアップ(腕立て伏せ)、フレンチプレス(ダンベル・バーベル・チューブ)などがあります。また上腕二頭筋を鍛えるトレーニングには、アームカール・オルタネイトカール(ダンベル・バーベル・チューブ・マシン)、チンニング(懸垂)、ラットプルダウン(マシン)などがあります。更に同じ種目でも、扱う重量を敢えて軽くして素早い収縮を高反復で行ったり、単純にダンベル・バーベル・チューブ・マシンなど扱う道具を変えたり、あるいはセット数・重量・反復回数・インターバルを変えて行うなど、同じ種目でも工夫次第で新しい刺激を与える事ができます。

主動筋と拮抗筋をバランス良く鍛えるためには、単に苦手な種目の負荷や量を増やすのではなく、そうして新しい種目や刺激を取り入れながら、トレーニングの量を上手く管理できると良いでしょう。



拮抗筋の柔軟性を高めるためには?

筋肉がその機能を最大限に発揮するためには、その筋肉への「血液の流れが良い」という事が重要になります。何故なら筋肉を動かすためのエネルギーとなる物質が必要だからです。よって拮抗筋の柔軟性を高める方法は、単純に「その筋肉の使用頻度を高め、血流を促す事」にあると私は考えます。単に伸ばすだけでは不十分という事です。

例えば長時間同じ姿勢をしていると、首・肩・肩甲骨・背中周りにある筋肉が凝り固まる事があります。実はこれも「血流の悪化」によって起こっているのです。それを防ぐためには、例え同じ場所にいたとしても、適度に首や肩の筋肉を動かし、血流を促してあげる事が重要になるでしょう。尚、そうして特定の筋肉だけを動かす事ももちろん良いのですが、特に全身を動かすような運動(有酸素運動に限らない)が効果的です。

ちなみに筋肉を伸ばす「ストレッチ」には、体を静止させた状態で筋肉を伸ばす「スタティックストレッチ」だけでなく、体を動かしながら筋肉を伸ばす「ダイナミックストレッチ」や、負荷を与えながら筋肉を伸ばしていく「徒手抵抗ストレッチ」など、実は様々な種類があります。特に体を動かしながら行うダイナミックストレッチストレッチには、血流を促す作用があると言われており、何か激しい運動をこれから行うという場合、ダイナミックストレッチを行ってから入ると良いかもしれません。一方、スタティックストレッチは行うにしても1回30秒、また後述の伸張反射が起こりやすいので、力加減が重要になります。

その他、筋肉へのマッサージ、温熱(湿布の他、タオルなどを温めてそれを充てる、風呂に入る、サウナに入る等。ただし水分・ミネラル補給が必須)、振動(機器を使ったバイブレーションの他、単純に前進を揺する)などにも、一時的ではありますが、血流を促す作用があると言われています。



主動筋と拮抗筋を活かす「体の使い方」を覚える

筋肉は勢い良く伸ばされた時、反射的に縮む性質を持っています。これを「伸張反射」と言います。特に急激に伸ばされた場合、そのまま勢いに負けて伸ばされてしまうと、筋肉の細胞やそれを覆っている様々な組織が壊れてしまいます。その際、反射的に縮む事で、必要以上に伸ばされる事を防ぎ、筋肉や周囲の組織を守る役割があると言われています。

実はこれは運動の際にも利用する事ができます。どういう事かというと、例えば上腕三頭筋を収縮させる場合、意識的に収縮させる前に、まずは上腕二頭筋を勢い良く収縮させ、それによって上腕三頭筋を勢い良く伸ばします。すると勢い良く伸ばされた事で、上腕三頭筋が反射的に縮もうとするため、その反射的に縮む勢いの後に、意識的な上腕三頭筋の収縮を行うようにします。これがタイミング良く行われると、反射的に縮む際の勢いを「反動」にする事ができ、それによって後に続く意識的な収縮のスピードを高める事ができます。それは結果として無駄な筋力を消費せずに済むため、怪我の予防や体力の温存などの効果も得られます。

ただしそれを行うためにはやはり基本的な筋力や柔軟性が必要なのと、その切り返しを利用したトレーニング(プライオメトリクストレーニング)や、動作スピードを高めるような神経系のトレーニング(スピードトレーニングなど)、更には基本的な体の動かし方(投球フォームなど技術的なもの)を覚えるような練習・トレーニングも必要です。単に筋力や柔軟性を高めるだけではなく、筋力や柔軟性を効率良く発揮できるようなトレーニングも合わせて行いましょう。





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