握力を鍛えるためのトレーニング法

この記事では握力を鍛えるためのトレーニング法について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。
(記事作成日時:2013-07-27、更新日時:2019-05-11)

★当記事の目次

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★指の関節について

指の関節には第一関節、第二関節、第三関節の3つの関節があります。それが以下の画像の通りです。

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このように親指以外の指では3つの関節があり、第一関節を「DIP関節(遠位指節間関節)」、第二関節を「PIP関節(近位指節間関節)」、第三関節を「MP関節(中手指節間関節)」と言います。また第一関節と第二関節を合わせて「IP関節(指節間関節)」と言います。

一方、親指では第一関節が「IP関節」、第ニ関節が「MP関節」、第三関節が「CM関節(手根中手関節)」です。親指は見た目上では2つの関節しかありませんが、手首の根本に3つ目の関節があり、親指だけ例外的にそこを動かす事ができます。ちなみに親指以外の指にもCM関節はあり、第四関節と呼ばれる事もありますが、親指以外では手首の関節の一部となっており、独立して動かす事はできません。



★前腕にある筋肉について簡単に

「前腕」とは肘の関節〜手首の関節までの部分の事です。この前腕には2本の骨があり、手の平を上にして前腕を見た時、親指側にある骨を「橈骨(とうこつ)」、小指側にある骨を「尺骨(しゃっこつ)」と言います。また肘・手首・指の関節を曲げる時(屈曲)に関わる筋肉を「屈筋」、伸ばす時(進展)に関わる筋肉を「伸筋」と言い、橈骨と尺骨それぞれに沿うような形で様々な筋肉が存在しています。一方、実際には曲げ伸ばしだけでなく、尺骨の上を橈骨が移動する事で、肘を固定したまま前腕を内側に捻ったり(回内)、外側に捻ったり(回外)する事もできるため、橈骨と尺骨の位置や、それに付随する筋肉は常に同じ場所にある訳ではありません。

ここからの説明は肘を90度に曲げ、手の平が上になるようにして前腕を見ると分かりやすいと思います。前腕に存在する筋肉の名前を挙げると、前腕の一番外側から腕橈骨筋(これは肘の関節付近にある膨らみの部分にある筋肉)、橈側手根屈筋、長掌筋、浅指屈筋、尺側手根屈筋という順に並んでおり、ここで前腕の内側まで行きます。そして尺側手根屈筋の裏側には尺骨全体を覆っている深指屈筋があり、内側から肘筋、尺側手根伸筋、小指伸筋、総指伸筋、短橈側手根伸筋、長橈側手根伸筋となっています。そして前腕の外側にある長橈側手根伸筋の隣には腕撓骨筋があるので、これで前腕を一周します。

また立体的に考えてみると、腕橈骨筋や橈側手根屈筋の裏には円回内筋が、その円回内筋の裏には橈骨が、そしてその橈骨は回外筋に覆われています。更に、前述した総指伸筋と橈骨の間には長母指外転筋が、その橈骨の裏側には長母指屈筋が、その裏には前述した浅指屈筋があります。そして前述した小指伸筋の裏に短母指伸筋があり、その隣に前述した長母指伸筋が、その隣には尺骨があります。

前腕ではこれら様々な筋肉が複雑に動き、「手首を上下左右前後に曲げ伸ばしする動作」「指を曲げ伸ばしする動作」「指同士を遠ざけたり近づけたりする動作」「前腕を外側や内側へ捻る動作」「肘を曲げ伸ばしする動作」に使われています。しかし基本的に「一つの筋肉が単独で働く」事はありません。特に「何かを強く握る」場合、一つ一つの筋肉の持つ筋力の合計が「握力」になっています。よって握力を鍛えるためには、単に握る動作を繰り返すだけではなく、例えば手首の曲げ伸ばしをする動作など、様々な動作を行った方が総合的に前腕の筋肉が鍛えられ、握力も強くなります。



★指を動かすための筋肉について簡単に

指の第一関節を曲げる筋肉は深指屈筋、第二関節を曲げる筋肉は浅指屈筋、そして親指を除く4本の指を伸ばす際に働く筋肉が総指伸筋で、それぞれの腱が指先から前腕に続いています。ただし深指屈筋や浅指屈筋は手首を曲げる際に働く筋肉、総指伸筋は手首を伸ばす際にも働く筋肉なので、指の曲げ伸ばし動作の時にだけ働く訳ではありません。また指の付け根にある第三関節を曲げる際には虫様筋という筋肉が働きます。この筋肉はそれぞれの指から手首までしか続いておらず、前腕までは到達していません。

更に親指に関しては4本の指とは別の筋肉が関係しており、第一関節を曲げるのが長母指屈筋、第一関節を伸ばすのが長母指伸筋、第二関節を曲げるのが短母指屈筋、第二関節を伸ばすのが短母指伸筋です。この内では短母指屈筋のみ手首までで終わっています。また親指を内側に握り込む(親指と人差指の付け根で挟む)のが母指内転筋、遠ざけるのが長母指外転筋と短母指外転筋、親指と小指を近づける時に働くのがそれぞれ母指対立筋と小指対立筋となっています。長母指外転筋以外は手首までで終わっています。

その他では人差し指・薬指・小指を中指の方向へ近づける掌側骨間筋、逆に指同士を遠ざける背側骨間筋があり、これは指の間にあります。また小指を外側へ開く小指外転筋があり、これは手の平の側面(小指側)にあります。更に総指伸筋と共に小指を伸ばすために働く小指伸筋は何と小指から肘まで続いている他、人差し指を伸ばすために働く示指伸筋などもあります。このように指の動作には様々な筋肉が複雑に関わっており、握力を鍛えるためには様々な指の使い方をしなければなりません。

尚、指にある筋肉も前腕にある筋肉も全てを覚える必要はありません。私も全て覚えていません。ここで重要なのは、そのように握力を鍛えるためには、様々なアプローチが必要という事です。一つのトレーニング法に固執しないように注意しましょう。



★握力を鍛える事によるメリット

バッティングでは、握力が上がったからと言って直接的に飛距離が伸びる訳ではありませんし、バットコントロールが上手くなる訳でもありません。ただし手首を曲げ伸ばしする力に関しては、バットを振る際のインパクトの強さに大きく関係しています。握力を鍛えるために指の曲げ伸ばしに関わる筋肉を鍛えていれば、それに伴って手首を曲げ伸ばしに関わる筋肉も鍛えられるので、結果としてはパフォーマンスの向上に繋がります。

一方、ピッチングにおいても、握力が上がったからと言って直接的に球速が上がる訳ではありません。ただし球速が上がれば上がるほど、指先及びボールにかかる遠心力は大きくなり、コントロールが難しくなっていきます。握力が上がる事が直接的にコントロールの向上に繋がるという訳ではありませんが、握力があれば球速が上がった時にボールを抑え込む事ができるため、結果としては叩きつけたり、すっぽ抜けたりなどの失投の抑制には繋がります。特にフォークボールのように指を離して握ったり、複数の指を使う球種の場合、その効果が発揮されるでしょう。

ちなみにそれ以外では守備において、グローブで捕球した後にボールを掴む時、あるいは転がっているボールを直接掴む時、握力があればボールが滑りづらくなり、守備の安定性に繋がります。その他、握力が強くなると力が入りやすくなり、握力とは直接関係のない筋肉の発揮する筋力が上がったという研究結果があります。また握力は歯並びとも関係していて、噛み合わせが良い人では握力も強くなるという研究結果があるようです。その意味では歯列矯正、マウスピース、ガムを噛む事も、握力を高める事に繋がります。



●筋トレの注意点と冬場での指先のケア

握力を鍛える際には「何度もハンドグリップを握る」という事をしがちなのですが、そのような方法はあまり効率的とは言えません。何故なら、そのようなトレーニングは負荷が小さいからこそ何度も反復できるのであり、負荷が小さければそれだけ筋肥大が起こりにくくなるからです。負荷を大きくし、反復回数を減らす事、これが重要です。というよりこれは腕や足の筋肉を鍛える時と同じです。握力だからといって、その基本が変わる訳ではありません。

一方、握力は前述した様々な筋肉の持つ「筋力の総量」です。そのため握力を真に鍛えるためには、単に「握る」という動作を繰り返すだけではなく、「開く」「挟む」「摘む」など、様々な動作を行って鍛える必要があります。また当然手首を曲げ伸ばしする筋肉も一緒に鍛えていく必要があります。更に筋肉は神経伝達を行う事で刺激が入るので、様々な指の動かし方をする事も重要になります。指は5本ありますから、それぞれを複雑に動かす事もトレーニングになります。

尚、温かい時期にしっかり握力を鍛えていても、冬場では気温が低下し、それによって血流が悪化、トレーニング効率が悪くなってしまう事があります。指先を温めるような一時的なものはもちろん、全身を暖めるような事もすべきでしょう。例えば有酸素運動、水中歩行・水泳、半身浴、岩盤浴、サウナ、何か温まるものを食べる、暖かくして寝るなど、そういったケアも握力に繋がります。



★指を動かすための筋肉について簡単に

●指先で摘むトレーニング

このトレーニングでは単に筋肉へ刺激を与えるだけではなく、指先までの神経伝達をスムーズにするという目的もあります。そのため「指の付け根で強く握る」のではなく、「指先で摘む」ようなトレーニングを行います。尚、指先への神経伝達をスムーズにする方法については、過去の記事で扱っています。詳しくは「指先の感覚を高めるためのトレーニングについて考える」をご覧下さい。

方法としては至って簡単で、親指と人差し指、親指と中指、親指と薬指、親指と小指などの組み合わせで、指先の第一関節〜第二関節までを使い、「力強く・素早く何かを摘む→ゆっくりと力を抜く」という事を繰り返すだけです。指先で摘む物ですが、弾力性の強い小さなゴムボールなどが良いでしょう。特に摘んだ後に力を抜いていく際、その弾力に耐えるようにして指を戻します。そうする事で、摘む時だけでなく、戻す時にも筋肉に刺激を与える事ができます。

尚、摘んだ後ゆっくりと力を抜くのではなく、連続で素早く摘むように行う事でスピードトレーニングになります。そのようなトレーニングも合わせて行うと良いでしょう。



●指と指の間で挟むトレーニング

このトレーニングでは指と指の間の筋肉を鍛える事を目的としています。そのため握るのではなく、指と指の間で掴みます。方法としては至って簡単で、親指と人差し指、人差し指と中指、中指と薬指、薬指と小指の組み合わせで、「指と指の間に挟んだ何かを力強く・素早く挟む→ゆっくりと力を抜く」という事を繰り返すだけです。これも可能なら弾力性の強い小さなゴムボールなどがあると良いでしょう。

ただしこのトレーニングでは、指を縦ではなく横へ動かす必要があります。そのため指をやや反らした状態で、それを常に維持して行うと良いでしょう。またやはり挟んだ後に力を抜いていく際、その弾力に耐えるようにして指を戻しましょう。そうする事で効率的なトレーニングが可能になります。

尚、挟んだ後ゆっくりと力を抜くのではなく、連続で素早く挟むように行う事でスピードトレーニングになります。そのようなトレーニングも合わせて行うと良いでしょう。



●指を伸ばすトレーニング

このトレーニングでは指を伸ばすための筋肉を鍛える事が目的になります。そのため「握った状態から伸ばす」という逆の動作で行う必要があります。これは一例ですが、ジャンケンで「グー」と「パー」の手の形があると思います。グーの状態から手を開いてパーにする際、できるだけ「力強く」「素早く」「指と指の間を開かず後ろへ反らせる」ようにして指を伸ばすようにします。ただしパーからグーにする時には脱力して戻し、あくまでグーからパーにする時にだけ筋肉へ負荷をかけます。それを繰り返す事で指を伸ばす筋肉を鍛える事ができます。

それ以外の方法では、例えば机などの平らな面に弾力性の強い小さなゴムボールなどを置き、そのボールを「指先の裏側(手の甲側)で下へ押す→ゆっくりと力を抜く」という方法や、逆に手の平を下にし、机の端に指の付け根を置き、指先をフリーの状態にして「指を反らす」という方法でも鍛える事ができます。

いずれの方法も曲げる時には脱力しても問題ありませんが、指を伸ばす際に力強く・素早く行うのがポイントです。尚、連続で素早く伸ばすような方法も合わせて行うと良いでしょう。



●指と指を離すトレーニング

このトレーニングでは指を開くための筋肉を鍛える事が目的になります。よって最初は指を全て伸ばして揃えた状態から開始し、指を反らせるのではなく、隣り合う指同士をお互いに離すようにして開きます。つまり指は縦には動かず、横に平行移動するような形になり、それを「力強くかつ素早く」行い、それを繰り返します。指を戻す時には脱力しても問題ありませんが、指を開く時に力強く・素早く行うのがポイントです。また連続で素早く伸ばすような方法も合わせて行うと良いでしょう。

動作の性質上、負荷を増やすのは難しいですが、親指と人差し指、人差し指と中指、中指と薬指、薬指と小指をそれぞれ短めの輪ゴムで止め、同じように指を開いて行います。無理やり感が強いですが、一応そのようにすれば負荷を増やす事は可能です。それか特殊なゴムのグリップを利用すると良いでしょう。尚、その方法であれば、指を戻す際、負荷に耐えるようにしてゆっくり戻す事で、より効率的なトレーニングになります。もちろん敢えて素早く開く事を繰り返す方法もあります。



●指で握るトレーニング

握力を鍛える基本的な方法としてはやはり「握る」事です。握るようなトレーニング法では、ハンドグリップを利用したトレーニングがよく知られています。しかし重要なのはハンドグリップの選び方です。ハンドグリップには「閉じるために必要な握力」がそれぞれ設定されており、「1セット10回前後を連続で閉じる事ができるような、ギリギリのハンドグリップ(実際にはそれを2〜3セット)」を選びましょう。

握り方としては特に何も意識しなくても問題ありませんが、重要なのは開く時です。ハンドグリップの開く力に耐えるようにして、やや緩やかに戻すのがポイントです。もちろん敢えて連続で素早く握る事を繰り返す事もできますが、その場合には柔らかいハンドグリップが必要になります。また「瞬間的に素早く握る(指を開く際は逆に脱力する)」という事を強く意識する場合も、敢えて柔らかいハンドグリップを利用しましょう。

尚、例えば「60kg」と書かれているハンドグリップでも、握ってみるとそれよりも硬かったり柔らかかったりする事があります。また本人の指や手の形・大きさなどもあるので、人によって合う合わないがあります。実際にその商品に触れてみないと分からない事も多い上、握力が上がる度にハンドグリップを買えば出費は相当なものになります。ハンドグリップだけに固執せず、一部は別のトレーニングで代用すべきでしょう。


ちなみにハンドグリップを利用したトレーニング法では、敢えて「片手では閉じ切る事のできない硬いハンドグリップ」を利用する方法もあります。どういうトレーニングかというと、まず両手でハンドグリップを閉じ切った状態にし、そこで片手で持ち替えます。そしてハンドグリップの開く力にできるだけ耐えようとしますが、結果としてハンドグリップの力に負け、指を開いていきます。これは「ネガティブトレーニング」と言って、そのように収縮されながらも結果として伸ばされる事で、筋肉に大きな刺激を与える事ができます。その際、親指と人差指だけでなく、全ての指に力を入れる事が重要です。

最後になりますが、強く握る際、前腕以外の部分にも力が入ってしまう事があります。できるだけ指先及び前腕の筋肉だけを使って握り、その他の筋肉は脱力して行いましょう。特に顎を強く噛み締めたり、首の根元に力を入れたり、お腹に力を入れて力んだりしないように。頭に血が上って血圧が高くなって大変危険です。






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