腕の表側にある筋肉を鍛えるためのトレーニング法

この記事では腕の表側にある上腕二頭筋を鍛えるためのトレーニング法について紹介しています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。
(記事作成日時:2013-06-18、更新日時:2019-05-14)

★当記事の目次

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★腕の表側にある筋肉の役割・鍛えるメリット

上腕(肘〜肩までの部分)には表側に「上腕二頭筋」という大きな筋肉があります。「二頭」という名の通り、上腕二頭筋は内側にある「短頭」と外側にある「長頭」の2つに分かれています。実は鍛えている人では上腕二頭筋の中央に窪みができますが、これは上腕二頭筋がその名の通り「二頭」で、そのように筋肉の山が2つに別れているからです。

短頭と長頭では肩側に結合する腱の場所が異なります。内側の短頭は肩甲骨にある烏口突起(上腕骨と肩甲骨が繋がる肩甲上腕関節の斜め上付近にある突起の事)に、外側の長頭は上腕骨の先端部分を横断してすぐの肩甲骨関節上結節(烏口突起の斜め下にある肩甲上腕関節のすぐ上、肩甲骨側)まで繋がっています。一方、前腕へと繋がる腱は前腕の外側にある橈骨の同じ場所に繋がっています。

上腕二頭筋は主に肘の屈曲、すなわち肘を曲げる時に働きます。野球の場合、特に上腕三頭筋を収縮する前に、一瞬だけ上腕二頭筋が収縮する事で、それが反動となり、続く上腕三頭筋のスムーズな収縮に繋げる事ができます。この動作は例えばピッチャーではボールを投げる前の一旦肘を曲げる動作、バッターではバットを振り下ろす前に一瞬だけ後ろへ引く動作などです。特にバッターの場合、バットを振り上げる時にも使われます。そのためスイングスピードにはあまり貢献しませんが、インパクトの強さには大きく貢献します。鍛えれば飛距離が伸びる可能性があります。

尚、上腕三頭筋がスムーズに収縮するためには、上腕二頭筋がスムーズに伸ばされる必要があります。上腕二頭筋の柔軟性を高めるためには、緩やかに伸ばすような静的なストレッチ、勢い良く伸ばすような動的なストレッチに加え、「日常的に上腕二頭筋を使っておく」という事が非常に重要になります。その意味ではピッチャーでも上腕二頭筋を鍛えるようなトレーニングを行う価値はあると思われます。もちろんボディビルダーのようにムキムキに鍛える必要はありませんが。

ちなみに腕の表側には烏口腕筋や上腕筋という筋肉もあります。烏口腕筋は烏口突起から上腕骨の内側中央付近に、上腕筋は上腕二頭筋の下側に位置し、上腕骨の中央付近から前腕の内側にある尺骨まで繋がっています。肘を曲げていく際にはこの2つの筋肉が上腕二頭筋の動きをサポートしています。また肘を曲げる祭には前腕にある腕撓骨筋などの筋肉も使われます。



★上腕二頭筋を鍛えるためのトレーニング法

●アームカールとハンマーカール

アームカールは上腕二頭筋をピンポイントで鍛える事ができるトレーニング法です。尚、肘を曲げていく際に負荷がかかるようなトレーニングでは上腕二頭筋も収縮している事も多いですが、実は上腕二頭筋をピンポイントで鍛える事ができるようなトレーニングは少ないです。よって腕の筋肉を鍛えていく上では、このアームカールを避けて通る事はできないでしょう。

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まずは基本となる姿勢を作ります。姿勢を正して立った状態、あるいは座った状態になり、左右どちらの手でも良いので手に重りを持ち、手の平が上を向くようにしておきます。続いて重りを持っていない方の手で肘を下から支えるか、肘を脇に密着させて固定します。そうする事で、肘の関節及び腕の骨がズレないようにする事が重要です。また手首はできるだけ伸ばしたまま維持し、動作間でも曲げないように注意しましょう。

その状態になったら肘を曲げていきます。特に大きな負荷を扱っている場合、ついつい反動を利用して重りを持ち上げてしまいがちですが、勢いをつけるのではなく、できるだけ腕の筋肉の収縮だけで重りを持ち上げるようにします。それが効かせるコツです。そうして肘を曲げていくと「これ以上は反動をつけないと曲がらない」という角度まで来ると思います。つまり前腕と力こぶがぶつかってストッパーとなり、それ以上進まなくなる訳です。あまりに肘を深く曲げると、重りの重さが下方向(肘の方向)へかかり、上腕二頭筋への負荷が減ってしまいます。そのため曲げ切る寸前で止め、意識的に腕の筋肉に力を入れます。そうしてできるだけ脱力しないように肘を伸ばす動作へ移行させましょう。

もちろん肘を伸ばしていく際も、勢いをつけて伸ばすのではなく、できるだけ負荷に耐えるように意識しながら、少しゆっくり目に伸ばすようにします。特に筋肉は伸ばされながら収縮する事で大きな刺激を与える事ができるので、そのように筋肉を伸ばす時は特に意識しましょう。また肘を完全に伸ばしきってしまうと、やはり上腕二頭筋に負荷がかからなくなってしまうので、軽く曲げた状態までで留め、完全に脱力させないようにして、再び肘を曲げる動作へと移行させます。動作間で止まらないように注意しましょう。

尚、不必要に力むと、首の根元に力が入って肩が前へ出たり、顎を強く噛み締めてしまう事があります。また疲労が蓄積してくると、手首を曲げて腕の筋肉を助けようとしたり、脇が開いて肘が浮きやすくなります。特に脇が開くと肩の関節に不要なストレスがかかる事があります。上腕の筋肉以外はできるだけ脱力させるようにしましょう。それが難しいならばやはり片手ずつ集中して行う方が無難です。

この「肘を伸ばした状態→曲げる」を1回とし、筋肥大を目指すのであれば1セット10〜15回程度になるよう負荷や力の入れ方を調節、休憩を上手く挟んでそれを2〜3セット行いましょう。

ちなみにここでは片手ずつ行う方法を説明しましたが、チューブやダンベルを両手に持って交互に、あるいは同時に行ったり、バーベルを利用して両手同時に行う事もできます。また前腕を常に縦(つまり親指が上)にして行う「ハンマーカール」と呼ばれるトレーニング法もあります。こちらでは上腕二頭筋の他、前腕の外側にある腕撓骨筋や上腕にある上腕筋など、特に肘の関節に近い部分へ刺激を与える事ができます。



●スピネイトカール

スピネイトカールとは、最初はハンマーカールのように前腕を縦にした状態(手の甲が外を向く)から肘を曲げていき、最終的にはアームカールのように手の平がこちら側を向き、また脇を締めて肘を少しだけ内側に入れるようにして行います。つまり前腕を回転させながらアームカールを行う訳です。これにより筋肉へ異なる刺激を与える事ができます。尚、戻す時も同じように前腕を回転させて戻します。ただし捻り過ぎると肘や肩に負担がかかる事もあるので注意しましょう。



●リバースカール

リバースカールとは、常に手の甲を上にした状態で行うアームカールの事です。これにより特に肘の関節に近い部分へ大きな刺激を与える事ができます。特に前腕ではハンマーカールよりも外側に刺激が入りやすくなります。尚、動作間で手首は曲げないようにします。



●チンニング(懸垂)

チンニングとはいわゆる「懸垂」の事です。チンニングは主に上腕二頭筋を鍛えるためのトレーニング法ですが、三角筋後部、僧帽筋、広背筋、大円筋など背中にある筋肉も同時に鍛える事ができます。また足を宙に浮かせた状態で行うため、自分の体重だけでも大きな負荷となり、効率良く筋肥大を狙う事ができます。一方、最低でも腕だけで体重を支えられるぐらいの筋力が必要なので、人によっては難易度の高いトレーニングになります。また行う事ができる環境も限られる(チンニングスタンドが必要→Amazon検索)上に、人によっては肘や肩に違和感が出る事があります。その他のトレーニングでも代用は可能であり、チンニングを無理して行う必要はありません(ピッチャーの場合には特に注意する)。

ではチンニングの方法を簡単に説明します。まずは肘を伸ばしたまま両手を真っ直ぐ上へ上げます。その両手を肩幅かそれより少し広めに開き、バーに掴まって足を宙に浮かせます。また肩及び肩甲骨は上へ上げておきますが、前へは出さないようにします。それが基本の形です。尚、一旦バーに両手だけでぶら下がってみて、背中が丸くなったり、肩が前へ出ていないかなどを鏡を見てチェックしておきましょう。

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それができたら早速肘を曲げ、バーへ胸を近づけていきます。その際、反動を使って勢い良く体を持ち上げようとしたり、腕の筋肉を使って無理やり肘を曲げようとはせず、「肘を体側へ引きつけながら、脇を閉じていく」ようにします。すると「腕の骨を体へ引きつけた結果として肘が曲がる」事になり、腕の筋肉ではなく、主に背中の筋肉を使って体を持ち上げる事ができます。

また体を持ち上げていく際には、指先から肘先までが常にバーと垂直となるようにします。つまり肘は曲げますが、その肘が左右にズレないようにするという事です。更に体を持ち上げていくのと同時に、最初に上げていた肩及び肩甲骨を下へ下げます。ここで重要なのは肩や肩甲骨を体の後ろへ引くのではなく、下へ下げるようにして行う事です。そうする事で広背筋により効きます。尚、後方へ引くようにすると僧帽筋により効きます。

そうしてバーへ胸を引きつけていくと、肘は肩のちょうど下辺りに来ると思います。しかしその状態では、腕の筋肉及び背中の筋肉への負荷が小さくなり、どうしても脱力してしまいます。そのため肘は完全には曲げきらず、その寸前で止め、できるだけ脱力しないようにして切り返しましょう。そしてそのまま、ややゆっくりと肘を伸ばしていき、体をスタートの状態まで戻していきます。ただしこの際も、やはり完全には肘を伸ばしきらず、軽く曲げた状態までで留めて切り返します。そうしてやはりできるだけ脱力しないように、再びバーへ胸を引きつける事が重要です。

回数としては「肘を伸ばした状態→肘を曲げてバーへ引きつける」を1回とし、筋肥大を目指すのであれば1セット10〜15回程度になるよう負荷や力の入れ方を調節、休憩を上手く挟んでそれを2〜3セット行いましょう。尚、懸垂は基本的にそのまま行うだけでも十分大きな負荷になるので、何十回と繰り返す事ができる場合、反動を使うなど大抵どこかで楽をしています。そのようなトレーニング法では効率的な筋肥大は望めず、筋肥大が起こる前に肩や肘を怪我をする可能性が高いです。短時間で効果的に筋肉へ刺激を与える事ができるような体の使い方(敢えて筋力を余分に消耗するようにする)をし、何度も反復せずに済むよう努めましょう。逆に負荷を増やしたい場合、重りを腰からぶら下げたり、重りを背中あるいは腰に固定する、あるいは腰などにチューブを巻き付けて下から引っ張ってもらうと良いでしょう。


ちなみにですが、敢えて高さのないバーを利用し、体を斜めの状態、あるいは体を床と平行にした状態でチンニングを行う「インバーテッドロウ」というトレーニング法もあり、この方法では僧帽筋へより効かせる事ができます。その他、上方にあるバーを体へ引きつけるラットプルダウンというトレーニングでも、チンニングと同じようなトレーニング効果が得られます。ラットプルダウンはマシンを使ったものや、チューブを利用したものがあります。