野球選手のための熱中症対策について考える(要点のみ)

この記事では「熱中症と夏バテの対策法」について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。尚、この記事では特に「熱中症」を中心に扱っており、自律神経を整える方法や、いわゆる「夏バテ」については別のブログにまとめています。詳しくは「身長を伸ばす方法について考えてみた」にある記事『身長を伸ばすために必要な「夏バテ対策」について考える』にまとめているのでそちらをご覧下さい。

(記事作成日時:2013-06-14、更新日時:2019-04-11)

★当記事の目次

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熱中症に何故なるのかを考える

「体温を調節する機能」は自律神経によって自動的に制御されています。気温の上昇に伴い体温が上がると、血管を拡張させたり、筋肉を弛緩させたり、汗をかくなどして体温を下げようと努めます。しかしそれを制御する自律神経が、何らかの理由で上手く機能していない場合、その状態で急に気温や体温が上がると、それらの調節が上手くできなくなる事があります。そうして自力で体温を下げる事が難しくなった状態が、いわゆる「熱中症」と呼ばれるものです。

特に体温を下げるためには、そのように血管の拡張、筋肉の弛緩、発汗などが必要です。しかし例えば緊張(メンタル的なもの)、筋肉の凝り(肉体的なもの)、過度なストレス、過労、水分・栄養・睡眠不足などによって自律神経の機能が低下していると、自覚症状もなく、熱中症のリスクが高まっています。野球は基本的に屋外で行うため、運動中の筋収縮による体温上昇はもちろん、太陽光を浴びる事による直接的な体温上昇、更にはグラウンドの土からの熱などによって、ただでさえ体温が上昇しやすい環境にあります。気温の高さに関わらず「常に熱中症と隣り合わせ(指導者の高圧的な指導も熱中症の原因だったりする)」という事は強く認識しておくべきです。

また部活動では指導者の方針により、水分補給が容易にできない・・・そういう環境が未だにあります。事前の体調管理はもちろんの事、その場での体調管理を「自分の意志(時にはバレないように楽をする事も大事)」で行いましょう。場合によっては水分補給を完全に禁止される事もあるかもしれませんが、そのような指導が行われている時点で、そのチームの戦力などたかが知れています。というかそのような時代は既に終わっています。自分の命はもちろんの事、周囲にいる友人たちの命よりも大切なものなどありはしません。自分たちが考える「野球」ができるように環境を整える「勇気」も時には必要です。指導者なんて今どきネットでも募集できますからね(笑)

一方、例え「熱中症になりやすい環境」であっても、逆に熱中症にならない人もいます。これは環境に適応していく能力が人それぞれ異なる事と、現時点での体調がその時々で異なるからです。そのため熱中症を真に予防するためには「熱中症にならない人を基準に考えない」という事も重要になると思います。野球のように「集団」で行動する場合、それは自分の身を守る事はもちろん、自分の周囲にいるチームメートの命を守る事にも繋がります。ただ現状に「従う」だけではダメです。意識は高く持つべきです。


熱中症にはどのような症状がある?

熱中症はそのように体温が上がる事によって起こる様々な症状の総称です。しかし高気温の環境では、例え激しい運動をしていなくても、常に「熱中症」のリスクがあります。また前述したような自律神経のバランスを崩した状態では、気温的には高くなくても、急な気温の上下動が起これば誰でも熱中症になるリスクがあります。

特に熱中症はその度合いによって症状が異なり、最悪の場合、命に関わる事もあります。たかが熱中症だからとか、気合や根性が足りないなどと、決して甘く見ないで下さい。夏場では必ずニュースになりますが、「自分はならない」と思っている人に限って起こる事が多いのです。油断してはなりません。リスクを管理できる「油断しない人」こそ「強い人間」です。


尚、そんな熱中症ですが、「I度」「II度」「III度」というように、症状の深刻度によってレベルが分けられています。その内、症状別に「熱失神」「熱痙攣」「熱疲労」「熱射病」という4つの分類があるとされています。下記ではその4つの分類について簡単に説明していきます。

ちなみに意識の消失で倒れた場合、熱中症が原因となるもの以外が原因の急性の病気(脳梗塞、心筋梗塞、低血糖、てんかんなど)の可能性もあります。そのため安易に「熱中症による意識の消失」と決めつけてしまうのは大変危険です。熱中症と判断して体を冷やすだけだと、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わるような重大な病気を見逃してしまう場合もあるので、その時の状況(転倒のしかた、呼吸・脈・心臓の状態、意識、体温、汗の状態など)を見て冷静な対応が必要です。そういう判断ができる指導者、あるいは後からでもそういう事を勉強し、選手の事を一番に考えてくれるような指導者が必要です。



熱中症を予防するにはどうしたら良い?

まず重要な事は自律神経を整える事です。特に自律神経は睡眠習慣の乱れ、過労、過度なストレスによる影響を強く受けます。それらを改善するべきでしょう。

以下は熱中症の予防に繋がると思われる事を箇条書きにして簡単にまとめています。参考までに。
・明るくなったら起き、暗くなったら寝る
・平日休日問わず、毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝る
・十分な睡眠時間を確保する(人によって異なるが9時間程度であれば十分)
・枕、布団、部屋の明るさ、室温・湿度、騒音など睡眠環境を整える
・寝る前に五感を刺激するような事をしない
・鼻呼吸ができるようにしておく(鼻炎など)
・昼間、心身に適度な疲労を感じさせておく
・昼間、太陽の光を浴びておく
・昼間、長時間同じ姿勢でいない
・寝る前にお風呂に入り、ある程度体温を上げておく
・日頃から筋肉の柔軟性を高めておく(実は筋肉の柔軟性は寝相に関係する)
・ストレスコントロールをする
(楽しい事をする・物事の受け止め方を変える・環境を変える・新しい事をする等)
・過度な食事制限を避ける(ダイエットなど)
・いきなり食事量を増やさない(これも負担となる事がある)
・特定の食品・特定の栄養素だけに縛られない
・よく噛んで食べる
・気温の上下動に少しずつ触れるようにする(いきなり環境を変えず少しずつ慣らす)
・日中の寒暖差が激しい場合など、天候の変化を把握しておく
・ファッションを気にし過ぎるなど、気温や湿度に合わない服装をする
・帽子の有無
・気温が高くなくても湿度が高い日は注意する(見逃されやすい)
・無理をして運動を行わない、時には休む事も必要(気象庁の注意報に従う)
・定期的に練習あるいはトレーニングを休む(風邪などの不調を無視しない。そのような環境を整える勇気も必要)
・体を動かす事や汗をかく事に慣れておく(試験期間後、病み上がり、お盆休みなど)
・気温・室温に関わらず、温度変化のない環境に長期間いない
・気温が高くても、室温は下げすぎず、室温の低い部屋に長時間留まらない
・室温の低い部屋からいきなり炎天下に出ない(少し時間をおいてから外へ)
・普段の食事以外でも小まめな水分・栄養補給をする
・運動前のウォーミングアップ、運動後のクールダウンを行う
・運動前、運動中、運動後に水分・栄養補給を行う
・運動後に体を冷やす
(特に首の後、脇の下、鼠径部、膝の裏、背中。その他、肩、肘、膝など。氷水を入れたアイスバッグ、あるいばビニール袋に氷水を入れ、それを当てると良い。塩を少量入れると温度が下がる。またビニール袋の場合、四角い氷で面を作れば当てる事のできる範囲が広がる。凍傷には注意する事)
・・・などが挙げられます。細かいように思いますが、前述したように、これは自分の命を守るだけではなく、周囲にいる人の命を守る事にも繋がります。決して軽視してはなりません。

ちなみに熱中症とは違うものですが、夏特有の症状としていわゆる「夏バテ」というものがあります。特に夏バテでは胃腸の不調、便秘、食欲減衰、栄養の吸収不良、またそれに伴う気だるさ、四肢の重量感、やる気や集中力の低下などの症状が見られます。これも元々は自律神経の乱れによって起こるものであり、長期化するとやはり熱中症のリスクを高めます。前述したような事を「夏に入る前」から改善していけば、夏バテも一緒に予防する事ができるでしょう。


熱中症の分類について簡単にまとめてみる

●熱失神

体温を下げようとした時、血管を開いて拡張し、血圧を下げる事でまず血流量を抑えようとします。また血液中に含まれる水分を皮膚の表面に排出し、それを蒸発させる事で熱を外へ逃します。しかし水分不足の状態(脱水症状)では、血液中に含まれる水分量が減るため、それよって単純に血液の量が減る事になります。特にそれが起こると脳へ送られる血液の量が少なくなり、それによって意識障害や失神が起こると言われています。

「意識障害」というと深刻なイメージもありますが、頭がボーっとしたりするのも実は意識障害の初期段階に入ります。レベル的には「I度」ですが、意識消失の際には転倒する場合もあり、頭を打って脳震盪を起こしたり、頭蓋骨を骨折するなど別の怪我を伴う事もあります。決して軽んじるべきではありません。小まめな水分補給及びミネラルの補給が必要です。


●熱痙攣

体温を下げる時には、汗と一緒にナトリウムなどのミネラルも排出しているのですが、そのミネラルが不足した場合、筋肉の収縮が上手くコントロールできなくなる事があります。これは筋肉を収縮させる際の調節にミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム)が深く関わっているからです。例えば誰でも「足が攣る」という経験があると思いますが、これも実は筋肉で痙攣が起こっているのです。熱中症では特にそれが起こりやすくなります。

これもレベル的には「I度」なのですが、深刻な状態になると全身の筋肉で痙攣が起こり、体が上手く動かなくなります。それによる転倒なども考えられます。また場合によっては胃腸などの臓器だったり、あるいは心臓の筋肉でも起こる事があり、そうなれば命に関わる事もあります。水分補給の際にはミネラルが含まれる飲み物を飲むようにしましょう。また例えミネラルの含まれている飲み物であっても、それをただガブ飲みするだけだと逆効果になる事があります(血液が薄くなるため)。


●熱疲労

水分とミネラルの補給が適切に行われず、脱水症状に陥った際、全身に大きな倦怠感・疲労感を伴う事があります。これは血液に含まれる水分量が減る事で、心臓へ大きな負担がかかったり、あるいは前述のように筋肉の収縮が上手くできなくなる事で起こります。特にこの熱疲労では、運動量に関わらず大量に汗をかくという特徴があり、水分やミネラルがどんどん失われていきます。高気温の環境では汗をかく事が当たり前であり、本人や周囲も気づきにくいので注意が必要です。

尚、発汗をしている分まだマシに思えますが、レベル的には「II度」であり、熱中症としては重症の一歩手前という状態です。汗の量が異常に増えるので、より重症な熱射病に意向しやすい事も関係しています。そのまま放置すれば大変危険なため、違和感を感じたら水分・ミネラル補給を行いながら、動脈が近い各部位を冷やし、室温の低い室内で休憩を取りましょう。


●熱射病

熱射病では、体温の上昇に伴って特に脳の温度が下がらなくなり、生命活動を維持するための様々な機能が低下します。それによっては当然体温調節機能が失われ、発汗量も極端に減るため、自力では体温を下げる事ができなくなります。最悪の場合、心臓や呼吸などの機能も失われ、命に関わる事もあります。レベル的には当然「III度」であり、即救急車・病院行きです。

尚、熱射病と似た言葉に「日射病」という言葉もあります。こちらは太陽光を直接頭に浴び続ける事で、同じように脳の温度が上がった状態の事を言います。熱中症とは違い、全身の体温は上がらない事もあります(もちろん全身を浴びれば全身の体温が上がる)が、脳の機能が大きく低下するという意味では、熱射病と同じような症状が起こるでしょう。


これら熱中症においては目眩、頭痛、吐き気、だるくなる、手足の痺れ、呼吸の乱れ、血圧の上下動など、人によって様々な症状が現れます。「いつもと違う」など思い当たるものがあったら、その場ですぐに首、股間、脇など、動脈の通る関節を氷などで冷やして休んで下さい。また何度も言うようにミネラルの入った飲み物で水分補給をして下さい。軽度の熱中症でも対処を怠ると、人によってはすぐに重症化します。




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