肩甲挙筋や菱形筋を鍛えるためのトレーニング法

この記事では肩甲骨にある菱形筋や肩甲挙筋を鍛えるためのトレーニング法について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。
(記事作成日時:2013-02-04、更新日時:2019-05-09)

★当記事の目次

ここでは当記事内の章をリスト化しています。クリックする事で直接その場所へ飛ぶ事ができます。また戻りたい場合には各章の一番下にある「当記事の目次まで戻る」をクリックする事で再びこの場所に戻ってくる事ができます。


★肩甲挙筋や菱形筋の役割について簡単に

肩甲挙筋は肩甲骨を背中側から見た時、肩甲骨の斜め上付近から首の後ろを斜めに横断し、頭の骨の付け根にある首の骨に向かって斜め上方向に繋がっています。ただし角度が鋭角なので、斜め上方向と言っても、かなり上方向の要素が強いです。そのため肩甲挙筋は肩甲骨を上に向かって引っ張り、その位置を安定化させる役割があります。肩甲骨は腕の骨と関節を形作っていますが、宙に浮いており、そのままだと重力や体の上下動に伴う衝撃によって下へズレてしまう事があります。肩甲挙筋はそうして上から吊るしてそれを防ぎます。

またこの肩甲挙筋の関わる動作としては、そのように肩甲骨を上へ引き上げる時に働きます。例えば腕を下へ伸ばした後、その腕を上へ引く時、あるいは胸を張る時などに使われ、腕を使うような動作の前の動作や腕を使った後の動作をスムーズにする事ができます。ただし肩甲挙筋はかなり細い筋肉なので、大きな筋力を発揮する事はできません。そのため基本的には僧帽筋や広背筋など大きな筋肉の補助として働き、そうして肩甲骨が横や下へ移動した時、その位置を元に戻すために機能します。

一方、菱形筋は肩甲骨の側面全体から背骨に向かって、やはり斜め上方向に繋がっています。ただし肩甲挙筋と比べると鋭角ではなく、また幅が広いため、上方向よりも横方向への要素が強いです。そのため菱形筋は肩甲骨を横に向かって引っ張り、その位置を安定化させています。尚、菱形筋は小菱形筋と大菱形筋に分かれており、やや狭い小菱形筋の下に広い大菱形筋があります。肩甲挙筋は更にその上にありますが、菱形筋と肩甲挙筋では方向が異なります。

前述の肩甲挙筋は肩甲骨を上に向かって引っ張りますが、菱形筋はどちらかというと横に向かって肩甲骨を引っ張ります。そのため菱形筋の関わる動作は、例えば前や横へ出した腕を後方へ引く時、あるいは胸を張る時などに使われ、腕を使う動作の前の動作や腕を使った後の動作をスムーズにします。ただし肩甲挙筋と比べれば幅は広いですが、筋肉としては薄いため、大きな筋力を発揮する事はできません。そのため基本的には僧帽筋や広背筋など大きな筋肉の補助として働き、そうして肩甲骨が横へ移動した時、その位置を元に戻すために機能します。

ちなみに肩甲骨はそれを下げる働きを持つ小胸筋(肩甲骨と胸の骨を繋ぐ)や前鋸筋(肩甲骨と肋骨を繋ぐ)などがある他、肩甲骨と腕の骨を繋ぐ棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋などの筋肉もあります。肩甲挙筋と菱形筋を含め、それら一つ一つの筋肉は小さく、やはり大きな筋力は発揮できませんが、そうした様々な筋肉によって肩甲骨の位置は調節されています。一方、それら肩甲骨周りにある筋肉は全体として僧帽筋や広背筋に覆われており、肩甲骨の動きには大きな筋肉も関係しています。そのため肩甲挙筋や菱形筋が単独で働くような動作は存在しません。僧帽筋や広背筋を使うような動作を行えば、大抵肩甲挙筋や菱形筋も働きます。



★肩甲挙筋や菱形筋を鍛えるためのトレーニング法

●肩甲挙筋を鍛えるトレーニング(シュラッグ)

Shrug2.jpg

シュラッグは主に首の根元〜肩甲骨全体を覆っている僧帽筋の上部を刺激するトレーニングですが、肩甲挙筋や菱形筋なども一緒に鍛える事ができます。方法としては至って簡単で、手にダンベルやチューブなどを持ち、肘を伸ばしたまま、単に肩を上下動させるだけです。ただし可動させる範囲は狭いので、ただ単に上下動させるだけでは効率的なトレーニングになりません。そこで注意点などを交えながら方法を説明したいと思います。

まず足を肩幅に開いて立ち、姿勢を正します。そして両手にダンベルのような重りになるものを持つか、足でチューブを踏んで固定し、チューブの両端を両手で持ちます。その状態になったら、肘をできるだけ曲げないようにして、肩を天井方向へ持ち上げていきます。この時、力んで顎を噛み締めたり、首に力を入れたり、あるいは頭・首・肩が前へ出たり、背中が丸くならないように注意しましょう。また腕は必ず体側に沿うような形で行い、脇が開かないようにも注意しましょう。

特にここでポイントとなるのは「肩を前へ出さない事」と「肩だけでなく肩甲骨を上げる事」です。イメージとしては体側よりもやや後方に肩及び肩甲骨を上げる事、すなわち体を横から見た時、少し斜め上の方向へ肩及び肩甲骨を上げるようにします。こうする事で肩甲挙筋にも刺激が入ります。また上半身を少し前へ倒した状態で行う事では菱形筋にも効かせる事ができます。もちろんシュラッグは元々筋肉を単独で鍛える訳ではありません。普通に肩を上げ下げするだけでも多少の刺激は入ります。

Shrug.png

そうしてこれ以上は持ち上がらないという所まで行ったら、今度はゆっくりと肩を下げていきます。ここでは単にストンと肩を下へ落とすのではなく、できるだけ負荷に耐えるように意識しながら、ややゆっくり目に下げましょう。特に筋肉は「伸ばされながら収縮する」時に大きな刺激を与える事ができます。これにより肩を上げる時はもちろん、下げる時にも筋肉へ刺激を与える事ができるので、効率良くトレーニングができます。そうして脱力させないように肩を下げたら、スムーズに切り返し、再び肩を持ち上げる動作へ移行させます。途中で動作が止まらないように注意しましょう。

シュラッグではこの「肩を上げる→下げる」を1セットとし、1セット10〜20回程度、それを休憩を挟んで2〜3セット行いましょう。僧帽筋の筋肥大を狙う場合、理想は1セットの間にギリギリ10回前後反復する事ができるような負荷に調節する事です。ただし可動させる範囲があまり広くないので、筋肥大を目指すなら、別途、僧帽筋を鍛えるようなメニューを行った方が良いでしょう。尚、人によっては動作間で肩がゴリゴリと音を立てたり、何かが突っかかったように感じる事があります。その場合には無理せずすぐに中止し、肩甲骨周りにある筋肉のストレッチやマッサージを行いましょう。



●菱形筋を鍛えるトレーニング(特殊型リアレイズ)

通常のリアレイズは上半身を前へ倒した状態、あるいはベンチなどにうつ伏せに寝た状態で、両手あるいは片手にダンベルを持ち、肘を伸ばしたまま(軽く曲げても良い)、肩を視点にして腕を外側へ開き、体の後方へ持ち上げるようなトレーニングです。また主に僧帽筋、三角筋の後部、広背筋などに刺激を与える事ができます。もちろん菱形筋にも効きます。一方、ここで紹介するリアレイズは肩が支点になるのではなく、肩の関節はなるべく固定し、片手に軽い重りを持ち、肩甲骨を支点として腕を上げ下げします。そうする事で大きな筋肉をなるべく働かせず、菱形筋をピンポイントで刺激する事ができます。

方法を簡単に説明すると、まず両手・両膝をついた四つん這いの状態になり、背中が丸くならないように姿勢を正します。体を横から見た時、肩〜お尻までのラインができるだけ床と平行になるようにし、それを維持しましょう。その状態になったら、左右どちらの手でも良いので、一方の手にダンベルまたは水や砂を入れたペットボトルを持ちます。重りを持っていない方の手と両膝で体を支え、上手くバランスを取りましょう。尚、重りとなる重さは500g〜重くて1kgまでです。このトレーニングでは大きな負荷は不要なので、そのように軽い重りを使う事が大きなポイントになります。

rear-raise2.jpg

また重りを持っている方の腕の高さですが、最初から、肩と同じ高さ(床と平行)になるまで腕を真横に上げておきます。画像では手を上げているように見えますが、実際は肩甲骨の動きに合わせて僅かに上下動するだけです。このトレーニングでは腕の高さを常に維持し、肩の関節を殆ど動かさず、肩甲骨だけを動かして行います。

その状態になったら、肩甲骨を背骨へ引き寄せていきます。すると肩が少しだけ天井方向へ持ち上がり、それに伴って腕も少しだけ天井方向にスライドします。しかしやはり「肩甲骨を引き寄せる力を使って手に持った重りを引く」事になるので、肘の関節や肩の関節は一切動かさず、できるだけ最初の姿勢・腕の高さ・角度を維持しながら行います。実際に動く幅はかなり小さいです。

そうして限界まで肩甲骨を背骨方向に引き寄せたら、今度は逆に背骨から肩甲骨を遠ざけます(肩甲骨を上へ上げる訳ではない)。ただし単に脱力するだけだとトレーニング効果が薄れてしまうので、張っていた胸を元に戻しながら、肩を真横(手に持っている重りの方向)へ突き出すようにして動かします。イメージするとすれば「胸を寄せる動作を腕を動かさずに行う」事です。そしてそれ以上肩甲骨が動かないという所まで行ったら、再びゆっくりと肩甲骨を背中へ引き寄せる動作へ移行させます。この間も当然意識的に肘や肩関節を動かすのではなく、肩甲骨の動きに伴って動くだけにしましょう。また動作間で、肩が上へ上がらない(首をすぼめず、首の根元に力を入れない)

rear-raise4.png

画像のように腕を伸ばしたまま、肩甲骨を寄せます。もし肩甲骨の動かし方が分からないという人は、例えば立った状態で、真横に腕を真っ直ぐに伸ばし、その手で「届きそうで届かないような距離にあるもの」を何とかして掴もうとする動作をイメージしてみましょう。それを上半身を全く動かさずに行おうとすると、肩を真横に突き出す必要があり、また何かを掴んだ後は横に突き出した肩を戻す必要があります。要はそれを重りを引き寄せる動作に利用する訳です。ただし現時点で肩甲骨周りの筋肉が凝り固まっている人では、物理的に上手く動かない場合もあります。あらかじめストレッチを行っておきましょう。

行う回数の目安は「肩甲骨を引き寄せる→遠ざける」を1回として1セット20回程度、行うセット数は1〜3セット程度、頻度は3日に1回(日常的な肩の筋肉を使う運動習慣の機会にもよる)で十分です。負荷が大きくないと「体を鍛えた」という実感が湧きませんが、負荷を増やしたり、セット数や1セット中の反復回数を増やしすぎると、疲労の蓄積によって筋肉が駄目になってしまいます。気持ちを抑えましょう。






×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。