前鋸筋や小胸筋を鍛えるためのトレーニング法

この記事では肩甲骨にある前鋸筋や小胸筋を鍛えるためのトレーニング法について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。
(記事作成日時:2013-05-08、更新日時:2019-05-10)

★当記事の目次

ここでは当記事内の章をリスト化しています。クリックする事で直接その場所へ飛ぶ事ができます。また戻りたい場合には各章の一番下にある「当記事の目次まで戻る」をクリックする事で再びこの場所に戻ってくる事ができます。


★前鋸筋の役割について簡単に

前鋸筋は肩甲骨を胸側から見た時、肩甲骨の全体から〜肋骨へ沿うようにして繋がっており、肩甲骨を横や下へ引っ張っている筋肉です。肩甲骨は背骨と繋がる菱形筋、首の骨と繋がる肩甲挙筋、更に背中全体を覆っている僧帽筋や広背筋などによって、その位置を安定化させています。しかしそれらの筋肉は主に肩甲骨を上に持ち上げたり、左右の肩甲骨を互いに寄せたりする筋肉で、肩甲骨を互いに遠ざける筋肉ではありません。一方、前鋸筋は肩甲骨を遠ざける筋肉で、これにより肩甲骨を横に引っ張る事で、その位置を安定化させる役割があります。

この前鋸筋の関わる動作は、そのように肩甲骨を背骨から遠ざける時に主に働きます。そうして肩甲骨が横へ移動すると、実はそれに伴って腕の関節が前へ移動します。これによって腕の骨もより前へ移動し、腕の可動域が広がります。例えばボクサーではパンチを出す時、腕を前へ突き出します。前鋸筋はその際に補助として働き、腕をより遠くへ出し、またその動作をスムーズにします。これにより前鋸筋が発達すると単純にパンチ力が上がります。

ちなみに前鋸筋は小さな筋肉であり、大きな筋力は発揮できません。また肩甲骨には様々な筋肉が繋がっており、前鋸筋が単独で働くような動作は存在しません。一方、発達していれば、脇の下に波模様が出るので確認する事ができます。



★小胸筋の役割について簡単に

小胸筋は肩甲骨を胸側から見た時、肩甲骨の前側についている突起(烏口突起)から、胸の骨に向かって斜めに繋がっている筋肉です。前述のように前鋸筋は肩甲骨を横あるいは下へ動かす時に働きます。一方、小胸筋は主に肩甲骨を下へ動かす時に働き、肩甲骨を体へ引き寄せ、やはり肩甲骨を安定化させる役割があります。

そのため普段リラックスしている時にはあまり働きません(普段から肩甲骨の位置がずれているなら別)が、肩甲骨が横に動いたり、上に上がったりした時、それを下げる時に働きます。例えばボクサーではパンチを出して腕を前に突き出した後、その腕を戻す必要があります。小胸筋がしっかり機能していると、その戻す時の動作が素早くなり、戻した後に行う動作もスムーズにできるようになります。

ただし小胸筋も小さな筋肉であり、大きな筋力は発揮できません。また肩甲骨には様々な筋肉が繋がっており、小胸筋が単独で働くような動作は存在しません。



★前鋸筋や小胸筋を鍛えるためのトレーニング法

●特殊型プッシュアップ

プッシュアップとは日本語で「腕立て伏せ」の事です。通常のプッシュアップでは肘を曲げ伸ばしし、腕の裏側にある上腕三頭筋や、胸の大胸筋を鍛えるためのトレーニング法です。一方、プッシュアップの体勢で、肘を曲げずに、肩甲骨だけを動かすようにして行う事で、脇腹にある「前鋸筋」を鍛える事ができます。少し特殊なトレーニングですが、方法さえ覚えてしまえば簡単です。

Serratus anterior.jpg

まずはスタート時の体勢を作ります。両手を肩幅に開いて床につき、通常の腕立て伏せのような体勢になります。もし両手・両足での維持がつらい場合、両手・両膝立ちでも一向に構いませんが、体を横から見た時、肩〜お尻までのラインが、できるだけ一直線になるようにしておきましょう。尚、手の平で行いにくい場合、プッシュアップバーを利用するのも良いでしょう。

その状態になったら、肘を伸ばしたまま、背中にある左右の肩甲骨を互いに遠ざけます。すると肩甲骨が横へと移動し、それに伴って肩及び腕が前(床の方向)へ突き出ます。この時、頭頂部から肩のラインを見ると、肩甲骨よりも肩が前へ出るような形になっており、肩が前へ出た分だけ、手の平で床を押す事になります。しかし床は動かないので、それ以外の部分は、床と平行の状態を保ったまま、天井方向へスライドします。この時、体のラインを横から見ると、肩〜手の平までは全く動いていませんが、それ以外の部分が上に移動しています。尚、肩で床を押す際、首の根元に力が入って肩が上へ上がらないように注意しましょう。肩を上げずに肩甲骨を横へ動かすためには、やや慣れが必要かもしれません。

今度は逆の動作を行います。つまり肘を伸ばしたまま、背中にある左右の肩甲骨を互い近づけていきます。すると肩甲骨が寄り、それに伴って肩及び腕が後方へ移動します。しかしやはり床は動かないので、それ以外の部分は、床と平行の状態を保ったまま、床の方向へスライドします。この時、体のラインを横から見ると、肩〜手の平までは全く動いていませんが、それ以外の部分が下へ移動しています。この際も肩が上へ上がらないように注意します。そうして限界まで左右の肩甲骨を寄せたら、再び肩で床を押す動作へ移行させます。途中で動作が止まらないように注意し、肩甲骨を大きく動かすようにしましょう。

1セットは20回程度、休憩を上手く挟んで2〜3セット行いましょう。尚、動作の性質上、負荷を増やす事が難しいのですが、そもそも筋肥大を目的としたトレーニングではないので、無理をして負荷を増やそうとしたり、回数を増やそうとする必要はありません。

ちなみにこのトレーニング法は仰向けになった状態、あるいは立った状態でも行う事ができます。仰向けになった状態で行う場合、両手に1kg程度のダンベルを持ち、同じように肘を伸ばしたまま、肩を前へ突き出す力だけでダンベルを天井へ押し上げます。その際、薄く畳んだタオルに背骨を乗せ、肩甲骨を宙に浮かせた状態で行うと良いでしょう。一方、立った状態で行う場合、チューブを背中に回して両手でその両端を持ち、やはり肘を伸ばしたまま、そのチューブを伸ばすように肩を前へ突き出します。



●特殊型ディップス

通常のディップスというトレーニング法は、両手で左右にあるバー(固定されている鉄の棒)を掴み、足を浮かせ、バーを押すようにして肘を曲げ伸ばしします。一方、今回紹介する方法はそのディップスを、肘を伸ばしたまま行います。つまり前述の特殊型プッシュアップと同じように、肘を伸ばしたまま肩及び肩甲骨を上げ下げする事になります。

dips.jpg

どのように行うのかを簡単に説明すると、まずは両手で左右にあるバー(プッシュアップバー、ディップスバー、ベッドの端、椅子の端など)を掴み、肘を伸ばし、その状態で姿勢を正します。その際、体を宙に浮かせれば大きな負荷を与える事ができますが、このトレーニングは筋肥大を目的としたものではないため、体を浮かせる必要はありません。手の平に体重がしっかり乗っていれば、お尻や足が地面についていても何ら問題ありません。

その状態になったら、肘を伸ばしたまま、肩を上へ上げていきます。ただし手の平の位置は固定されているので、実際には肩は上へ上がっておらず、肩甲骨だけが上に上がり、それ以外の首〜お尻までは逆に床の方向へ垂直にスライドします。この時、体のラインを横から見ると、首が肩で隠れ、いわゆる「首をすぼめる」ような形になります。尚、その際には肩が前へ出ないように注意します。胸を張った状態を維持すると良いでしょう。

今度は逆の動作を行います。つまり肘を伸ばしたまま、肩を下に下げていきます。ただし同じように手の平は固定されているので、実際には肩は下がっておらず、肩甲骨だけが下へ下がり、逆にそれ以外の首〜お尻までは天井方向へ垂直にスライドします。つまり手の平でバーを押しており、押した分だけ、それ以外の部分が上に動いているのです。尚、その際には肩が前へ出ないように注意します。胸を張った状態を維持すると良いでしょう。そうして限界まで肩甲骨を下げたら、再び肩甲骨を上げる動作へ移行させます。途中で動作が止まらないように注意し、肩甲骨を大きく動かすようにしましょう。

1セットは20回程度、休憩を上手く挟んで2〜3セット行いましょう。尚、動作の性質上、負荷を増やす事が難しいのですが、そもそも筋肥大を目的としたトレーニングではないので、無理をして負荷を増やそうとしたり、回数を増やそうとする必要はありません。繰り返しになりますが、手の平に体重がかかっていれれば、体を無理に浮かせる必要もありません。

ちなみにこのトレーニング法は、前述のトレーニング法と「押す方向」「体の向き」が違うだけです。前述の方法では前に向かって押していますが、この方法では下に向かって押しています。よって両者とも、前鋸筋も小胸筋も鍛える事ができます。一方、こちらの方法では、人によって肩を下げていく時にゴリゴリと音を立てたり、何かが引っかかるように感じる事があります。その場合には避けた方が無難です。






×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。