この記事では肩甲骨にある肩甲下筋を鍛えるためのトレーニング法について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。
(記事作成日時:2013-04-17、更新日時:2019-05-09)
★当記事の目次
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★肩甲下筋の役割について考える
肩甲下筋は肩甲骨を胸側から見た時、肩甲骨の全体から〜腕の骨の先端かつ前面へと繋がり、腕の骨を横へと引っ張っている筋肉です。腕の骨は肩甲骨と共に関節を形作っていますが、横方向に嵌め込まれているだけであり、そのままだと左右にズレてしまいます。肩甲挙筋はそれを前側から横へ引っ張る事で、関節を安定化させています。
また同じように胸側から肩甲骨を見ると、肩甲骨の裏側には棘上筋、棘下筋、小円筋があり、それぞれ棘上筋は腕の骨を上に、棘下筋や小円筋は肩甲下筋と同じように腕の骨を横に引っ張っています。これによって腕の骨の先端が覆われるような形になっており、関節を上下にもズレにくくしています。尚、いずれの筋肉も体の表面から確認する事が難しく、三角筋や僧帽筋に覆われている事から、いわゆる「インナーマッスル」とも呼ばれます。
この肩甲下筋の関わる動作は、特に肩の内旋、すなわち腕の骨を軸にして内側に回転させる時に主に働きます。小さな筋肉なので、大きな筋力を発揮する事はできませんが、そのように腕の骨の位置を安定化させ、関節の動きをスムーズにする役割があるので、鍛える事で機能を改善すれば単純に球速が上がります。
ちなみに肩甲骨は宙に浮いている状態になっており、肩甲骨と背骨を繋いでいる筋肉によって、その位置を安定化させています。つまり肩甲骨と背骨を繋いでいる筋肉が機能していなければ、肩甲下筋も上手く機能してくれません。例えば首の骨と肩甲骨を繋ぐ肩甲挙筋、背骨と肩甲骨を繋ぐ菱形筋、肩甲骨と肋骨を繋ぐ前鋸筋、肩甲骨と胸の骨を繋ぐ小胸筋などがあります。肩や肩甲骨の動きにはそのように様々な筋肉が関係しているため、肩甲下筋だけを集中的に刺激しても意味はありません。肩甲骨周りの筋肉全体をトレーニングあるいはストレッチしていくべきでしょう。
★肩甲下筋のトレーニング(インワード・ローテーション)

画像のようにチューブの端が親指側に来るように持ちます。そして肘を体側に固定し、その肘を支点に、前腕を内側へ動かすようにしてチューブを引っ張ります。腕の骨を中心とした角度(肩関節を天井から見た場合)を0度と仮定すれば、そこから内側に45〜60度になるまで引っ張りましょう。その際、手首で引っ張ったり、腕の筋肉を使って引っ張らないように注意します。
そうしてチューブを引っ張ったらゆっくりと戻していきます。その際には引っ張る時よりもやや緩やかに、2秒ほどかけて戻すようにします。特に「引っ張られる強さにギリギリ負けるような力加減」を強く意識しましょう。尚、このトレーニングではチューブを内側へ引っ張る際に肩甲下筋が働き、戻していく際には「肩甲下筋が収縮したまま伸ばされる」事になります。筋肉にとって「収縮したまま伸ばされる」という収縮は良い刺激になるので、戻す際もそのようにできるだけ脱力せずに行いましょう。
また前腕を戻していく際、腕の骨を中心とした角度(肩関節を天井から見た場合のスタートの位置)を0度と仮定すれば、そこからだいたい15〜30度になるまで外側へ戻すようにします。戻し過ぎると脱力してしまうのでその程度で抑えます。そうして戻したら、再び同じようにチューブを引っ張る動作へ移行させます。もちろんその際もゆっくりとした動作を意識します。ただし動作は止まらないように繰り返しましょう。

ちなみに通常はそのように肘を体側に固定して行いますが、左の画像のように肘を肩と同じ高さまで上げた状態で行う方法もあります。分かりにくいですが、腕の骨を軸にし、前方に向かって真っ直ぐチューブを引いています。動作間で肘は上下左右前後に動かないように上手く固定しましょう。
行う回数の目安は「内側に45度ぐらい→外側に15度ぐらい」を1回として合計30回程度、行うセット数は1〜3セット程度、頻度は3日に1回(日常的な肩の筋肉を使う運動習慣の機会にもよる)で十分です。またチューブはやはりできるだけ柔らかいものを選びます。負荷が大きくないと「体を鍛えた」という実感が湧きませんが、無理をして負荷を増やしたり、セット数や1セット中の反復回数を増やしすぎると、疲労の蓄積によって筋肉が駄目になってしまいます。その気持ちを抑えましょう。
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