ジャイロボールを落ちる変化球として使うには

この記事ではバックスピンストレートを軸として、フォーシームジャイロとツーシームジャイロを落ちる変化球として利用する事について、私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。
(記事作成日時:2012-11-15、更新日時:2019-03-21)

★当記事の目次

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フォーシームジャイロを落ちる変化球として使う

まずフォーシームジャイロは回転軸が進行方向と一致していて空気抵抗が少ないため、初速と終速の差が小さく、減速しにくいという特徴があります。特にフォーシームジャイロは全ての球種の中で最も減速が少ないと言われています。一方、下向きの力は働きませんが、バックスピンストレートのような上向きの力も働かないため、重力に逆らう事はできず、ボールは落下します。特にリリースポイントが高く、角度が大きくなるほど落ちる変化は大きくなります。この事から、上から投げる投法の場合、落ちる変化球として利用する事ができます。尚、落差を活かすためには、敢えてリリースポイントを高くしたり、低い場所に投げる時にしか使わないようにする必要があるでしょう。

既知の落ちる変化球と比べてみると、フォークボール、パームボール、ナックルボールなどでは、場合によってはバックスピンのような回転になる事もあり、上向きの力が生まれます。しかしバックスピンストレートよりもスピン量が少ないので、その上向きの力は弱く、逆に前面では大きな空気抵抗が生まれるため、減速しながら落下します(もちろん重力の影響も受ける)。これが落差が大きくなる理由ですが、ど真ん中に来ると、その減速によって非常に打ちやすい絶好球になります。一方、フォーシームジャイロの場合、空気抵抗が小さいので、減速する事なく、重力による影響で落下します。球速があれば落下量を減らす事ができ、よりバッターの手元で変化させる事もできるでしょう。そのため例えど真ん中に投げても打ち損じのゴロになる可能性があります。

またジャイロボールの場合、ボールが落ちていく時に別の変化が起こり、特に「立体的に横へスライドする」という変化があります。例えば右投手の投げる時計回りのジャイロボールでは、ボールが落ちていく時、利き腕とは逆方向すなわち左方向へ流れていきます。これはボールが落下する際、ボールの下から受ける空気の流れによって左方向への力(マグヌス力)が生まれるからです。分かりやすく言うと、例えばボールを高い所から下へ向かって投げる時、ボールに左から右の横回転をかけて投げると、ボールは左向きの力を得て左へ流れていきます。それと同じ変化が、ジャイロボールが落ちていく時にも起こる訳です。よって上から投げる投法の場合、バッターの手元で落ちながら横へ変化するカットボールとして利用する事もできます。右投手対左打者あるいは左投手対右打者でも、できるだけバッターの手元で変化させれば簡単には打たれません。ただしそのためにはバックスピンストレートの軌道にできるだけ近づける事が重要です。

尚、リリースポイントが低くなると落ちる変化は小さくなります。それに伴って前述した横の変化も小さくなるため、より変化量の少ないボールになります。特にアンダースローではより直線的な軌道になります。一方、リリースポイントに関わらず、球速が上がるほど落ちる変化は小さくなり、それに伴って横の変化も小さくなります。上投げでは前述のようにそれも大きな武器になりますが、リリースポイントが低なると、ど真ん中ではまさしく「棒球」になってしまいます。このためリリースポイントが低い投法の場合、高いコースあるいはインコースに投げるときにだけ使うか、敢えて球速を落とし、軌道を山なりにする事で、カーブのような使い方をする事も一つの手です。カーブは目線を変えたり、緩急をつけたりするのに効果的なボールで、そのような使い方になるでしょう。ただしそれだとトップスピンのかかるカーブで良いという話になるので、わざわざフォーシームジャイロを使う意味はないかもしれません。


ツーシームジャイロを落ちる変化球として使う

ツーシームジャイロは「空気抵抗が大きい事で減速する」「重力によって落下する」という特徴があります。このためフォーシームジャイロよりも下方向への変化は大きくなります。リリースポイントが高いほどその落差は大きくなり、またそれに伴い、落ちていく時の横への変化も大きくなります。

同じく減速して落ちる変化球としては前述のようにフォークボール、パームボール、ナックルボールなどがあり、この中では無回転のナックルボールが最も大きく減速するボールと言われています。この内のナックルボールは別として、特にフォークボールはバックスピンストレートに軌道が近く、見極められにくい事で空振りを取りやすい必殺球です。一方、ツーシームジャイロは高速に回転している分、これらの球種と比べれば減速は小さく、また軌道もバックスピンストレートとはあまり似ていません。このためツーシームジャイロは他の球種と組み合わせる、というよりは単体として利用する事になります。

そもそもツーシームジャイロの減速効果は、減速の少ないフォーシームジャイロと一緒に使う事で初めて活かされるものなので、例えばバックスピンストレートを軸として、ツーシームジャイロを落ちる変化球として利用する場合、フォークなどのような既知の変化球と比べて大きな価値があるのか・・・と言われると正直微妙なところです。ジャイロボールは綺麗な縫い目、綺麗な回転で安定して投げるために練習が必要であり、その意味でもわざわざ苦労して投げる必要はないと思います。バックスピンストレートならチェンジアップという選択肢もありますからね。

尚、リリースポイントが低い場合、単なる減速する棒球になる可能性が高いです。このためリリースポイントが低い投法では、やはりフォーシームジャイロとの組み合わせが必要になるでしょう。


ジャイロボールをスライダー系のボールとして使う

前述のようにジャイロボールは重力によって落下し、そうして落ちていく時に横方向へと変化します。よりバッターの手元で変化させる事ができれば、カットボールのような使い方ができます。またジャイロボールは回転軸を傾ける事で横の変化を大きくする事もできます。特に回転軸をピッチャー側から見て下に45度傾けるようにして回転をかけると、横回転とジャイロ回転のちょうど間の回転になり、横方向への変化が大きくなります。こうする事で横に大きく変化するスライダーとして利用する事もできます。

またジャイロボールはそうして回転軸を傾けるだけで別の球種として使う事ができます。45度回転軸を傾けるだけなら、握りを大きく変える必要もないため、一度ジャイロボールを習得してしまえば投げる事はそう難しくありません。更に、ここでは「45度」と言いましたが、実際には細かく角度を刻む事ができます。例えば一球一球回転軸を変えて投げる事ではバッターに的を絞らせず、慣れさせない事ができます。小さな調節でもボール半分あるいはボール一個変化が変わればバッターにとっては大きな脅威になります。ジャイロボールはそうした使い方もできるのです。

ただし細かな角度の調節は非常に難しく、繊細な感覚が必要です。その辺りは練習が必要でしょう。



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