ジャイロズレを投球の中でどのように使うか

ジャイロズレとは、フォーシームジャイロあるいはツーシームジャイロの回転軸を45度傾けたボールの事で、私が勝手にそう呼んでいるだけです。通常のフォシームジャイロとツーシームジャイロは回転軸が地面と平行で、進行方向と一致しています。このため通常は横へは変化しません。しかし回転軸を傾ける事で横へ変化させる事ができ、通常のフォーシームジャイロやツーシームジャイロとは使い方が変わります。ここではそれについて私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。
(記事作成日時:2012-11-27、更新日時:2019-03-22)

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通常のジャイロボールとの見極めが難しい

前述したように通常のジャイロボールはその回転軸を45度傾ける事で、横への変化を加える事ができます。例えば右投手の投げるジャイロ回転はピッチャー側から見ると時計回りをしていますが、その回転軸を下へ45度傾けると(上投げでは可能だが下投げでは難しい)、利き腕とは逆、すなわち左方向への変化が加わります。しかし回転軸を傾けるだけなので、握り方も投げ方も殆ど変わらないため、「通常のジャイロボールと見分けがつきにくい」という大きなメリットがあります。

またジャイロズレは表面上は横あるいは縦のスライダーのように見えます。しかし回転軸を上へ45度傾けると(上投げでは難しいが下投げなら可能)、今度はシュートやシンカーのように利き腕と同じ方向である右方向へも変化させる事ができます。これにより「スライダーかと思ったらシュートした」というような、既存の変化球ではあり得ないような勘違いを生じさせる事もできるのです。このため通常のジャイロボールの中に、回転軸をズラしたジャイロボールを混ぜて投げる事で、バッターに考えさせる事ができます。

またジャイロボールは上向きの力が働かず、重力によって落下します。特にその落差は角度がつくほど大きくなるので、投げる度に敢えてリリースポイントの位置を変えたり(オーバーとスリークオーター、スリークオーターとサイド、サイドとアンダーの他、インステップなども含む)、あるいは投げるコースの高低を変える事で、落ちる変化量を調節して投げるようにします。これにより例え同じ回転軸のジャイロズレであっても、投げる度に同じ球種に見せず、更に見極めを難しくする事ができます。

これらを利用し、ストライクゾーンの枠付近で、細かくボールの出し入れをして攻めます。特に低いコース、バッターのインコースとアウトコースにおいて、ストライクゾーンの枠内ギリギリと、枠の外ギリギリを狙い、そこで左に変化するボールと、左に変化するボールをひたすら投げ込むのです。ただしこれには通常のジャイロボールと回転軸をずらしたジャイロズレが、できるだけ同じ軌道である必要があります。特にどのリリースポイントでも、高いコースでは変化量が少なく棒球になりやすいので、緻密なコントロールも必要になるでしょう。


カットボールやツーシームのように使う

前述のようにジャイロボールは重力によって落下します。しかしその落下が出る前にキャッチャーミットへ到達させる事ができれば、できるだけ直線的な軌道にする事ができます。特に下投げではより直線的な軌道になる上、ジャイロズレでは回転軸を少し傾けるだけで、そのように横に変化させる事ができるので、より球種の見極めが難しくなります。

またジャイロボールではボールが落下していく時、横の変化量が大きくなるという特徴も持っています。このため投げるコースによってはバッターのより手元で変化させる事ができ、例えバットに当たっても打ち損じにする事ができます。すなわちジャイロズレは既存の変化球であるカットボールやツーシームのように、ゴロを打たせるボールとして使う事ができます。もちろんそのためには最低限の球速、及び軌道ができるだけ直線的な事が重要です。

一方、敢えて球速を遅くして山なりの軌道にし、カーブのように使う事もできます。これにより次に投げたボールを速く感じさせ、打ち損じあるいは空振りを取る事ができます。逆に球速の速いジャイロの後にそれを投げれば、バッターの体勢を大きく崩させる事もできます。


キャッチャーとのサイン交換の問題

ジャイロボールの回転軸を45度傾けた球種は理論的には4つ存在します。ただし投げる事が難しい回転軸も存在するため、通常は2種類のみです。逆回転のジャイロも含めれば更に増えますが、1種類の回転軸を除き、同じフォームで投げる事は不可能に近いので、通常は3種類となります。一方、ジャイロボールはフォーシームジャイロとツーシームジャイロの2つの種類があるので、それぞれにジャイロズレがあるとすれば全部で6の球種が存在する事になります。球速差によっても分ける場合、更に球種は増える事になるでしょう。

そのように球種が多い場合、既知の変化球に置き換えると良いでしょう。例えばジャイロ回転とバックスピンの中間の球種をカットボール、ジャイロ回転とシュート回転の中間の球種をシュートまたはシンカー(上投げでは難しい)、ジャイロ回転とスライダー回転の中間を横のスライダー(下投げでは難しい)、球速の遅い山なりのジャイロをカーブ、フォーシームジャイロをストレート(下投げの場合)、フォーシームジャイロまたはツーシームジャイロを縦のスライダー(上投げの場合)、ツーシームジャイロをチェンジアップ(下投げの場合)・・・というようにした方が、キャッチャーにとって分かりやすいかもしれません。

一方、投げるコースに関してはサイン交換を行って投げるとして、リリースポイントの位置に関しては完全に投手に依存します。しかし前述のようにジャイロボールではリリースポイントの位置によって軌道が大きく変わる場合があるため、完全に投手に依存してしまうと、キャッチャーが取れないようなボールが行く可能性もあります。その辺りどのようにしてキャッチャーとコミュニケーションを取るかという大きな問題もあります。



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