何故ジャイロボーラーは現れないのか

この記事ではジャイロボーラーが現れない理由について私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。
(記事作成日時:2012-10-15、更新日時:2019-03-19)

★当記事の目次

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「ストレートは速い事が当たり前」という固定概念

日本の野球界では「球速のあるバックスピンストレートを投げる事」「上から振り下ろして角度をつける事」が基本とされています。ですので、もし仮にジャイロボールを投げられる子どもがいたとしても、指導者にフォームや投げ方などを修正するよう求められてしまうでしょう。まずこの時点でジャイロボールを投げる人は世に出る事ができません。指導者に気に入られなければレギュラーにすらなれず、レギュラーになれなければ経験を積む事さえできず、実戦ではボロが出てしまいます。例え個人で必死に努力してプロテストを受けても、それでは結果がついてきません。

また日本では「威力のあるストレートを投げて三振を奪う事」も美徳とされており、それが格好良い事だと本気で思われています。このため「球速のあるストレート」と「大きな変化のある変化球」を追求したり、要求される事が多いため、変化量の少ないボール、特にバッターの手元で動くようなボールを学ぶ機会が少ないです。メジャーでは主流の「動くボール」ですが、日本ではプロになってから学ぶという事も多く、「ボールにどのような回転をかけたら、どの方向に変化するか」という事をそもそも知らない人も多いです。例えばスライダーの投げ方や握り方は分かるけど、どうして曲がるのかを説明できないという事です。これは何故かというと、先輩や指導者は握りや投げ方は教えても、理論的にどう曲がるかを指導できる人が少ないからで、これによりジャイロボールに触れる機会も相対的に少なくなります。

更にジャイロボールは今までそれを専門に研究した人が殆どおらず、プロが実践で試した例は更に少ないので、経験のある指導者や専門家はほぼいません。それに加え、前述のように握りや投げ方は教えても、理論的に何故ボールが曲がるのかを教える人が少なく、例え経験者であっても、その全ての人が指導者になれる訳ではない(そのような指導者がいても異端扱いされ、仕事にならない)ので、これもジャイロボールの研究が進まない悪循環の原因になっています。

これはナックルボールなどの変化球でも同じです。例えばメジャーリーグではティム・ウェイクフィールド投手・ニークロ兄弟・R.A.ディッキー投手のようなナックルボーラーや、更にはマリアノ・リベラ投手のようなカットボーラーなど、ストレート以外の球種を極めたピッチャーがいます。しかし日本のプロ野球にはこれらの投手は殆ど出てきません。これも前述のような固定概念が原因なのです。もちろんこれらの投手は特殊な例ではありますが、私からすればこういうピッチャーが日本球界にいても良いと思っています。ジャイロボールがいないのはまだ分かるんですが、こういう投手すら全く出てコないのは、やはりそういった固定概念があり、どこかで幅を狭めているからだと私は思います。野球以外ではウェイトトレーニングでもそうです。筋トレをすると怪我をしやすくなるとか、筋肉が固くなるとか、実践で鍛えた筋肉は使える筋肉だとか、未だに言われています。そういった固定概念をなくしていかない限り、ピッチャーとしての「幅」は広がっていかないでしょう。


ジャイロボールを投げるには覚悟が必要

ジャイロボールを投げるためには人生を賭けるぐらいの大きな覚悟が必要です。前述のように日本の野球界にはジャイロボールを認めるような環境がありません。日本人は「当たり前から外れるもの」を強く敵視し、それを集団で浄化しようとする国民性があります。俗に「集団美徳主義」なんて言い方をします。このため並半端な覚悟では周囲の雰囲気に飲まれ、途中で投げ出してしまうでしょう。ジャイロボールはそういうボールだという事をご理解下さい。「唯一無二の野球選手になる」というぐらい、人生を賭けるぐらいの覚悟でなければ、ジャイロボールは投げない方が良いです。

尚、「運」や「めぐり合わせ」も重要です。仮に投げ方を知っている子どもがいて、密かに練習をしていたとしても、それを個人だけの力でプロに通用するレベルまで持っていくのは困難に等しいです。やはり今までにいないような指導者との出会いが必要になるでしょう。またそこで練習をして終わりではなく、実際には甲子園などの大きな大会に出場しなければなりません。もし出場できなくても、プロテストを受けるなどして自分をアピールしなければなりません。そこで自分のチームや自分の名前を知ってもらい、自分で道を切り開く必要があるのです。そうして仮にプロになる事ができたとしても、前述のようにジャイロボールは未知の領域のため、サポートしてくれる人は殆どいません。そのため自分自身の力でジャイロボーラーとしての実力を証明しなければなりません。そしてそれを何年も続け、安定した成績を収め、そこで初めてジャイロボールが認められるのです。

私は根性とか気合とかそういう言葉が嫌いですが、強い気持ちがなければこのような険しい道は通れないでしょう。途中でくじけてしまったら意味がありません。


アンダースローの専門家もいない・・・

最後にアンダースローについてです。当ブログでは「アンダースロー」が、ジャイロボールを投げるのに適していると書いています。しかし現在の野球界ではアンダースローの投手自体が非常に稀な存在であり、アンダースローの技術が確立されているとはとても言えません。当然アンダースロー出身の専門的な投手コーチも少ないため、自分の力で開拓していく必要があるでしょう。特に球速とコントロールはジャイロボーラーにとって必須です。

アンダースローが少ない理由としては、前述のように現在の野球では「球速のあるボールを角度をつけて上から投げる」事が当たり前とされており、アンダースローが「変則」として扱われる事が多いからです。「変則」とは特殊なフォームなどでタイミングを外す事を言うので、本来アンダースローの全てが「変則」ではないはずなのですが、どうしてもそういうイメージがついてしまっているようです。

これによりワンポイントでのリリーフ起用が多いため、先発は更に希少な存在です。他に優秀なピッチャーがいれば、アンダースローはリリーフへの回され、登板機会が少なくなってしまいます。またリリーフ起用という事は見ている人の目に触れる時間が短いという事です。そのためファンの目を惹きつけにくく、これからプロ野球選手を目指すような子どもの目にも触れないため、アンダースローの人口も増えません。人気が出ない=そういう選手が増えない=そういう指導者・専門家が増えない=選手が上達しにくい=育たない=選手が増えない・・・悪循環です。

もしこれからジャイロボーラー、そうでなくてもアンダースローでプロを目指すという場合、自分が開拓者となるという強い気持ちが必要です。この辺りを十分理解してから臨んで欲しいと思います。



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