アンダースローなら落ちる変化を無視できる

前回まではジャイロボールがどのような変化をするかを書いてきました。

フォーシームジャイロもツーシームジャイロ(ワンシームジャイロ)も、
ジャイロボールの回転軸をズラしたジャイロズレも、
オーバースローなど上から投げる投法では、
全てのジャイロボールが「落ちる変化球」となります。

ですが、唯一ジャイロボールの「落ちる変化」を無視できる投法があります。
それが「アンダースロー」です。 
 
 
落ちる変化を無視するためには、
バックスピンストレートのように大きな上向きの力が働く必要がありますが、
ジャイロボールには上向きの力が働かず、重力の影響によって落下してしまいます。

つまり、オーバースローなどでは仮にジャイロボールを投げる事ができても、
球速が遅ければ放物線のような軌道、
速くてもフォークボールのような軌道にしかならないのです。

重力による影響を無視、つまり落ちる変化を無視するには、
可能な限り下から投げて上向きの力を自ら加える必要があります。
ですから「アンダースロー」なのです。

渡辺俊介投手や牧田和久投手をイメージして頂くと分かりやすいと思います。
アンダースローのような低い位置から投げると、
キャッチャーミットと同じかそれより低い位置でリリースされるので、
自然と「浮き上がるような軌道」になります。

この「浮き上がるような軌道」を利用する事で重力に逆らい、
ジャイロボールの落ちる変化を無視してしまおう、という訳です。



もちろん、オーバースローなどの上投げでも、
ジャイロボールを「直球」のような使い方をする事は一応可能です。
ただし、そのためには160km/h以上の球速が必要です(笑)

それぐらい速いジャイロボールを投げる事ができれば、
重力の影響で落下する前にキャッチャーミットへ届くでしょう。
正に漫画「MAJOR」のような「最強の直球」です。

しかし、ジャイロボールを投げるためにはジャイロリリースと呼ばれる、
バックスピンストレートとは異なるリリースをしなければなりません。
(ボールを横を擦って回転をかけなければならない)

バックスピンストレートは上投げでは最も球速の出る球種ですが、
それでも日本人投手では例え出せても160km/h手前が限界です。
メジャーリーグでも160km/hを超す投手は限られています。

最も球速が出るストレートとは投げ方が違うジャイロボールは、
ストレートよりも球速が出ないのですから、
ジャイロボールを160km/hもの球速で投げるのは物理的に不可能です。
ですので「上投げで直球として使う」は残念ながら現実的ではないのです。
(ただし変化球として使うなら誰でも可能、使い物になるかはまた別の問題)

ですが、アンダースローのような下投げであれば、
上記で述べた通り、普通に投げても浮き上がるような軌道を描くので、
ある程度球速を落としても「直球」として扱う事ができます。

例えば牧田和久選手は最速137km/hのストレートを投げますが、
彼は通常のアンダースローよりも低い位置でリリースしています。

実はリリース位置が低くなればなるほど、ジャイロボールは投げやすくなります。
(この理由に関しては後日、実際の握り方と合わせて記事にします)
特に彼はストレートが少しジャイロ回転していますので参考になります。

その他、球速があるアンダースローピッチャーと言えば、
かの山田久志投手は140km/hを超える球速だったと言われています。

彼の場合はリリース位置が少し高いので、
ジャイロボールの落ちる変化を無視するには適しませんが、
彼はプロでも最高のアンダースローピッチャーと言われています。
球速を上げるためのフォーム、投球術など参考にできる部分も多いでしょう。



少しまとめると、
アンダースローではそのリリース位置の低さや、
元々のジャイロボールの投げやすさから、
あまり球速を落とさずジャイロボールを投げる事が可能です。

ジャイロボールの落ちる変化を気にせず直球として扱うためには、
リリースの位置を可能な限り低くする必要があります。
上投げのように角度がついてしまうと、落ちる変化が出てしまうからです。
しかしあまりに低すぎると、逆に球速が出にくくなってしまいます。

ただでさえ球速を出すのが難しいアンダースローでは、
球速の維持は極めて重要な問題です。
球速が失われてしまうとジャイロボールはおろか、
通常の投球でさえプロでは通用しなくなってしまいます。

かと言って、球速を上げようとリリースの位置を高くすると、
今度はジャイロボールの落ちる変化が出てきてしまいます。
ですので、球速とリリース位置の高さのバランスが非常に重要になってきます。

球速は最低でも140km/hは必要です。
現在プロで活躍しているアンダースローの投手で、
140km/hを超す球速を有している選手は私の知る限り存在しません。
ですので140km/hを出すのは非常に難易度が高いです。

更にフォーシームジャイロの減速が少ない特性、
ツーシームジャイロの減速が大きい特性を活かすために、
今度はスピン量の問題が出てきます。

球速を出そうとジャイロ回転のスピン量を減らしてしまうと、
ジャイロボールの特性が失われてしまいます。

つまり、アンダースローでジャイロボールを直球として扱うためには、
リリースポイントを可能な限り低くし、ジャイロ回転のスピン量を増やし、
140km/hを超す球速を持ち、的確に投げ分けるコントロールを持つ事。
これが最低限必要になります。

どのような投法であれ、
ジャイロボールを直球として扱うのは至難の業という事です。
当然ながら漫画のようにはいきませんね(笑)

実践ではそれに加えて「投球術」もなければならないので、
ジャイロボールは例えアンダースローであっても、
プロで通用するレベルにするのが難しい事に変わりはないのです。
posted by SaruyaMichael at 17:00 | TrackBack(0) | ジャイロボールとは? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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