フォーシームジャイロとツーシームジャイロ、その違いについて

当ブログで言っている「ジャイロボール」とは意図的にジャイロ回転をさせたボールなのですが、特にジャイロボールはボールの縫い目によって大きく2つの種類に分ける事ができます。それが「フォーシームジャイロ」と「ツーシームジャイロ」です。この記事ではそれについて私なりにまとめています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。
(記事作成日時:2012-09-15、更新日時:2019-03-19)

★当記事の目次

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そもそも「シーム」とは?

2種類のジャイロボールを説明する前に、まずは「シーム」という言葉の意味を理解する必要があります。シームは簡単に言うと「1回転する間に、回転している面に見える縫い目の本数」の事です。つまりフォーシームなら1回転する間に4本の縫い目が見えますし、ツーシームなら2本の縫い目が、ワンシームなら1本の縫い目が見えます。この縫い目の本数によって握りや変化が大きく変わってきます。

例えば同じバックスピンのストレートでも、最近の野球では「フォーシーム」「ツーシーム」「ワンシーム」と、縫い目によって球種が分けられています。握りによる投げづらさもあって、ツーシームやワンシームはフォーシームよりも球速が少し遅くなります。また縫い目や回転量が減る事によって空気抵抗が増えるので、実際の変化としては「フォーシーム<ツーシーム<ワンシーム」という順で、バッターの手元で沈み込みます。

更にボールが落下する際には回転方向の違いによる差が大きく出ます。特にストレートはバックスピンという縦回転になっていますが、実は回転軸は少しだけ傾いており、純粋なバックスピンで投げている投手はプロでも殆どいません。要はこの回転軸の傾きによる変化が、ボールが落下していく時に大きく現れるのです。特に右投手の投げるストレートは回転軸が少しだけ右に傾き、ややシュート回転の要素が含まれています。このためツーシームやワンシームではそのような変化が起こり、バッターの手元で沈みながら、シュートあるいはシンカーのような変化が起こるのです。


フォーシームジャイロとツーシームジャイロ

ジャイロボールにも前述したシームによる分類があり、特に「フォーシームジャイロ」「ツーシームジャイロ」という2種類があります(ワンシームジャイロもあるにはあるのですが後述)。

フォーシームジャイロとは?

まずはフォーシームジャイロから説明します。
フォーシームジャイロ.jpg
※画像はペイントで書きました。下手で申し訳ないです(笑)

フォーシームジャイロはキャッチャー側から見ると画像のような感じになります。ジャイロ回転しているので、回転軸は地面と垂直になっており、回転している面はボールを上から、あるいは下から見ないと見えませんが、フォーシームですので、1回転する間に4本の縫い目が見えます。

また上の画像では縫い目によって黄色い部分が面になっています。進行方向からこの面で空気を受け、後ろへ空気を逃がしていきます。しかしその面は小さく、上下左右ほぼ均等に空気の逃げ道があります。これによって前から受ける空気をボールの後ろへスムーズに逃がす事ができ、また上下左右均等なので、偏りもなくバランス良く逃がす事ができます。これによって「進行方向から受ける空気抵抗を最大まで減らす」という事ができ、既知の全球種の中でも最も空気抵抗の小さなボールになります。当然バックスピンストレートよりも空気抵抗は小さいです。

これにより初速と終速の差が小さくなり、バッターにとってはイメージとの不一致から、手元でノビてくるように感じさせる事ができます。尚、当ブログでは「意図的にジャイロ回転をかけたボール」の事をジャイロボールと呼んでいますが、単なるジャイロ回転ではこのような特徴は生まれません。このため意図的にフォーシームのジャイロ回転を投げる必要があります。しかもジャイロ回転ですので、回転軸もコントロールしなければなりません。これがかなり難易度が高いのです。


ツーシームジャイロとは?

続いてツーシームジャイロについて。
ツーシームジャイロ.jpg

ツーシームジャイロはキャッチャー側から見るとこのような感じになります。ジャイロ回転しているので、回転軸は地面と平行になっており、回転している面はボールを上か下から見ないと見えませんが、ツーシームですので、1回転する間に2本の縫い目が見えます。

画像では縫い目によって面(黄色い部分)ができています。この面で空気を受けるのですが、フォーシームジャイロよりも大きな面になっているため、前方から大きな空気抵抗を受ける事になります。また空気を後ろへ逃がす場所が1箇所(画像だと左の部分)しかなく、上下左右が均等ではありません。これらによってツーシームジャイロではボールの後ろへ空気を逃がす事が難しくなり、それによって空気抵抗が大きく増加します。

空気抵抗が大きいという事は「途中で減速する」という事です。例えばフォーシームジャイロとツーシームジャイロを球速150km/h、かつ同じスピン量で投げた場合、距離にして約80cmもの差が出るとも言われています。同じ球速であるのにそれだけ大きく減速するため、バッターには「中々来ない」という印象を与える事ができます。またジャイロボールでは基本的に揚力が生まれないので、重力による縦方向への変化があります。このためツーシームジャイロはフォーシームジャイロよりも大きく縦に変化します。


ワンシームジャイロとは?

縫い目によってできる面は大きいほど、また空気の逃げ道が左右で均等でないほど空気抵抗が大きくなります。特に最も空気抵抗が大きくなるのが「ワンシームジャイロ」と言われています。ワンシームジャイロでは、一塁側あるいは三塁側からボールを見ると、ボールの中央に線が見えるように縫い目が来ます。またキャッチャー側から見ると、縫い目が「巴型」のように見えます。尚、これを意図的に行うのはかなり難しいです。後述の理由から、個人的には必要ないものと思われます。


シームの違いによるジャイロボールの特性を活かすには?

前述のようにフォーシームジャイロでは「手元で伸びる」ような錯覚があります。一方、ツーシームジャイロでは逆に「手元に来ない」ような錯覚があります。この「イメージとの不一致」を最大限活かすためには、できるだけ両者が「同じような変化をするボール」である必要があります。

球速は当然できるだけ同じような球速で投げる必要があります。それかフォーシームジャイロの球速を敢えて抑え、ツーシームジャイロを敢えて速く投げる必要があります。またスピン量もできるだけ同じである必要があります。特にツーシームジャイロはスピン量が小さいほど空気抵抗が大きくなり、変化が大きくなるので、ツーシームジャイロの変化量を敢えて小さくし、フォーシームジャイロの変化に寄せていく必要があるでしょう。既存の変化球で言うならストレートとチェンジアップのような関係にする事を目指すべきでしょう。