ジャイロボールは落ちる変化球である

ジャイロボールがどういうボールかを知らない方のために、
私なりに簡単に説明したいと思います。

※間違っている部分もあるかもしれませんので、
あくまで「参考程度」にする事を強くオススメします。 
 
 
ジャイロボールは読んで字の如く「ジャイロ回転」したボールの事です。

ジャイロ回転は回転軸が進行方向、
つまり、バッターから見ればバッター側、
ピッチャーから見ればピッチャー側へ向いており、
更に回転軸が地面と平行な回転の事を言います。
(例えるならピストルの弾やラグビーボールの回転)

通常、回転軸は上、下、右、左などを向いているはずで、
回転軸がバッターやピッチャーから見える事はほとんどありません。
あっても変化球の回転軸がズレた場合だけで、
プロでも意識的にその回転軸で投げている人はいません。

誰も意識的に投げた事がない、
見た事がないような変化をするボール、
それがジャイロボールなのです。

※例外的にいわゆる「縦のスライダー(縦スラ)」がありますが、
あれはスライダーの回転軸がズレてジャイロ回転したものです。
縦スラは意識的にジャイロ回転を与えている訳ではないので、
ジャイロボールとは当ブログでは扱わない事にします。
(その理由については読んで頂ければ分かるかと思います)



では、実際にジャイロボールがどのような変化をするかを説明します。

ジャイロボールというとよく、
「浮き上がるような豪速球」というイメージがあるかもしれません。

が、残念ながらジャイロボールは、
皆さんの想像するような「浮き上がるような豪速球」や、
「加速するような球」ではありません。

実際は「「落ちる変化球」」なのです。

「何故、投げる人がいないのに分かるの?」
と思われるかもしれませんが、これは理論的な話です。
例えば「何故ストレートが落ちないのか」を考えた事はありますか?

一般的にボールには回転する方向によって圧力の差が生じます。

バックスピンストレートで言えばボールを横から見ると、
ボールの上部はボールの回転と進行方向が一致していますが、
ボールの下部はボールの回転と進行方向が一致しておらず、
進行方向にボールの回転が逆らった状態になっています。

ボール上部は進行方向から受ける空気(風)を後ろへどんどん流しますが、
ボール下部は空気を後ろへ流しづらくしています。
これによってボールの上部と下部では空気の流れる速度が異なり、
ボール上部は高速、下部は低速になります。

ボール上部と下部で空気の流れる速度に差が生まれると、
それによって圧力(空気の密度)の差が生じます。
そしてボールには縫い目があるので、
球速や回転量が増していくとどんどんその圧力の差が激しくなります。

具体的にはバックスピンストレートでは、
ボール上部の圧力が下がり、ボール下部の圧力が上がります。
この「空気の流れる速度が増すと圧力が下がる」事を「ベルヌーイの定理」と言います。

更にその圧力の差によって圧力の低い方にボールが引っ張られるので、
バックスピンストレートでは上向きの「力」という力が生じます。
垂直方向に働く力をに限り「揚力」と言い、
回転によって力のかかる方向が変わる事をマグヌス効果と言います。
(ここではマグヌス力と呼んでますが)


マグヌス力は、バックスピンであれば上向きに働きますし、
それとは逆のトップスピンであれば下向きにマグヌス力が働きます。
ので、その力によってその方向へボールが釣られて移動していきます。

つまり、ストレートのようにバックスピンをしたボールには、
上向きの「マグヌス力(揚力)」が働き、
それによってボールが重力に逆らい、落ちないボールになるのです。
(正確には全く落ちない訳ではなく「落ちにくい」だけです)

その回転量が多ければ多いほど、落ちにくいボールになりますが、
そこへ球速が加わる事で更に落ちにくいボールになります。

例えばプロ野球では、
江川卓投手、藤川球児投手、岸田護選手のストレートなどは、
ほとんど落ちずにキャッチャーミットへ届いているように見えます。
あれはスピン量が多く、綺麗なバックスピンがかかっており、
上向きの力(揚力)が強く働いているからなのです。

ちなみにバックスピンと逆の回転であるトップスピン(ドライブ回転)であれば、
逆に下向きの「マグヌス力(揚力)」が働いてボールが大きく落下します。
バックスピンのように重力には逆らえませんから、
「重力+揚力」によって大きく落下するのです。

また、横回転であれば横へ「マグヌス力」が働き、横へ変化します。
ですので、横回転が入っている、
スライダー、カーブ、シンカー、シュートは横へ変化するのです。
その内のカーブ、シンカーは縦回転も入っているので、下へも変化するのです。



では何故、ジャイロボールが「落ちる変化球」なのかというと、
単純に上向きの「マグヌス力(揚力)」が働かないからです。
バックスピンのように重力に逆らう事はできませんので、
重力の影響によってボールが落下する事になります。

更にトップスピン(ドライブ回転)や横回転のように、
下向きの「マグヌス力(揚力)」や横向きの「マグヌス力」も働きません。
つまりあらゆる方向へマグヌス力が発生しないのです。

何故、あらゆる「マグヌス力」が発生しないのかというと、
回転軸が進行方向へ向いていて、
回転している面が進行方向へ向いていないからです。
当然、圧力による差も発生しません。

ですので、回転による縦方向・横方向への変化は一切せず、
純粋に「重力」による影響のみで落下する事になります。
何故「縦スラ」が縦に変化するかはこれで説明がつきますね。

重力の影響によってのみ落ちる変化球、これがジャイロボールの正体なのです。
posted by SaruyaMichael at 17:00 | TrackBack(0) | ジャイロボールとは? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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